ADVERTISEMENT

黄金騎士ガロ、20年変わらぬ不朽のデザイン 始まりは二大ヒーローとの差別化【雨宮慶太インタビュー】

不朽のデザイン「黄金騎士ガロ」
不朽のデザイン「黄金騎士ガロ」 - (C) 2025「TAIGA」雨宮慶太/東北新社

 「牙狼<GARO>」シリーズ20周年を飾る『劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』』がついに公開。シリーズの生みの親である雨宮慶太監督が、日本を代表する二大ヒーローとは違う道を選んだことから始まった、変わらぬデザインの理由を語った。

【画像】新たなヒーローの物語『牙狼<GARO> TAIGA』キャラクター【まとめ】

 「牙狼<GARO>」は、人の“陰我”を狙う魔獣・ホラーから人間を守る戦士・魔戒騎士たちの物語。代々受け継がれる“鎧”を召還してホラーを討つ魔戒騎士のなかでも、黄金の鎧を身にまとう最高位「黄金騎士ガロ」の称号を受け継ぐ者たちの戦いを描いてきた。劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』では、初代主人公・冴島鋼牙の父・冴島大河の若き日の戦いを描く。

ADVERTISEMENT

 黄金騎士の頂点“牙狼”(ガロ)の称号を受け継ぐ者たちのなかでも、大河をはじめとする冴島家はシリーズの根幹とも言える存在。雨宮監督は、シリーズを支える要素に“家族”を取り入れた理由を「自分が撮れる世界観」を意識した結果だったと語る。

 「デビュー作の『未来忍者 慶雲機忍外伝』(1988年)を監督した時に、これは『僕にしか撮れない』と言ったんです。それは、日本に生まれ、日本語で育ち、日本の文化・習慣の中で育った僕が撮れるものを意識したから。ハリウッドの監督を呼んでも無理でしょうと。逆に言えば、ヨーロッパの世界観なんかは僕には撮れないんですよ。『牙狼<GARO>』でも、そうした“自分にしか撮れないものを”と考えたんです」。

 「その時、自分は家族がいて子供がいる環境で創作をしているので、そこで体感した“喜び”や“切なさ”みたいなものは反映できるだろうと。自宅に魔戒剣があるっていう人はそういないと思いますが(笑)、家に帰れば親兄弟がいたり、子供がいたりする人との感情は共有できる。だから、絵空事の中でも観客とつながる部分として、一番身近にいる人を描こうと。別にそれは家族でなくてもいいんですが、一番わかりやすく自分でも描けると思って、家族という要素はすごく意識しています」

ADVERTISEMENT

 その冴島家が受け継ぐ「黄金騎士ガロ」の鎧は、20年前とほとんどデザインが変わっていない。時代を経ても不変的な魅力を放つ、雨宮監督のデザインあっての奇跡だが、この決断は、日本を代表する特撮ヒーローとの差別化が発端だったという。

 「『ウルトラマン』や『仮面ライダー』という、日本を代表するヒーローがすでにいる中で、『牙狼<GARO>』というヒーローの居場所を探さなきゃならない。その時に、他のヒーローと同じことをやるのはやめようと思ったんです。そうしないと二番煎じになって、歴史とクオリティの面で絶対に負ける。だったら、この二作品がやっていないことを開拓していこうと」

 かつて雨宮監督も制作に携わり、心から敬愛する二大ヒーローだからこそ決断した差別化。それが、愛され続けるヒーローの誕生につながった。「主人公(メインヒーロー)のデザインを変えないっていうのは、普通ならありえないんです。『ウルトラマン』や『仮面ライダー』には、ものすごい数の新形態がありますが、それはやめようと。ガロのデザインは20年前と今で、ほぼ線一本変わっていません。映画で10年ぶりにシリーズに触れた人が観ても、そこには同じデザインのガロがいるんです」

ADVERTISEMENT

 そうした、20年を経ても変わらない要素について、雨宮監督は「『牙狼<GARO>』に関しては、映像以外(イラスト、デザイン、関連監修等)の仕事も途切れていないので、一歩引いて俯瞰で見る機会がないんです。だから若いチームの仕事を観ていても、(20年で)何か変わったか、自分ではわかりにくいんですね。ただ、『牙狼<GARO>』がというより、世の中が変わった感じがします」と語る。

 「表現の面でいえば、(魔獣ホラーのデザインに)裸体を入れるのが難しくなったりはしています。僕は出す気満々なんですが(笑)。世の中が変わって、センシティブな問題とか、YouTubeなんかでも映すのが難しかったりする。『牙狼<GARO>』ではまだないですが、いつか、『女性の魔戒騎士がいないのはおかしい』と言われることもあるかもしれません」

本作には、大河と共に戦う魔戒導師・吹奇(神嶋里花)が登場する

 「『牙狼<GARO>』のデザインがなぜ変わらないかというと、それが、受け継がれている“鎧”だからということもあります。魔戒騎士の鎧については、女性は着れないという設定を決めていたんです。もちろん、ファンの方からは『女性の魔戒騎士を出してほしい』と何回も言われたりしているんですけど、そこは守っています。(法術で戦う)魔戒法師もいるので。だから大丈夫というわけでもないんですが」

ADVERTISEMENT

 変わらぬ魅力を放ち続ける「牙狼<GARO>」シリーズ。今後もシリーズが続いていくなかで、雨宮監督が新たに挑戦したい試みはあるのだろうか。「新作が決まってからじゃないと、なかなかアイデアが出てこないですが、常に今までやっていないこと、新しい表現に挑戦したいとは考えています。もし新作が決まったなら……という前提で考えるなら、“縦型ドラマ”とかですかね。スマホで見る縦型の本格特撮ヒーロー。縦型だと、ヒーローのデザインが全身すっぽりと入るんです。本気でやってみたら結構いけるんじゃないかな。今度、どこかにプレゼンしてみますか(笑)」(編集部・入倉功一)

劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』は全国公開中

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT