北村匠海、映画きっかけに魚さばき習得 実生活でも活用

俳優の北村匠海が25日、都内で行われた映画『愚か者の身分』の公開記念舞台あいさつに登壇し、本作を通して魚がさばけるようになったことを喜んだ。この日は、林裕太、綾野剛、山下美月、永田琴監督も来場した。
『愚か者の身分』は、西尾潤の小説を原作に、貧しさから闇ビジネスに関与することになった3人の若者を描くヒューマンドラマ。SNSで女性に成り済まし、身寄りのない男性たちの個人情報を引き出しては戸籍を売買していたタクヤ(北村)とマモル(林)。あるとき、兄貴分の梶谷(綾野)の力を借りて、タクヤはマモルと共に闇ビジネスの世界から抜け出そうとする。
舞台あいさつ中、それぞれの「イチオシシーン」を発表することになると、山下は「マモルとタクヤが、お部屋でアジの煮つけを食べているシーンです。全編通してヒリヒリとした痛みみたいなものが続くような時間が長いんですけど、この二人が一緒に食卓を囲んでいる風景はすごくあったかい気持ちになって、幸せって何なんだろうな……とあらためて考えた部分でもあります」とコメント。また、「北村さんがお料理がお得意というのを昨日知って、やっぱり作るの上手だなぁって思いました」と感心した。
北村は「楽しかったです。魚は今までさばいたことがなかったので、この映画に入って最初にやったことがさばく練習でした」と明かし、「非常にうれしかったです。これでさばけるようになりました」と笑顔。練習の成果は実生活に生かされており、これまでにアジやキンメダイをさばいたという。撮影では、見えない中で魚をさばいたこともあったようで、北村は目を閉じて魚をさばくジェスチャーを披露していた。
本作について、北村は「僕と剛さんの中では、マモルのもの、林裕太のものとずっと話してきました。映画の中で“生きる”を授けていったように、僕らは役者として言語化できないものを授け合いながら、最後は裕太にすべてを任せました。本当に彼がマモルでよかったし、このキャストでこの映画を作れたことをうれしく思います」としみじみと語る。第30回釜山国際映画祭コンペティション部門で、林や綾野と共に The Best Actor Award (最優秀俳優賞)を受賞したことにも触れ、「『これは監督が表彰されているのと同じです』と話しました。いろんな景色をこの映画で見させていただきましたし、さらに、この映画をたくさんの人に観てほしいです」と呼びかけていた。(錦怜那)


