芦田愛菜&岡田将生、細田守作品に初参加『果てしなきスカーレット』声優に決定

映画『竜とそばかすの姫』(2021)、『サマーウォーズ』(2009)などで知られる細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』(11月21日公開)の声優キャストが発表され、主人公のスカーレット役を芦田愛菜、スカーレットと旅を共にする日本人看護師・聖(ひじり)役を岡田将生が担当することが明らかになった。二人とも細田作品は初挑戦で、映画『星の子』(2020)以来、5年ぶりの共演。スカーレットと聖を描いたポスタービジュアルも公開された。
本作は、父の復讐に失敗した主人公の王女・スカーレットが、“死者の国”で再び宿敵に復讐を果たそうとする物語。“生きる”をテーマにかかげた細田監督の「人は何のために生きるのかを問う、骨太な力強い映画を目指したい。今、この大きなテーマを、観客と一緒に考えたい」という想いから始まり、ティザービジュアルや特報映像が公開されると、これまでのスタジオ地図作品と異なる主人公の設定や壮大な世界観が話題となった。
芦田が演じるスカーレットは、果てしなき復讐劇に身を投じる中世の王女。もともとは平和を望む心優しき王女だったが、尊敬する父親を目の前で殺されたことから復讐に取り憑かれる、狂気をはらんだキャラクターだ。復讐相手に怒りを露わにし、アクションシーンでは声を張り上げ、自身の復讐心に苦悩するなど、今までの芦田のイメージにはない役どころ。劇中ではその過去も描かれ、当時19歳だった芦田が、子ども時代と19歳のスカーレットを演じ分けた。
本作の芦田について、細田監督は「スカーレットをここまで表現できたのは芦田さんのおかげです。凄まじい演技の連続で、なんと素晴らしい俳優なんだ、と収録中、何度も驚きました。復讐に取り憑かれた中世の王女に、芦田さんは全身全霊で憑依しています。彼女の可愛らしい外見からはとても想像できないほど、本番中は迫力に満ちています。圧倒的な狂気と、身悶えするほどの葛藤、そしてその奥に隠れた清らかな人間性が、十二分に表現されています。芦田さんのお芝居は、この映画の大きな見どころのひとつです」と絶賛している。
一方、長編アニメ声優初挑戦となった岡田が演じる聖は、スカーレットと旅を共にする心優しい看護師。現代の日本で命と向き合う日々を送っていたが、ある日、“死者の国”で目を覚まし、そこでボロボロに傷ついたスカーレットに出会う。傷ついた人を癒すことを使命としており、スカーレットに何の見返りもなく手を差し伸べる聖。なぜ自分が“死者の国”に迷い込んだのか分からないまま彼女の旅を支え、バディとなる。岡田は、人気ドラマ「トラベルナース」(2022~2024)でも看護師を演じており、アフレコ時には「いろんな仕事が地続きに繋がって(その経験が)生きていることを実感しています」としみじみ。
細田監督は「岡田さんは、演技が上手くて誠実で、でも謙虚で控えめな方でもある。“聖ってこういう人かもな”と、聖の人物像を、岡田さんを通して理解したような感覚がありました。聖は、命に関して真摯に向かっていく能動的な力もあれば、スカーレットのように復讐という怒りと狂気を持った人物にそっと寄り沿って慰める優しさもある。この両面性は、岡田さんご本人の人間性とも通じるものがある、と感じます。役と俳優がぴったり噛み合っている、と強く思わせられました」と聖のキャラクターを作り上げるうえで、岡田の存在の重要性を語っている。
今作では、細田作品では初の試みとなるプレスコ(プレスコアリング)での収録を実施。プレスコとは、キャストの声を先に収録し、その声に対して制作側がアニメーションを制作していくという手法。声の演技を聞いて、制作側が後からアニメーション表現を組み立てるため、芦田と岡田は1年前にプレスコを行い、あらためてシーンにあわせてアフレコに挑んだ。
プレスコはそれぞれでの収録だった一方、アフレコでは一緒に収録することになり、芦田は「2人一緒に演じさせていただけて、聖とスカーレットの対比がとても演じやすかったです。一緒にアフレコができてよかったなと思っています」と語り、岡田は「今回の経験は僕にとってすごく大きいことで、大好きな細田監督とご一緒できて良かったと実感しています」と語っている。芦田愛菜、岡田将生のコメントは以下の通り。(編集部・入倉功一)
芦田愛菜&岡田将生コメント
<芦田愛菜>
スカーレットは、中世の王女で私と同世代の 19 歳という設定ですが、根底にあるものや価値観が違う部分がたくさんあり、演じることがとても難しかったです。
監督から「現代の 19 歳と中世を生きる 19 歳は違う。一国の王女としての自覚や覚悟がある感じがほしい」と言葉をいただき、ジャンヌダルクやエリザベス 1 世など、動乱の世を生きた女性たちのことを調べ、少しずつ役作りしました。“復讐”とはどのような気持ちなのか、きっと大きな声を出さないと立ち向かっていけないだろうと想像しながら演じました。叫ぶシーンでは、少し戸惑いもありましたが、全力でやってみて“これだ!”と吹っ切れた瞬間があり、どんどん役が体に馴染む感覚がありました。
スカーレットは、復讐に燃えて狂気的に見える部分もありますが、そうせざるを得ない状況を思うと、愛おしく、まっすぐ駆けていく姿は、観てくださる方々も応援したいと思ってもらえるのではないかと思います。
混沌とした世界の中で一生懸命に生きようとする人々が描かれた作品ですが、それは現代世界にも通じる部分があり、また、苦しいことや絶望してしまうことがたくさんある中、それでも一生懸命前を向いて生きようとする人々に、いち観客として心打たれました。そのような明日への希望を感じていただける作品になっているのではないかと思います。
<岡田将生>
長編アニメの声優に初めて挑戦しましたが、声だけでの表現はとても難しく、感情がこんなにも伝わりづらくなることを今回初めて知りました。色々なアニメを観させてもらっていますが、声優さんのすごさを改めて実感しています。
僕が演じた聖は、困っている人たちに何の見返りもなく手を差し伸べるような人で、簡単に言うととても理想主義者です。復讐に燃えるスカーレットの鞘(さや)のような存在となれるよう、彼女の支え方や寄り添い方、聖の優しさや誠実さを伝えられるようにキャラクター像を作っていきました。スカーレットから反発されるシーンもありますが、今この世界でとても必要な人だと思います。スカーレットが抱えている問題や彼女が導き出す答えを、皆さんも彼女とストーリーに沿って考えながら、聖を通して、優しさや人に対して誠実さを求めてはいけないのか、求めるべきなのか...感じ取っていただけたら嬉しいです。
細田監督の作品をいつも楽しみにしていましたが、自分がその内側に入れてもらえたことは嬉しくもあり、不思議な感覚です。正直、まったく内容を知らないまま、映画館で観たかった...と思ってしまう“細田作品ファンな自分”もいます。
いちファンとして作品が完成するのを楽しみにしています。皆さんも是非、楽しみにお待ちください。


