二宮和也、嵐で培った力も演技に生きている 釜山映画祭「アクターズハウス」日本人俳優として初参加

二宮和也が19日、主演映画『8番出口』が正式招待された、第30回釜山国際映画祭の人気トークプログラム「Actors’ House(アクターズハウス)」に登壇し、観客の声援を受けながら、本作について語った。また、同日行われた野外ステージイベントにも登場し、神対応で観客を沸かせた。ステージには“歩く男”役の河内大和と川村元気監督も登壇した。
【画像】二宮和也、ブルーのシャツがキュート!釜山映画祭に登場
「アクターズハウス」は、スクリーン内外で際立つスター性を放つ俳優にスポットをあて、俳優自身の魅力に迫る映画祭の人気プログラム。「ミッドナイト・パッション部門」に招待された『8番出口』のプレミアから一夜明けたこの日。会場に現れた二宮は、「ニノ~!」という掛け声や拍手に迎えられ笑顔。まずは、釜山の海を見たこと、到着した日に参鶏湯を食べたことなど、釜山のエピソードを明かして、会場を和やかな雰囲気で包んだ。
司会者から、映画について「他作品と準備する際の過程の違いはありましたか?」と尋ねられた二宮は「脚本の製作の段階から参加させてもらったのは大きいです。一人芝居で展開を作っていく上で台本通りに演じてしまうと、台本に描かれていることと、現実で起こっていることに齟齬がうまれて……。自身で表現してやっていくしかないという中でその誤差を現場で起こしたくなかったので、脚本製作から参加させてもらいました」と裏側を明かす。
また、過去の出演作を振り返りながら、「実際に起きた歴史の場合と、現実に存在していない物語の場合、キャラクターにアプローチする方法に違いはあるのか」という質問には、「違いですか……?」と、しばらく沈黙。その姿に客席から「頑張れ~!」と応援の声が飛ぶ。
そのうえで二宮は「未来に関しては“飛び過ぎないこと”が大事かなと思います。世界観は200~300年の未来だとしても、人間は5~10年しか経っていないなど、独自のルールをつくって考えています。過去に関しては、ご縁があって当時の時代設定の作品によく呼ばれるのですが、要因は当時の体型に似ているので感情移入しやすいかららしいです。それに関しては、親に感謝しています(笑)」とジョークを交えて語った。
さらに司会者は、二宮が好きな理由の一つに“動き”があると語り「作品によって多様な演技を見せてくださいますが、その都度、立っている佇まいから、体の動かし方が違うように感じます。長い間、舞台に立ってきたアーティストとしての感覚とも関係があるのでしょうか?」と鋭い質問。「それはあると思います」と返した二宮は「嵐で活動している際に、コンサート中にフリーで動く場面があるのですが、メンバー全員で同じ場所に動くと固まってしまうのでありえないんです。割とそういう力はグループ活動のお陰で自然と身についてきた気がします。行かないところに行ってみるとか、あえてそっちに行ってみるとか、空気の流れを意識しながら動くのは、グループ活動で培われた力です」と嵐の活動を振り返った。
観客からのQ&Aコーナーでは、中学時代から二宮のファンで、日韓で俳優をしているという男性が「アイドルとして活動しながら演技を始めて、現在までにお芝居をする上での姿勢が変わってきていると思いますが、いかがでしょうか? また、演技をする中で大切にしているポイントがありましたら教えてください」と熱心に質問。
それに二宮は「嵐が全盛期のときは、たくさんいる役者の中で、自分はなぜ呼ばれたのかをよく考えていました。お芝居か、メインのターゲット層を引き込みたいからか、それともバラエティ番組での宣伝でたくさん動くためなのか……冷静にとらえていました。ですが、最近はそれを全部やろうと動いている点は過去との違いですね。お芝居に関して一番大事にしていることは、ストレートに言うと“監督に言わせない”こと。キャスト・スタッフ全員が把握している中で、指示出ししても聞かないな、自信があるんだな……と、監督を黙らせられたら成功だと思っているタイプなので絶対的自信が大事なのかなと思います」と回答。
さらに「もう一つつけ加えると、『おいしい』と『まずい』という2つが食にあって、おいしいものってたくさんあって、値段に差があってもおいしいものはおいしい。だけどまずいものはまずい。うまい人ってたくさんいて、下手な人って自分が不安になるくらい明確なものだったりするので、下手なものを見たほうがうまくなると思います」と相手の目を見て真摯に語り、現地ファンと温かな交流の場となった。
最後に二宮は「やはり僕は、自分たちで手を尽くしたものが世界に届く仕事をしたいと話をしていて、評価をもらうことが一つの夢でもあったので、『8番』がみなさんにみていただけたのが嬉しいですし、やってよかったなと思っています」と感謝。「これを機に、二宮が韓国にくるべきだと思っていただけるのであれば(笑)、ゲストではなく、レギュラーとしてちゃんと出演したいです。自分の韓国語で皆さんの心を掴むのが夢の一つに加わりました。、が、それは韓国側からオファーこないとはじまらないので、二宮みたいかもって思っていただけたら! 嵐のことも皆さんが能動的に動いてくださったおかげだと思うので、韓国のみなさんに恩返ししたいと思っています。みなさんのお茶の間に登場するのが夢なので、これからも頑張っていきますので、応援のほどよろしくお願いいたします」と笑顔で応えた。
その後、河内と川村監督と共に、映画祭最大の座席数を誇る「映画の殿堂 BIFF 野外ステージ」にて、約4,500人の観客を前にトークイベントを実施。会場は写真撮影が許可され、多くのファンが向けるカメラに、二宮はじめ登壇者も笑顔を向ける神対応。そのうえで、製作のきっかけや出演オファーの感想など、一つ一つの質問に丁寧に回答していった。
トークイベントの最後には二宮が「本作を製作するにあたり、日本の地下通路を旅していたら、釜山にたどり着き、みなさんと会うことができ、地下通路を歩くのも悪くないなと思います。今回の釜山国際映画祭では、日本作品もたくさん上映されているので、ぜひ観ていただけたらと思いますし、僕もまた戻って来れるように頑張りたいです」と語り、韓国のファンも魅了した。(編集部・入倉功一)


