「SHOGUN'S NINJA」坂本浩一監督が見出した若き才能たち 特撮でつながる“坂本組”の魅力

日本の三大特撮(ウルトラマン、仮面ライダー、スーパー戦隊)を数多く手がける坂本浩一監督と日本映画放送がタッグを組んだ、新作アクション時代劇「SHOGUN'S NINJA-将軍乃忍者-」。「ウルトラマンブレーザー」の山田姫奈と「仮面ライダーガッチャード」の宮原華音がダブル主演を務める本作には、坂本監督が手がけた特撮ゆかりのキャストが集結した。「坂本組」として役者の輪を広げている坂本監督がインタビューに応じ、作品を彩る新世代キャストの魅力や、特撮レジェンドの起用について語った。
【動画インタビュー】「SHOGUN’S NINJA」山田姫奈&宮原華音&桃月なしこ、特撮出身ならではの裏話続々!
特撮出身キャストとの再会
江戸の町で萬屋を営む風魔忍者の一族の末裔・篝火(山田)とお喬(宮原)の活躍を描く本作。二人の友人で、町一番の娘として知られるお蘭を演じたのが、「魔進戦隊キラメイジャー」の敵幹部・ヨドンナ役でおなじみの桃月なしこだ。
「キラメイジャー」のスピンオフシリーズ「ヨドンナ」(全4作)を手がけた坂本監督は、「『ヨドンナ』を撮った時、ものすごく根性ある人だなと思ったんです。性格も一見ドライな感じに見えますが、役に対してものすごく真摯に向き合い、アクションも真剣に練習して、自分の仕事に対して凄く真面目に取り組んでいると感じて、大ファンになったんです。なしこさんにも、『また絶対一緒にお仕事しよう!』と話していました」とかねてより桃月と再タッグを望んでいたと明かす。
桃月が演じたお蘭は、実在した人物がモデルになっているという。「器量が良く、誰が見ても美しいお蘭といったら、なしこさんしかいないと思いました」と坂本監督。「作品はダブル主演ですが、なしこさんも含めたトリオになってほしいと思っていたので、3人に関しては、最初からこのメンバーで行きたいというイメージがありました」とキャスティングについて語った。
徳川三代将軍・家光役には、俳優の寺坂頼我が起用された。寺坂は、坂本監督がメイン監督を務めた「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」で主人公マナカ ケンゴ役を務め、本作で再タッグが実現した。
「『ウルトラマントリガー』が終わった後、実は別作品で出演オファーをしていて、一緒にやるはずだったのですが、スケジュールが合わずに叶わなかったことがありました。彼とまた一緒に仕事したいと思っていたので、今回の徳川家光役について『こういう役だけど、どう?』と話をしたら、彼も『やりたいです!』と言ってくれました」
ボーイズグループ「祭nine.」のメンバーとして活動していた寺坂は、俳優として本格的に活動しており、アクションにも果敢に挑戦している。「今回は彼のアクションシーンはあまりありませんが、その精悍な顔つきと真面目さが、家光の魅力に合っていますよね。彼はめちゃくちゃ真面目で、すごく可愛い存在なんです」と笑顔で語った。
特撮作品でも活躍!期待の新世代アクション俳優
坂本監督が「ダークホース」と期待を寄せるのが、お志津役の谷口布実だ。お志津は、かつて将軍家直属の剣術指南役の地位を柳生家と争った小野派一刀流・小野忠明の娘で、刀を握ると剣士だった頃の記憶が蘇り、鍛え抜かれた剣術で敵を次々と薙ぎ払っていく。
谷口といえば、坂本監督が手がけた「仮面ライダーガッチャード」で敵組織ハンドレッドの女性幹部・ミメイを演じたことも記憶に新しい。坂本監督に彼女を紹介したのは、“ミスター平成仮面ライダー”の異名を持つスーツアクター・高岩成二だったといい、「布実さんと高岩さんが舞台で共演していて、高岩さんが『ものすごくいい子がいる』と言って紹介してくれたんです。彼女のお父さん(谷口高史)は京都でずっと活動している俳優さんで、殺陣もすごく上手です。しかも、メイク系で有名なインフルエンサーでもあり、海外のフォロワーもすごくたくさんいます」と明かす。
「ガッチャード」で谷口の演技に対する熱量を感じた坂本監督は、その後も武術のワークショップなどで彼女のスキルを評価していた。「必ず布実さんの役を用意して、作品に参加してもらいたいという思いがありました。お志津役は本当に当て書きといいますか、彼女のために作った役なんです」と起用秘話を明かし、「この作品での布実さんのインパクトはものすごく強いです」と彼女の存在感を絶賛した。
そして、谷口と同じく「仮面ライダーガッチャード」で敵組織ハンドレッドの幹部・タソガレを演じた橋渡竜馬も、柳生又十郎役で出演している。俳優のみならず、スーツアクターとしても活躍している橋渡は、「ガッチャード」でタソガレが変身した仮面ライダーエターナルを演じたほか、坂本監督が手がけたドラマ「ウイングマン」でも変身後のスーツアクターを担当している。
「もともと役者志望で『役をやりたいんです』と相談を受けたので、自分の作品でキャスティングしてチャンスをあげるって話をしていたんです」と橋渡とのやり取りを明かした坂本監督。特撮の撮影現場でタッグを組むなかで、橋渡への信頼度が大きくなっていったそうで、本作では柳生一族の三男・又十郎役として重要な役割を託した。「彼も舞台『「進撃の巨人」-the Musical-』のニューヨーク公演などで忙しかったのですが、年明けの大阪公演の前に時間を割いてくれて、スケジュールをうまく調整して参加してくれました」
魅力的な悪役を演じた二人のアクション俳優
篝火とお喬の前に立ちはだかる悪役にも、坂本組ゆかりのキャストが起用された。柳生家の長男・左門役は、「ウルトラマントリガー NEW GENERATION TIGA」でタツミ セイヤ隊長を演じた高木勝也。坂本監督とは舞台「NINJA ZONE」をはじめ、ハンドレッドの幹部・サイゲツ役を務めた「仮面ライダーガッチャード」でもタッグを組んでいる。
「勝也はもともと体操をやっていて、身体のキレもありますし、殺陣も上手なんです。今回の役も、殺陣アクションができることが絶対条件だったので、勝也に『どう?』って話をしたら、『絶対参加したいんで、やらせてください!』とスケジュールを空けてくれたので、左門役にキャスティングしました」
また、お喬役の宮原とは「仮面ライダーアマゾンズ」で駆除班メンバーとして共演しており、初めての坂本組主演で緊張する宮原の心の支えにもなったという。「勝也と仲がいいから、華音も安心していつものモードに戻れるんです。勝也が決まると、華音もすごく喜んでくれました。すごく楽しい現場でしたね。勝也はいつもこちらの要望以上のものを返してくれる信頼出来る仲間ですね」
柳生家の長女・茜役は、元プロレスラーで空手家&俳優とマルチに活躍する長野じゅりあが務めた。坂本監督とは、『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』以来のタッグだ。「役柄とのギャップがすごくて、普段は無茶苦茶天然なんです(笑)。でも、1回パッと役のスイッチが入ると、キリッとした顔に変わります。空手の型で世界タイトルを取ったこともあるのでアクションもキレキレです」と彼女の魅力を語る。
柳生茜といえば、『柳生一族の陰謀』などで志穂美悦子が演じた人物としても知られている。「本作の衣装も、志穂美さんが当時着ていたような青い着物をイメージしています。志穂美さんのイメージが強いので、その役を誰に任せるかを考えた時に、普段は天然だけど、強さと凛々しさを備えた長野じゅりあなら! とオファーさせて頂きました。本当に素晴らしかったです」
「カクレンジャー」30周年がきっかけ!特撮レジェンド起用秘話
そして、亡き風魔一族の頭領・風魔小太郎を演じたのは「忍者戦隊カクレンジャー」のサスケ/ニンジャレッド役で知られる小川輝晃。劇中では、ニンジャレッドのスーツアクターとして活躍した高岩成二(柳生宗矩役)と殺陣を披露するなど、特撮ファン胸熱の対戦カードが実現した。
坂本監督は「カクレンジャー」の30年ぶりとなる正統続編「忍者戦隊カクレンジャー 第三部・中年奮闘編」を手がけており、小川の起用は同作がきっかけとなった。「事件の発端にもなる役なので、風魔小太郎はインパクトがあって、記憶に残る役者さんがいいなと思ったんです。『カクレンジャー』のみなさんとは30周年記念作品を機に仲良くなって、今もプライベートで仲良くさせてもらっています。今回、高岩さんに斬られる忍者役でとなったら、小川さんしかいないと思いオファーしたところ、『やります!』と即答してくれました。小川さんはお芝居はもちろんのこと、貫禄もあります。求めていた風磨小太郎のイメージにピッタリでした。『カクレンジャー』とは違う流派の忍者ですが(笑)。レッドのスーツアクターに斬られる変身前という、特撮ファンなら二重の喜びのあるキャスティングですね」
坂本監督率いる坂本組は、作品毎に新たな逸材を発掘し、ベテランメンバーとの共存で眠れる才能を限界まで引き上げる。また、特撮ファンにとっては、違う作品で活躍していたキャストのシリーズの垣根を越えた共演も魅力の一つだろう。
「仮面ライダー、スーパー戦隊、ウルトラマンと互いに交わらないシリーズでも、自分の作品を介して知り合いになったり、友達の輪みたいなものが広がり、同じ特撮をつくる仲間として仲良くなっていく過程を見るのが自分自身も楽しいですし、一緒にワイワイやりながら楽しく作品をつくって、それがみなさんに評価されるのはすごく嬉しいことです」
“楽しさ”がみなぎる坂本監督作品には、今後も新世代のアクション俳優が参加することだろう。「自分の組の常連さんは何人もいますが、そういう人たちにプラスして、布実さんのように才能がある子がいたら声をかけて、他のキャストと化学反応を起こし、お互いのレベルを上げていけたらいいなと思っています。これからも楽しみです!」(取材・文:編集部・倉本拓弥)
「SHOGUN’S NINJA-将軍乃忍者-」は Prime Video チャンネル「時代劇専門チャンネルNET」で国内配信中、YouTubeチャンネル「SAMURAI VS NINJA」にて海外配信中


