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カンヌが注目する12歳・鈴木唯、劇中で馬の鳴き声を披露した理由明かす

鈴木唯
鈴木唯

 12歳にしてカンヌ国際映画祭コンペ出品作『ルノワール』(6月20日公開)で主演を飾った新鋭・鈴木唯が10日、千代田区丸の内の日本外国特派員協会(FCCJ)で行われた記者会見に出席し、しっかりしたやり取りで会場を魅了した。会見には早川千絵監督、石田ひかりリリー・フランキーも登壇した。

【トークノーカット】鈴木唯、リリー・フランキー、石田ひかりら会見の模様

 長編初監督作『PLAN 75』(2022)で、第75回カンヌ国際映画祭カメラドール特別賞に輝いた早川千絵監督の3年ぶりの新作となる本作は、1980年代後半の夏を舞台に、闘病中の父と、仕事に追われる母と暮らす11歳の少女フキを描き出したドラマ。この日の会見は、映画上映後の19時半過ぎからおよそ1時間にわたって行われたが、“義務教育終了前の演劇子役”に区分される鈴木は、労働基準法により20時までの出席となった。

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 今年5月に行われた第78回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品された本作。鈴木は「カンヌ国際映画祭が選ぶ注目すべき10人の才能」に選ばれているが、そのことについて質問されると「カンヌの10人に選ばれたことはすごくうれしくて。心の思い出に残っています。この先もどんどん俳優を頑張っていきたいなという気持ちになりました」とまっすぐな眼差しで回答。

 そんな鈴木のキャスティングについて「この映画はフキが見つからないと撮れないと思っていたので。大々的にオーディションをしたんですが、彼女が最初にフキに会ってしまったと。幸運な出会いでした。子役と一緒に映画をつくるのは初めての経験だったので、監督としてもチャレンジングでしたが、ふたを開けたら彼女が自然に演技をしてくれるので、監督として楽をしてしまったなという感じです」と振り返った。

 そして両親役の石田、リリーの芝居について「リリーさんたち先輩の演技を見て。とても尊敬というか。わたしもこんな演技をやってみたいと思いましたし、ふたりの演技を見習って、演技が上手くなりたいなと思いました」と語る鈴木。「フキと似ているところはある?」との質問には、「一番似ているなと思ったのは、素直なところとか、思ったことを率直に行動に移したりするところ」と語る。

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 劇中でフキは、動物のモノマネが得意という設定になっているが、これは鈴木自身の特技から生まれた設定なのだとか。鈴木が「実は、これはたまたま。ある日、声を出していたら、馬みたいな鳴き声が出て。“なんか馬の鳴き声ができたんだけど”と思って、もう一回やってみたらできて。それで馬の鳴き声ができた。羊もそうだし、もともと猫を飼っていて好きだったので、遊んでいる時に猫の鳴き声を出していたので、そうしたらうまくなっちゃって。それで今に至る」と返すと会場は大笑い。

 早川監督も「オーディションで“得意なことはありますか”と聞いたら、動物の鳴き声ができるというので。彼女のオススメだという馬の鳴き声をやってもらったら本当にすばらしくて。その日のうちに脚本を書き加えました」とその鳴き声を絶賛。その流れで実際に鈴木に馬の鳴き声を実践してもらうこととなり、見事成功。会場を大いに沸かせた。

 この日は常にハキハキとしたやり取りを繰り広げ、会場からは終始、笑い声が漏れるなど、和やかな雰囲気。報道陣から、劇中のフキも、本人も「12歳とは思えない安定感がある」と指摘された鈴木。「どうやって演じた?」という質問には「基本的には普段もこんな感じ。ただ演技している時は何も考えていないので、無感情というわけでもないけど、感情がありすぎるわけでもない。ちょうどいい感じでした」と明かすと、感嘆の声がわき起こった。

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 そんなやり取りを経て、ついに20時が過ぎ、鈴木は退席。「主役が帰って。ずいぶん湿っぽい画になりましたね」と冗談めかしたリリーだったが、ここからはさらに映画の内容を深掘りして語り合う場となった。

 報道陣からは「相米慎二の『お引越し』(1993)を思い浮かべた。小さい子どもというわけではなく、ティーンエイジャーでもない、ちょうど変わり目の時期にある主人公は田畑智子さんを思い浮かべた。実際に意識した?」という指摘も。早川監督は「昔から子どもを描いた映画は大好きで。その中でも『お引越し』は特に好きな映画で。相米慎二監督はずっとあこがれを持っていた監督なので。今回『ルノワール』をつくるにあたって『お引越し』はものすごく大きな影響を受けています。しかし(鈴木)唯ちゃんにはそれは言いませんでした。彼女にこれを観ておいてと言った映画は『お引越し』ではなく、ビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』(1973)でした」と明かした。

 また、タイトルにもなっているルノワールの絵画は、劇中で少女のポートレートが登場する。その意図について質問がおよぶと早川監督は「ルノワールの絵って子どもの頃、80年代には西洋の有名な絵のレプリカが人気で。新聞広告とかの通販とかで売られていたんです。なぜか女の子の肖像画に惹かれて。父親に買ってほしいと言った思い出があって。(劇中の)80年代を撮るにあたって、西洋の文化へのあこがれを持っていた時代。そんな中で、ニセモノの絵を飾って満足しているのが、当時の日本人の感じを表しているなということもあって。モチーフにしたということもあります」と話した。(取材・文:壬生智裕)

【トークノーカット】鈴木唯、リリー・フランキー、石田ひかり、早川千絵監督が登壇した映画『ルノワール』外国特派員協会記者会見 » 動画の詳細
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