【最速レビュー】『サンダーボルツ*』ダークで泣ける新次元マーベル映画 愛すべきならず者たちの新チーム誕生

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のならず者たちがチームを結成する新作映画『サンダーボルツ*』。A24を彷彿させるアートな映像美、『トイ・ストーリー3』から影響を受けた“泣ける映画”として公開前から注目されていた本作は、その期待を裏切ることなく、愛すべきアンチヒーローたちの再起をダークかつドラマティックに活写した一本だ。
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サンダーボルツ*のメンバーは、心の傷を抱えたアウトサイダーたちだ。元ウィドウのエレーナは姉・ナターシャを失くした喪失感にさいなまれ、キャプテン・アメリカの称号を剥奪されたジョン・ウォーカーは夫婦関係が破綻している。本作は、彼らの痛み、弱さ、再生への渇望を、過去のMCU作品が描かなかった生々しさで、痛切に描き出す。複雑な人間ドラマを視覚的に描写した「BEEF/ビーフ ~逆上~」のジェイク・シュライアー監督が、本作でも手腕を発揮し、過去と向き合うサンダーボルツ*を意外性ある視覚描写で楽しませてくれる。
不完全な6人のメンバーは、序盤こそ殺し合い&騙し合いを繰り広げるが、徐々に仲間意識を見出し、サンダーボルツ*として機能していく。ダークな世界観であるため、メンバー同士のジョークは切れ味が鋭く、アベンジャーズにはない緊張感がたまらない。中でも、ロシア産スーパーソルジャーのレッド・ガーディアンはコメディーリリーフに徹しており、随所で輝きを放つ。チームを導く“先輩”バッキー・バーンズとの絶妙に噛み合ってないやり取りも新鮮でたまらない。
『サンダーボルツ*』は各メンバーそれぞれスポットが当てられるが、物語の主軸はエレーナと言えるだろう。スパイ養成機関「レッド・ルーム」時代のトラウマ、拭えない心の傷と向き合い、もがきながらも“真のヒーロー”へと成長していく。フローレンス・ピューの熱演は涙腺を刺激し、エレーナがハマり役であることを改めて証明してみせる。
謎多き敵・セントリーはネタバレ要素が多いため、詳細には書けないが、予告編の「アベンジャーズ全員よりも強い」という言葉が決して誇張ではないことをすぐに実感するだろう。ニューヨークを舞台にしたサンダーボルツ*とセントリーの対決は、『アベンジャーズ』のNY決戦とは異なり、意外性ある展開が待ち受ける。絶望の淵でサンダーボルツ*が手を取り合う姿は、『トイ・ストーリー3』のクライマックスを彷彿とさせ、胸を熱くさせる。
サンダーボルツ*の物語は、まだ始まったばかり。『アベンジャーズ』シリーズ最新作『アベンジャーズ:ドゥームズデイ(原題)』(2026年5月全米公開)への出演が決定し、今後のMCUを大きく左右する存在となるだろう。本作は『ドゥームズデイ(原題)』の序章としても機能し、アベンジャーズとの本格共演に向けて、期待をさらに増幅させる。マーベル映画のお約束、「エンドロール後まで席を立つな」は、本作もその鉄則を裏切らない。(編集部・倉本拓弥)
映画『サンダーボルツ*』は5月2日(金)全国公開


