ホロコースト生存者の父とその娘の旅を描く『旅の終わりのたからもの』2026年1月公開

　ホロコーストを生き抜いた父とNYで生まれ育ち成功した娘の旅を描く映画『旅の終わりのたからもの』（原題：TREASURE）が、2026年1月16日に日本で公開されることが決まった。併せて、予告とポスタービジュアル、場面写真が一挙解禁となった。

【動画】噛み合わない父娘がやがて…『旅の終わりのたからもの』予告映像

　本作は、作家リリー・ブレットが自身の実体験をもとにつづった小説「Too Many Men」をベースにした物語。多くのホロコースト映画のように歴史の悲劇そのものを描くのではなく、ホロコースト生存者の娘を主人公に据えることで、戦争を知らない世代にも深く刻まれた影を浮かび上がらせる。

　物語の舞台は1991年のポーランド。ホロコーストを生き抜いた父エデクと、約50年ぶりに故郷に帰る旅に同行する娘ルーシー。自身のルーツを探るため綿密な計画を立てていたルーシーに対し、父は自由気ままに振る舞い、家族がかつて住んでいた家を訪ねても二人の気持ちはすれ違うばかり。しかし、アウシュヴィッツ＝ビルケナウ強制収容所を訪れた時、父は初めて家族の壮絶な記憶を語り始める。

　娘のルーシー役を務めるのは、ドラマ「GIRLS／ガールズ」で製作・脚本・監督・主演を兼任し、ゴールデングローブ賞を受賞したレナ・ダナム。自身もユダヤ人の血を引く彼女は、「私にとってとても大きな贈り物でした」と話し、本作にはプロデューサーとしても参加している。父のエデク役を務めるのは、『ホビット』シリーズなどで知られ、作家やジャーナリストとしても活躍する英国の名優スティーヴン・フライ。彼もまた、母方の家族が実際にアウシュヴィッツへ送られた背景を持っている。スティーヴンは脚本を読んだ瞬間に心を動かされたと語り、「娘と父の関係を描く中に、ユーモアと痛みの両方が息づいている」と深く共感し出演を決めた。監督は、ユリア・フォン・ハインツが務める。　

　予告映像では、それぞれの心の傷や封印してきた過去と向き合う二人の姿が描かれている。家族の記憶を辿り、出会った人々との触れ合いを通して、ちぐはぐだった父娘が少しずつ心を通わせていく姿が映し出される。ポスタービジュアルは、タクシーの前でどこかぎこちない笑顔を見せる父と娘の姿を切り取ったもの。背景にはアウシュヴィッツ＝ビルケナウ強制収容所が描かれ、ただの父娘の旅ではないことを予感させるビジュアルとなっている。（加賀美光希）