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亀梨和也、セカンドキャリア考えた時期も 俳優デビュー25年の現在地

来年俳優デビュー25周年を迎える亀梨和也 - 写真:中村嘉昭
来年俳優デビュー25周年を迎える亀梨和也 - 写真:中村嘉昭

 KAT-TUNとしてのアーティスト活動はもちろん、俳優・スポーツキャスターと幅広く活躍する亀梨和也。自身が主演する新作映画『怪物の木こり』(12月1日全国公開)では、狂気のサイコパス弁護士役に挑んだ。来年俳優デビュー25周年を迎える亀梨が、最新作で難役に挑戦した理由、俳優としての今の心境を語った。

【画像】まさにスター!菜々緒をエスコートする亀梨和也

 『怪物の木こり』は、2019年に「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した倉井眉介による原作を、『悪の教典』『藁の楯 わらのたて』『無限の住人』とエンタメ作を撮り続ける三池崇史監督が映画化したサスペンス。斧で脳を奪い去る猟奇殺人鬼の次なるターゲットとなった弁護士・二宮彰は、目的のためには殺人をもいとわない狂気のサイコパスだった。衝撃的な設定と先の読めない展開で、観客を映画の世界観に引き込む。

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 主人公・二宮を演じるにあたり、亀梨は「サイコパスをテーマにした作品は多く、既に強いイメージがあります。アプローチの仕方はいろいろありますが、二宮は行動自体が派手なので、監督たちとは“芝居としては引き算で”と話し合いました。目の動きや首の使い方、表情を動かす筋肉と細かいところを意識し、二宮が狂気に走る“ビフォー&アフター”の変化をつけていきました」と語る。劇中の彼は只者でない佇まいで画面に存在してみせるが、どこか自然とそこにいるようでもある。自身に近しいものを感じたかを尋ねると、「いかがですか、亀梨和也のサイコパス感は?」とニヤリ。

 サイコパスな己を抱えながら弁護士としての自分をキープする、二宮の自己演出力との共通点がありそうにも思えるが、「僕自身は流れや巡り合わせを大切に生きていて、戦略みたいなものへの意志は希薄です」と亀梨。「でも、三池監督や今回共演した菜々緒ちゃんたちに“(亀梨の)お仕事にはいろいろな側面があり、それが成立する時点でちょっとサイコパスでは?”と言われ、確かにその時々、自分でキャラクター設定をしているかもしれないなと。自分としては『こういう部分を出したい』『こう思われたい』という思考ではなく、僕の中の何が一番この場に適しているか? という選択をしているだけなんです。そうして必要にかられ、仕事としてやっているから強い印象として前面に出ているのかもしれません」と自己分析する。その切り替えは彼にとってあくまで自然体だが、「ときには難しいときも正直ありますし、客観的に見たらちょっと奇妙かもしれません」と続けた。

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 それでいて、二宮としての亀梨には奇妙な色気が漂う。キャラクターを構築するうえで「ナルシスト性は、しっかりあっていいだろうということになって。そこは世間の皆さんが抱く“亀梨君”の感じをフル活用すれば間違いないかと(笑)。若い頃に“どう見られるか?”を考えた時間を経ているので、そこで築き上げたものはあるのかもしれません。メイキング映像を見ると、そんなことを思うんです。カッコつけているつもりはないのに、やたらになんかもう……きまってますね! みたいな」と笑う。いつでも自分を客観的に見つめるこのシャープな目線が、幅広い分野で求められ続ける理由の一つなのは間違いなさそうだ。

狂気のサイコパス弁護士…『怪物の木こり』での亀梨和也 - (c)2023「怪物の木こり」製作委員会

 そんな亀梨の俳優デビューは、1999年放送のドラマ「3年B組金八先生」。2024年で俳優活動25周年を迎える亀梨は、「こんなことを言ったら叱られますけど……」と前置きしながら、「若い頃は台本をいただいて、一行でもセリフが多いと嬉しくて。でも最近は多ければ多いほど……という側面が出てきています(笑)」と重ねてきたキャリアの長さを、セリフ覚えの大変さで笑いに変える。もちろんそれは「主役やそれに近い役柄をいただくことが多いので、そのやりがいを感じながら」演じてきた年月でもあった。

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 演じる役柄の変化も実感している。「はじめの頃は『野ブタ。をプロデュース』『ごくせん』と自分の特徴を上手く活用出来る役柄が多かった気がします。その後は、『日常に紛れてほしい』『ぽてっとしたビジュアルで』と自分っぽくないキャラクターを構築する役に挑んできました。映画『事故物件 怖い間取り』、ドラマ『正体』、演出家の前川知大さんとご一緒した舞台『迷子の時間』もそうで、それまでの印象とは違う作品をやらせていただくことが多かった。そうして、ここのところドラマ『正義の天秤』や今回の『怪物の木こり』と俳優としての歩みを始めた頃に近いような役柄のオファーを頂くことが増え、改めてやりがいを感じています」

 だからこそ、目指すところは「亀梨君っぽくないね」でも「亀梨和也全開だね!」でもなく、「こういう人っているよな」と思わせること。横浜が舞台なら、そのキャラクターが横浜の街のどこかを歩いているんじゃないかと思ってもらえるような演技を披露する。「その人が生きている空気感をその街に残したい」というから、二宮役は如何に高いハードルだったことだろう。

亀梨和也、俳優としてさらなる高みへ - (c)2023「怪物の木こり」製作委員会

 そうして難役をまたひとつ自分のものにした亀梨は、40代を目前に「自分の中に大きな枠組み、指針をつくっていこうとしている時期」でもあるそう。「何を手放し、何を蓄え、何を手に入れていくのか? 考えながら進んでいかなければいけない」。それは5~6年前、30歳くらいの頃に「セカンドキャリアというのか、第二の人生を考えたら、もしかしたらそれは芸能界ではないのかもしれない。35歳くらいまでに区切りをつけ、一度人生をフラットにしたいと思っていた節がある」と打ち明ける。

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 それは2015年、KAT-TUNが結成10年の節目に1年8か月の充電期間に入った時期とも重なるが「僕にとって、15周年をキッチリやり遂げるために必要な時間でした」と亀梨。「でも、コロナ禍と重なり、ファンの方たちと向き合えなかったのが心残りでした。KAT-TUN15周年をやり遂げる考えがあったのですが、なかなか全てが上手くはいかなかった。それでも一年一年、自分の思いをしっかり回収させようとしてきました。一方で、個人活動は明確にそうした道筋を考えていたわけではありません。流れや巡り合わせを大切にしていたら、こんな風にどこか感覚を刺激してもらえる作品との出合いがあった。そのことに感謝していますし、それが今年公開されるというタイミングにも、改めて強い巡り合わせを感じます」

 本作をひっさげ、スペインのシッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭に参加したことも彼の俳優への意欲を更にかき立てたようだ。「ここから先、しっかりとこういう場所を視野に入れながら過ごすような、2~3年にするのも悪くないかもしれない、いやそうしてみたい、そんな思いが改めて湧き出てきた。そのことにちょっと喜びを感じています」と結ぶ。俳優・亀梨和也の進化は、更なる深みを増す予感に満ちていた。(取材・文/浅見祥子)

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