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リブート版『新幹線大爆破』JR協力で成立した現実感『シン・エヴァ』デザイナーも貢献【ネタバレあり】

特別協力で実現した「現実らしさ」にも注目
特別協力で実現した「現実らしさ」にも注目

 1970年代を代表する本格エンタテインメントをリブートした樋口真嗣監督の最新作『新幹線大爆破』がNetflixで配信中だ。走行中の新幹線に仕掛けられた爆弾をめぐり、犯人と鉄道会社の息詰まる攻防戦を描いた本作には、JR東日本が特別協力として参加。撮影用の特別列車の走行など撮影面だけでなく、新幹線の構造など技術面でもアドバイスを行った。リアルに徹するだけでなく、リアルに見せるにはどうするか「本物らしさ」にこだわった協力体制を樋口監督に聞いた。(取材・文:神武団四郎)(ネタバレ注意。以下、一部内容に触れています)

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 新青森発、東京行きのはやぶさ60号に爆発物が仕掛けられていることが発覚。新幹線の時速が100kmを下回れば、即座に爆発するという。犯人の要求1,000億円。政府を交えた交渉が難航する中、車掌の高市(草なぎ剛)ら乗員をはじめとするJRの鉄道人たちは乗客の避難も模索するのだが。

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 時速100km以下になると爆発する爆弾を仕掛けられたはやぶさ。ポイント通過時の速度は80km以下に制限されているが、劇中には105kmで突っ込んでいく。「こちらが出したアイデアは、ほとんど叩き返しがありました」と樋口監督。これまで何度も手がけてきたメカシーンが、いかに絵空事か思い知らされたという。「レールの上を一方向に走るだけでもこんなに大変なんだと思いました。これで腕や足が生えた乗りものだったら、どれだけ難しいんだって訳です。これまでやってきたことが、いかに空想の産物だったのか、ということですね」

「レールの上を一方向に走るだけでもこんなに大変なんだと思いました」(樋口監督)

 中でも多くのやりとりをしたのが、中盤の山場である走行中の車両の切り離しシーン。高市らは車両デッキ部分の床板を外し、むき出しになった連結器を巨大なスパナを使って解除する。床板を焼き切り爆弾を取り外したオリジナル版のクライマックスを彷彿とさせる、スリリングな見せ場である。「まず高市はビス止めされた床板を外します。でも通勤列車と違って高い安全性が求められる新幹線は、床板が固定されていて基本的に車内からは開けられない仕組みなんですよ。このくだりに関して、JRさんには映画だからファンタジーとして捉えていただきました」と笑う樋口監督は、あらためて新幹線の堅牢性を思い知らされたという。ちなみに連結器まわりの仕掛けなどは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』シリーズでメカニックデザインを手がけた高倉武史のデザインだ。「実際の連結器の構造を調べ、ここに何かを当ててこう動かせば外れているように見えるんじゃないか。そんな風にデザインしてもらった現実にはない仕組みなんです」

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樋口真嗣監督

 JR東日本が特別協力として参加した本作。樋口監督は、映画で描こうとしている描写が正しいかどうかだけではなく、どう見せるかの部分でも協力が得られたとふり返る。「たとえば車掌室の椅子を外すシーンで穴が見えるんですが、実際にそんな穴はないんです。作劇上の嘘ではありますが、それをいかに本物らしく見せるにはどうするか。どんなシーンを積み重ねたら良いのかアドバイスをいただいたのは大きかったですね」。JR東日本の協力が、フィクションの枠を超えた『新幹線大爆破』のリアルな描写の数々を支えていたのだ。

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