草なぎ剛、不機嫌は現場の敵！先人たちの教え胸に「とにかく笑顔」 高倉イズムで臨んだ『新幹線大爆破』
1975年に高倉健さん主演で映画化された『新幹線大爆破』がNetflix映画としてリブートされた。主人公を務めるのは、2012年に『あなたへ』で高倉さんと作品を共にした草なぎ剛（なぎ＝弓へんに剪）だ。以前からインタビュー等で高倉さんへの思いを話していた草なぎが、あらためて自身にとって大きな存在である高倉さんについて明かした。
1975年の『新幹線大爆破』は、新幹線を爆破すると予告した高倉さんふんする犯人の沖田哲男がメインの物語だったが、本作では、草なぎが演じる爆破予告を受けた新幹線の車掌を務める高市が主人公となっている。
草なぎと言えば、2012年に公開された映画『あなたへ』で高倉さんと作品を共にし、親交を深めた間柄だ。草なぎは「僕は若い時から（バラエティー番組）『笑っていいとも！』に出演させていただいていたのですが、後説でいつも関根勤さんが『新幹線大爆破』に出演している千葉真一さんの物まねをされていたんです。そこでこの映画のことを知って鑑賞したんです」と出会いを述べると「健さんはこの作品でも本当に格好いい。すべてのシーンで説得力がある。バイクに乗っているシーンも、当時あれだけスタイリッシュに乗りこなしている人はいないと思う」と高倉さんの演技に魅了されたという。
その後、草なぎは『あなたへ』で高倉さんと初めて現場を共にし、多くのことを学んだ。その存在は強い憧れとして、草なぎの心に残った。そんな高倉さんが、いわゆるアンチヒーローとして臨んだ『新幹線大爆破』のリブート作品で、主演として作品の真ん中に立つ。
「役柄の立ち位置は違うのですが、健さんが主演を務めた映画で、同じ主役という立場で作品に臨めたことは本当に嬉しかった。僕は『あなたへ』で健さんと共演させていただいてから、どんな役を演じる時でも『健さんに近づきたい』という思いが強く、健さんがおっしゃっていたことを常に咀嚼して役に落とし込む作業をしていました。今回も健さんから影響を受けた“高倉イズム”みたいなものはずっと気持ちのなかにありました」。
2024年公開の映画『碁盤斬り』では、京都太秦での撮影中、何度も高倉イズムを感じながら撮影ができたという草なぎ。一方で、本作では「まったく健さんが降りてこなかった」と語ると「しっかり自分で役に向き合ってつかんでいかなければいけないという健さんのメッセージだったのかなと思うんです。だから僕自身も高市に徹しました。それは『いつまでも俺に頼るんじゃねえぞ。ちゃんと自分の力で高市を作りなさい』という高倉さんの意思だったのかなと今では感じています」と撮影を振り返っていた。
オリジナル版の公開当時、高倉さんは44歳。草なぎも芸能界ではベテランの域に差し掛かってきた。「現場に入ると自分よりも若い方々が増えてきました」と変化について述べると「自分より年下の監督さんもいますからね。その意味では、しっかりしなければいけないなと思うんです」。
一方で草なぎは「でも、全然ちゃんとできていないんですよね」と苦笑いを浮かべると「『しょうがないな剛くんは』と思われているんじゃないかな。本当に周りの人に助けられています。僕はただただ自由にやらせてもらっているだけ。いまの若い俳優さんたちは、とても高い才能をお持ちの方が多いんです。僕ができることは、そういう人たちのために、絶対に手を抜かないこと。あとは周りを不快にしないこと。そして不機嫌にならないこと」と極意を述べる。
こうした現場での立ち振る舞いは、偉大なる先人たちから学んだという。
「萩本欽一さんから『剛くん、わからないことがあっても笑っておきなさい』と言われました。とにかく現場が明るくなることは作品のためにもなる。あとは高倉健さんとか大杉漣さんとか、つかこうへいさんとか……。たくさんの方々から、いろいろなものをいただいているので、やっぱりお芝居は真面目に取り組むべきだと思っています」。
「とにかく笑顔」と語った草なぎ。続けて「僕はどんな作品でも、観ていただける方に勇気や元気を持って帰ってもらいたいという思いがあるんです」と現場で心がけていることを明かすと「この現場でも、共演した尾野真千子ちゃんほか、馴染みのある俳優さんがたくさんいたので、とても楽しい撮影でした」と満面の笑みを浮かべ「樋口監督と共に熱い熱量で撮影した作品。必ず作品から何か感じ取ってもらえると思うので、ぜひご覧ください」と熱い思いを語っていた。（取材・文：磯部正和）
Netflix映画『新幹線大爆破』は4月23日世界独占配信
スタイリスト：栗田泰臣 Yasuomi Kurita／ヘアメイク：荒川英亮 Eisuke Arakawa