日曜劇場「キャスター」道枝駿佑の進化にプロデューサー感嘆「お芝居の質が変わってきた」 第9話は「さらに衝撃的」

現在放送中の日曜劇場「キャスター」。物語はいよいよ最終章に突入し、原子力関連施設が集中する芦根村に隠された黒い疑惑を暴こうとする進藤壮一(阿部寛)と、彼の過去が交差していく展開になっている。作品の絶対的な柱として強い存在感を表している進藤役の阿部に正面から対峙しているのが、総合演出を務める崎久保華役の永野芽郁と、アシスタントディレクター・本橋悠介を演じる道枝駿佑だ。永野と道枝を起用したプロデューサーの伊與田英徳が、二人の演技を総括した。
【画像】本橋悠介と進藤の関係はどうなる?「キャスター」第9話
永野芽郁は「阿部さんに対して一歩も引かない」
民放テレビ局JBNの報道番組「ニュースゲート」。本作では、忖度がはびこる報道に風穴を開けるべく登用された型破りなキャスター・進藤壮一が、独自のルールで真実と向き合う姿が描かれる。阿部が演じる進藤は、どんなことがあってもブレずに、自身の信念を貫く、圧倒的な強さを持つ主人公だ。
そんな進藤のやり方に対して思うところを持つ「ニュースゲート」の総合演出・崎久保華、そして進藤に憧れ、手足となって働くADの本橋。華と進藤の因縁が第7話までで描かれ、ひと段落ついたかと思っていたら、第8話のラストで、進藤のスキャンダルに関わっているとみられる描写があった本橋。どちらも巨星とも言える進藤にぶつかっていく若手という重要な役割を担った。
伊與田プロデューサーは「永野さんは“阿部さんとやりたかった”と話していましたし、道枝くんも“報道マンというのは初めての役柄ですごく楽しみ”と意欲を見せていました。阿部さんがドラマの中心に君臨しているなか、すごく真正面からぶつかっていってくれました」と期待通りの芝居を見せているというと「俳優でもない僕がいうのは偉そうですが、少しずつ成長しているなと感じました。最終章に入り、進藤の内面にグッと迫る阿部さんの芝居に対して、二人とも心で演じてくれています」と、さらに終盤に向けて二人の芝居に期待するところが大きいという。
永野に対して「元々これまでドラマや映画の主演を務めている女優さんなので、しっかりとした世界観を持っている方」と俳優としての資質に触れると「すでに第1話のときから進藤との対決シーンでは、ワクワクするような演技をしていました。後半になると、進藤に対する思いが明らかになっていったのですが、阿部さんに対して一歩も引かない。観ていてもとても面白かった」と意外な組み合わせの妙が最初から出ていたと評価。
一方の道枝に対しては「撮影が進むにつれて、お芝居の質が相当変わったような気がしています」と切り出すと「お芝居というのは、相手がいることで変わるのですが、今回すごくそれを楽しんで演じているのかなと思うんです。最初のころは“悲しい”“楽しい”という感情を一方的にぶつける感じだったのですが、相手との駆け引きをしながら演じているように見えます。直接本人と話したわけではないので、何とも言えませんが、観ている側からすると、そう思える瞬間が増えてきました」と最終章でさらなるキーマンになってきそうな道枝への思いを述べていた。
阿部寛、型破りキャラの絶妙な匙加減
そんな二人を真っ向から受け止め、さらに包み込むようなダイナミックな芝居を見せる阿部。伊與田プロデューサーは「阿部さんは“これは難しいかな”と思うようなセリフも、グイっと乗り越えていくパワーがすごい」と力強さを称賛するが「でも決してパワーだけではない。引くところや柔らかくいくところのバランスがすごい。考えてきているのか、その時の直感なのか……。こちらが“どう切り抜けるんだろう”と思うようなところを想像以上のお芝居で埋めてくださるのはさすがだなと思いました」と緩急自在の演技にしびれているという。
過去伊與田プロデューサーと阿部は何度もタッグを組んでいるが「あらためて、この役は阿部さんでなければできない。ある種パワハラっぽい描写もありますが、それをパワハラに感じさせない。その匙加減は絶妙です」と舌を巻く。
そんな阿部について「最後は進藤と(JBN会長である高橋英樹演じる)国定とのバトルが見どころです」と述べると「阿部さんも百戦錬磨の俳優ですが、さらにその上をいく英樹さん。この二人のやり取りは観る価値があると思います。なかなかタイトなスケジュールでしたが、お二人ともしっかりセリフも入っていましたし、手に汗握ります。英樹さんはいつもニコニコされている方ですが、怒ると怖い。もちろん芝居のなかのことですが……(笑)。ニュースゲート中では、すべての人を受け止めていた阿部さんですが、英樹さんとの対峙では、阿部さんがぶつかっていくような部分もあり、そこも見どころだと思います」と語っていた。
ドラマも残り2話を残すのみ。伊與田プロデューサーは「進藤がなぜキャスターになったのか。そこにお父さんの死がどのように絡んでくるのか。彼が自分のルーツを発見していく過程のなか、それを見つめる華や本橋の視線にも注目してほしいです」と思いを述べると「9話ではさらに衝撃的なことが起こります。そのなかでどう報道と向き合っていくのか、しっかりと見届けて欲しいです」と語った。(取材・文:磯部正和)


