染谷将太、細田守監督の中学時代のアニメに鳥肌「今の監督の作品に続いている」と絶賛

アニメーション作家・細田守監督の歩みとその創作の原点に迫る特別展覧会「細田守の原点/展」の内覧会&トークショーが19日に東京・京橋の CREATIVE MUSEUM TOKYO で行われ、細田監督と、細田作品には4本出演している染谷将太によるトークセッションを実施。その世界観を深掘りしていった。
染谷と細田監督の出会いは『おおかみこどもの雨と雪』のオーディションに遡る。もともと細田作品のファンだったという染谷は、「細田さんの作品のオーディションを受けられるということですごく緊張していました。声の仕事もやったことがなかったですし」と振り返る。「当時19歳くらいだった」といい、子どもの役も狼男の役も「合わない」ということだったが、その実力と存在感を高く評価した細田監督は、田辺先生の声に抜てきした。
『バケモノの子』ではオーディションを行わず、主人公・九太役(青年期)を直接染谷にオファーしたという。「引き受けてくれて嬉しかった」と語る細田監督に対し、染谷も「主人公が成長していくさまを演じるということでしたが、現場には監督がいて、(役所広司ら)すてきな役者さんたちが九太を見守っているという、本当にあの作品のような景色がスタジオでも広がって。みんなでつくりあげていくという感じが楽しかったですね」と述懐。実写映画でもなかなかない、“順撮り”というスタイルにも「本当にぜいたくな現場だった」と感銘を受けたと明かす。
さらに染谷は、細田作品の魅力について「純粋にエンターテインメントとして楽しめるのはもちろんですが、人々の変化と時代の変化が伴って表現されているところがすごく自分の胸に響くんです」と熱弁。「子どもが生まれたのは『おおかみこども』に参加した後だったんですが。自分に子どもが生まれて、家族を持った今、もう一度作品を観ると全く違う感覚になります。世代を超えていろんな捉え方ができるというか、ぶれない信念があるというところが、自分としては毎回胸に響きます」と付け加えた。
『サマーウォーズ』が公開された2009年当時を振り返り、「まだガラケーが使われていた時代だったのかと。そんなに前の時代の映画だったのか、というのは衝撃でした」と笑う染谷。細田監督は「AIと僕らの関係性ということでいうと、今、まさにここで直面していることだったりするじゃないですか。時代がたっても、同じようなことをその映画から発見できるというのは映画のおもしろさじゃないかなと思います」と力を込めた。
「細田守の原点/展」は『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』といった代表作を中心に、絵コンテ、原画、美術ボードなど300点以上の貴重な制作資料が展示される。天井高5メートル、約1,200平方メートルの大空間を活かし、『サマーウォーズ』の「OZ」の世界観を再現し、「KING KAZMA」と「LOVE MACHINE」の等身大フィギュアがお出迎えするエリアや、『時をかける少女』以前の東映アニメーション在籍時の資料や、中学時代に8mmフィルムで制作した自主アニメーション作品や、大学時代につくった自主制作映画、油絵なども展示。過去の貴重な展示品とともに、その創作の軌跡を追体験できる展示となっている。
展覧会の大きな目玉が、細田監督の“原点”となる作品群だ。会場では、監督が中学3年生の時に8mmフィルムで制作した自主制作アニメーションも上映されている。「めちゃくちゃ恥ずかしいんですよ。皆さんも中学生の時に書いた文章を人に読ませるなんてとてもできないと思うと思うんですが、それに近いことを今やらなきゃいけないというのが……展覧会というタイミングで出さざるを得なくなってしまって」と照れくさそうにコメント。
だが、染谷は「これは本当にすごかった。中3でこれを作れるというのもそうですし、出てくるモチーフが、今の監督の作品に続いているものがあって、本当に鳥肌が立ちました」と感銘を受けた様子。細田監督も「今回の展覧会を機に過去を振り返ると、やはり龍が出てくるし、結局、“三つ子の魂百まで”といったものがあるのかなと思いました」と振り返った。
アニメーションだけでなく、展示では、大学時代の油絵や実写の自主映画、当時の本棚の再現など、クリエイター・細田守の根幹を成す貴重な品々が並んでいる。染谷は「自分も大学時代は同級生と自主映画を撮ったりと、何かを作りたいという欲求が強い学生時代を送っていたので共感できましたし、それがうれしかった」と語り、「なかなか観ることのできない監督の原点を知ることができて嬉しかったです」と付け加えた。
細田監督は「そういう『作りたい』という衝動は抑えきれないというか、誰かに頼まれるとか、お金をもらえるというわけでもないのに、作らずにはいられないというままに今まできてしまったというところがある」と語り「今の若い人たちも、こういう展示を見て『自分もやっていいんだ』とか『自分ならもっとうまく作れるぞ』といったふうに、刺激になればいいなと思います」と、未来のクリエイターたちへエールを送った。(取材・文:壬生智裕)
「細田守の原点/展」は CREATIVE MUSEUM TOKYO にて2026年6月20日(土)~8月31日(月)まで開催
巡回情報
大阪会場:グランフロント大阪 北館 ナレッジキャピタル イベントラボにて2026年10月28日(水)~2027年1月4日(月)
福岡会場:福岡市美術館にて2027年1月22日(金)~3月28日(日)


