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池松壮亮、実在した総力戦研究所に着想得た物語に衝撃 撮影は「毎朝祈るような気持ちで」

池松壮亮
池松壮亮

 俳優の池松壮亮が8日、都内で行われたNHKスペシャル終戦80年ドラマ「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」(NHK総合、前・後編で8月16・17日各21時~21時59分)の出演者会見に出席。「撮影期間中はフィクションではありながら、同じ空の下で戦争が今も起こっているので、毎朝祈るような気持ちで、素晴らしい仲間とともに撮影に取り組んでいました」と撮影を振り返った。

【画像】「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」場面写真

 本作は猪瀬直樹のノンフィクション「昭和16年夏の敗戦」を原案に、真珠湾攻撃の8か月前に設置された首相直属の“総力戦研究所”に集う日本の若きエリートたちを描く戦争ドラマ。彼らが模擬内閣を作り、出身官庁や企業から機密情報を集め、日本がアメリカと戦った場合のあらゆる可能性をシミュレートしていくさまを追う。池松は、主人公の産業組合中央金庫(現・農林中金)調査課長・宇治田洋一を演じる。会見には宇治田と同じ民間出身で、研究所に所属する同盟通信社政治部記者・樺島茂雄役の仲野太賀、陸軍少佐・高城源一を演じる中村蒼、制作統括の新延明家冨未央も出席した。

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仲野太賀、池松壮亮、中村蒼

 池松は登壇すると、「この時代にどうしても語るべきドラマが仕上がったと自信を持っています」と本作の完成に胸を張る。演出は映画『アジアの天使』『本心』など長年タッグを組んできた石井裕也監督。池松は「事実として残っていることをもとに物語を制作するにあたって、石井監督自身が責任、やりがいを強く感じていた」と、本作で初めて戦争ドラマを手掛ける石井監督の撮影時の様子を振り返る。

 また池松は「このようなドラマを戦後80年のタイミングで、しかもNHKで制作できるということに石井監督はやりがいを感じていたんだと思います」と述べ、「その使命感にみんなが引っ張られて、ものすごいエネルギーで、フィクションではあるんですが、もしかしたら自分たちが、もしかしたら自分たちの選択で戦争を止められるかもしれない、そういう物語を、長い時間がかけて……こうしたタイミングで発表できたことがとても嬉しい」と話す。

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総力戦研究所入所式(C)NHK

 池松自身、台本を受け取った時の心境について「これまでの戦争の物語、戦争ドラマ、戦争映画とはまるで違った作品だなと思いました」と感想を述べる。「終戦前夜を描いたものは有名な作品がありますけど」と前置きした上で、「開戦前夜を描くのには、やっぱりこれだけ長い時間がかかってしまったのかなと思いました。こういった事は終戦後も国家機密として完全に伏せられてきたこと。それが80年かけて、ようやく語られるタイミングが来たのかなと思いました」としみじみ語った。

 池松は「こういう物語があったというのは(自分も)衝撃的でした。と同時に、今もなお組織の中ではたくさん起こっていること、現代に通じる様々な問題の根元がこのドラマの中にあると思いました。撮影期間中はフィクションではありながら、同じ空の下で戦争が今も起こっているので、毎朝祈るような気持ちで、素晴らしい仲間とともに撮影に取り組んでいました」と話した。

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 また、来年放送の仲野太賀主演の大河ドラマ「豊臣兄弟!」では仲野と兄弟役で共演する。仲野との共演について、池松は「このドラマが決して『豊臣兄弟!』の前哨戦とは思わないですけど、撮影時期が近かったですし、この作品は2月、3月に撮影して、その後6月から『豊臣兄弟!』の撮影でした。他にも太賀さんとはたくさんの作品で一緒に向き合ってきましたが、今回はやっぱりテーマがテーマ。懸命に願いを込めて一つの作品を一緒に作るという経験を、大河ドラマの兄弟役の前にできたことで、大きなものをまた一つ積み上げられたという気持ちになりました」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)

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