菊川怜、15年ぶり映画出演「初挑戦のような気持ちで」 第一次産業の大切さ訴え
俳優の菊川怜が11日、都内で行われた映画『種まく旅人～醪（もろみ）のささやき～』（公開中）の公開記念舞台あいさつに登壇した。昨年芸能活動を本格復帰し、本作が15年ぶりの映画出演となる菊川は、「本当に久しぶりで、しかも主演も務めさせていただいて、いろいろ忘れてしまっていて、セリフも入るかな、撮影できるかなって思うほどでした。初挑戦のような気持ちで臨んだこの映画をこうして公開できるのが嬉しい」と話して笑顔を見せた。
食を支える日本の第一次産業をテーマにした『種まく旅人』シリーズの5作目となる本作は、兵庫県淡路島で生産される日本酒と酒米・山田錦に関わる人たちを描いたヒューマンドラマ。イベントには共演者の金子隼也、清水くるみ、朝井大智、篠原哲雄監督も登壇した。
菊川が演じるのは、日本酒を愛する農林水産省の官僚・神崎理恵。菊川は同役について「日本酒が大好きで、日本酒オタクで、その好きな気持ちが原動力、パワーとなってグイグイいく女性。自分の思いだけでも行動できる人で、そこをとても魅力的に感じました」と印象を語る。また、タイトルの「旅人」について「私が旅人と解釈して演技をした」と述べ、「淡路島に行って、みんなの心に種を蒔いて、それが育って花を咲かせ、実を結ぶ。本当に素晴らしい作品になったと思います」と胸を張る。
行動力のある神崎と自身の共通点について「食べる事が好き、日本酒が好きなことは似ていますが、共感できるのはそこくらい。私、実は人の心の中にダイレクトに入っていくのは苦手なんです。なかなかできないんです。だからこそ役でそうできるのが面白かったです」と話す。
映画の題材となった酒にちなんだトークでは日本酒のおいしさを熱っぽく語り、「お酒が美味しいと思うシチュエーションは？」との問いには「今日じゃないですか」と即答する。「一年前にみんなでわきわいとしながら頑張って、今日、みなさんにそれを観ていただきながらのむって、どんな味がするんだろうと思います」と述べ、金子が同じ質問に「仕事終わりのハイボール」と答えると、「ここは日本酒でしょ」とツッコミを入れて笑わせていた。
菊川は「この作品の意義である日本の農業、第一次産業の大切さを感じてもらえれば嬉しい」ともいい、「私自身、食には感謝してきたつもりなんですけど、少し上べだけで感謝していたなって反省しました。今回の作品に関わらせていただいて、日本の農作物がこれだけの人たちの手間、汗があって、消費者の元に届くという事がわかりました。それは当たり前ではなくて、未来にあるかどうかもみなさん次第。みんなの力で守っていきたいものだなと改めて思いました。食は人間の生きていくエネルギーであり、喜びだと感じたので、皆さんにもそれを感じてほしい」と呼び掛けていた。（取材・文：名鹿祥史）