「べらぼう」歌麿の切ない片思い…染谷将太が分析「恋愛感情という言葉に当てはめられない何か」

横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほかで放送中)の7月6日放送の第26回では、形だけの夫婦だった蔦重(横浜流星)とてい(橋本愛)との関係に進展があり、喜多川歌麿(染谷将太)の心も揺れ動く展開に。染谷は、歌麿の蔦重に対する複雑な思いを「恋愛感情という言葉に当てはめることができない何か」と解釈しているという。
歌麿「生まれ変わんなら女がいいからさ…」蔦重への切ない思い映す場面写真
のちに美人画で江戸に旋風を巻き起こすこととなる絵師・喜多川歌麿。蔦重が出した歌麿の作品が数多く残されており、史実でも二人の親交は深かったとされているが、ドラマでも蔦重が迷った時には歌麿が「何がどう転んだって俺だけは隣にいっからさ」と励まし、SNSでは「歌は女房ポジション」と噂されていた。しかし、蔦重が日本橋に店を持ち、本屋の娘・ていとの結婚話が持ち上がると歌麿は激しく動揺。前話・第25回ではついに蔦重とていが夫婦となった。
蔦重とていの結婚はもともと「商いのため」と割り切ったものだったが、第26回では米の値が上がり、さらに蔦重の母・つよ(高岡早紀)が現れたことで二人の関係に変化が。蔦重とていが初めて一夜を共にした際には「よかったな……蔦重、よかった」とつぶやき、枕を涙で濡らした。
相変わらず色恋に疎い蔦重は歌麿の気持ちにさっぱり気づいていない様子だが、蔦重の母つよは「歌はあの子の念者なのかい?」とていに尋ねていた。歌麿の蔦重への気持ちについて、染谷は「蔦重への気持ちはたぶん子どものころから変わらないと思います。一緒にいたい、一緒に何か物を作りたいっていう気持ちの根っこの部分が何なのか気付いてなかったというか、蔦重への気持ちを改めて感じ直しているっていう。恋愛感情という言葉に当てはめることができない何か、というふうに自分は捉えて演じています。蔦重が人生のすべてになっていたところもあるので、その関係性の形が変わることはすごく不安になるけど、自分には得られない幸せを蔦重が得られることは喜ばしいことではあるという、すごく複雑な状況だなと思います」と分析。
蔦重がていに「旦那様」と呼ばれてデレッとするのを見て「フン」とした顔をする場面もあったが、歌麿のていに対する思いについては「歌麿としては、当たり前のようにいた義兄さんが今までの義兄さんじゃなくなるっていう、家族を一人奪われた感覚になってしまっているので、気にくわないんですけど(笑)。蔦重だけではなくていさんも、歌麿が絵師として次のステップに行くためのきっかけの一つ、そういう影響を与えているのかなとは思います」と見る。
蔦重が米の値下げに願いを込め、狂歌集「歳旦狂歌集」の制作に乗り出したことで歌麿も巻き込まれ、蔦重のもとにとどまることに。なぜか「千代女」の名で挿絵を描き、「いかにも売れてる感じでめでたくねえ? 俺に弟子がいるって感じでよ」という歌麿に、蔦重はなぜ女名になっているのかと問う。それに対し、歌麿は「生まれ変わんなら女がいいからさ……」とつぶやく。やはり蔦重は察しない様子だったが、視聴者の間では「サラッと告白したぞ」「マジで蔦重に惚れてんだな」「歌が失恋してる」と胸中を慮りしんみりしていた。
今後の歌麿について、染谷は「“蔦重と向き合うこと”は、“自分と向き合うこと”。自分の過去とも改めて向き合うことだと思って、自分の存在意義であったり、人として絵師として、自分という存在は何なのかということを探し出しているそんな時期なんじゃないかなと思っています」と話している。
なお、サブタイトルの「三人の女」とは誰を指すのか? との考察も盛り上がり、出現した蔦重の母つよ、てい、そしてもう一人は歌麿と見る声が多い。(編集部・石井百合子)