「仮面ライダーゼッツ」芝高啓介プロデューサーが期待する世界基準の世界観 4色フォームにも新たな特徴づけ

他人の夢に潜入する無敵のエージェントの姿を描いた、令和仮面ライダーシリーズ第7作「仮面ライダーゼッツ」(テレビ朝日系・毎週日曜午前9時~)。アジア各国やアメリカなどでも国内と同時期に放送・配信され、「世界に放つ仮面ライダー」として注目されている。本作のプロデューサーを務める芝高啓介(テレビ朝日)がリモートインタビューに応じ、現実と夢を舞台にした世界観や、胸に巻くベルトで変身する仮面ライダーゼッツの注目ポイントを語った。
「仮面ライダーゼッツ」の主人公は、自分で夢をコントロールできる「明晰夢」(めいせきむ)の力を持つ万津莫(よろず・ばく/今井竜太郎)。現実世界では“自称”普通の好青年だが、夢の中では「無敵のエージェント」として活動している。ある日、未知の怪人・ナイトメアに襲われた莫は、謎の組織「CODE」からゼッツドライバーを託され、人々をナイトメアから守る仮面ライダーゼッツとして、さまざまなミッションを遂行することになる。
全世界に共通する「夢」と「エージェント」
番組コンセプトについて、芝高プロデューサーは「『今年は夢の中で戦う仮面ライダーでやっていきたい』というベースは、(東映のプロデューサー)谷中寿成さんたちの間ですでにできあがっていたので、監督も交えた打ち合わせで、どんな敵怪人が出てくるのか、最終的なゴールはどこになるのかを具体的に話し合い、企画を詰めていきました」と制作プロセスを交えて語る。
「仮面ライダーゼッツ」は「世界に向けて仮面ライダーを再定義する」作品を目指し、原点に立ち返った仮面ライダーの配色やデザインが採用されている。また、メインライターの高橋悠也は、全世界の人々に共通する「夢」とスパイ映画で人気の「エージェント」を世界観のテーマとして、物語を構築している。
「谷中さんたちが立ち上げた仮面ライダーゼッツが、仮面ライダー1号を彷彿させるデザインでした。また、脚本家の高橋悠也さんは、世界に共通する誰もが見る『夢』を舞台にしたと仰っており、どんな国の人が観ても楽しめるような世界基準の作品になっていると思います」
高橋悠也が描く夢の世界の奥深さ
「仮面ライダーエグゼイド」「仮面ライダーゼロワン」「仮面ライダーギーツ」と歴代シリーズの脚本を執筆してきた高橋について、芝高プロデューサーは「子どもたちが好きになってくれるようなかっこいい仮面ライダーの姿を、アイテムやフォームチェンジの設定を駆使して巧みに描いていく。高橋悠也さんだからこそ成せる業だと思います。『ゼッツ』では、夢の映像表現と合わさって、非常に面白い世界観を生み出してくださっています」と絶大な信頼を寄せる。
「『ギーツ』ではデザイアグランプリという特殊なゲームと現実世界をパラレルに描いていたり、『ゼロワン』ではヒューマギアが日常に溶け込んでいる世界を、視聴者がその世界観に浸れるように作り込んでいました。『ゼッツ』にも、高橋さんが手がける世界観の奥深さが、夢の世界に表れています」
パイロット監督には、東映特撮に新たな風を吹き込む上堀内佳寿也が抜てきされた。「莫はさまざま人の夢に潜入するので、舞台も夢によって全く異なります。そういったところを考えた時、『王様戦隊キングオージャー』で架空の五王国を多彩な映像表現で描いた上堀内監督は、誰も見たことがない夢の世界を表現できるだろうということで、パイロット監督として白羽の矢が立ったと伺いとてもワクワクしましたし、視聴者の皆さんにも楽しんでいただけると思います。」
劇中で夢がリアルになるにつれて、「どこまでが夢で、どこからが現実か」と混乱する視聴者も出てくるだろう。芝高プロデューサーも「これは夢なのか、現実なのかという境界がわかりにくいと、子どもたちが視聴中に突っかかってしまいます」と語るが、そこは上堀内監督が初回3話で明確に映像化しているとのこと。「ここが夢、ここが現実ということをわかりやすく形にしていただきましたので、ストレスフリーで楽しんでいただけると思います」
4種のフォームに複数の形態
本作といえば、シリーズ史上初となる胸に巻くベルト=ゼッツドライバーが第一報発表時から話題になっている。ベルトを胸巻きにする大胆な設定には、寄りのカットを撮影時に仮面ライダーをより特徴づけられる狙いも含まれているという。
「ベルトを胸で巻くことで、より寄ったビジュアルが撮れるという点、胸から上を撮っていれば、キャラクターとしてより特徴づけができるということを聞いた時に『なるほど!』と腑に落ちました。実際、ティザーとして発表したビジュアルでも、バイクに乗った上半身のビジュアルで、ライダーの姿をかなりアップで見せることができました」
また、仮面ライダーシリーズには欠かせないフォームチェンジでも新たな特徴づけがなされた。仮面ライダーゼッツは、カプセムと呼ばれるアイテムを使い、フィジカムインパクト(赤色)、テクノロムストリーム(青色)、エスプリムリカバリー(緑色)、パラダイムワンダー(紫色)の4種類のフォームに変身できる。
「仮面ライダーゼッツの特徴は、4色それぞれに複数の形態があることです。赤色もワンパターンではなく、第1話で登場するフィジカムインパクト以外にも、手足の形を変えることができるフィジカムトランスフォーム、体に翼を生やしたフィジカムウイングが存在します。オレンジ、ピンクといった赤系統のみならず、青系統、緑系統、紫系統にもいくつか形態があります。同系統の色でさまざまなゼッツが登場しますので、どんな活躍をするのか楽しみにしていただきたいです」
第1話から怒濤の展開が繰り広げられた「仮面ライダーゼッツ」。第3話までの展開について、芝高プロデューサーは「夢の世界では無敵のエージェント・セブン、現実世界では“自称”好青年の主人公・万津莫のギャップに注目です。また、夢の中に登場するねむ(堀口真帆)、現実世界で怪事件を追う警視庁公安部怪事課の富士見鉄也(三嶋健太)と南雲なすか(小貫莉奈)、莫の妹・万津美浪(八木美樹)といった、現実と夢の舞台を行き来する莫の周辺人物の活躍も楽しんでいただきたいです」とアピール。また、キャスト発表時から謎に包まれたままの男・ノクス(古川雄輝)についても「莫と同じく、彼もまたいろいろな夢の中に現れる非常にミステリアスなキャラクターです。敵なのか、味方なのか。ノクスがどういう立ち位置なのかは、今後の展開に期待していてください」と期待をあおった。(取材・文:編集部・倉本拓弥)


