超人・岡田准一に驚愕 藤崎ゆみあ×清原果耶×東出昌大、Netflix「イクサガミ」全員で乗り越えた壮絶撮影を振り返る!【座談会】

主演・アクションプランナー、そしてプロデューサーと、Netflixシリーズ「イクサガミ」に尋常ならざる熱量を注ぎ込んだ岡田准一。そして、岡田と共に壮絶な撮影を駆け抜けた藤崎ゆみあ(崎=たつさき)、清原果耶、東出昌大。劇中で共に旅をする4人を演じたキャストたちが、過酷な現場で生まれた固い絆、そして互いへのリスペクトが垣間見える、熱い言葉の数々つむいだ。(取材・文・撮影:磯部正和)
【動画】岡田准一×藤崎ゆみあ×清原果耶×東出昌大「イクサガミ」座談会!
キャラクターに命を吹き込む、唯一無二のアクション
「イクサガミ」は、今村翔吾の同名小説を原作に、藤井道人監督が映像化したドラマシリーズ。時は明治11年、内乱が終わり困窮を極める士族たちに舞い込んだ、莫大な賞金を懸けた理不尽な殺人ゲーム「蠱毒〈こどく〉」。それぞれが守るべきもののために刀を握り、壮絶なサバイバルを繰り広げる。日本のエンターテインメント史を塗り替えるような超弩級のスケールで贈るバトルロワイヤルエンターテインメントだ。
ーー主演でありアクションプランナーでもある岡田さんから、それぞれのキャラクターのアクションについて、どのようなコンセプトで構築されたのかお聞かせいただけますか?
岡田准一(以下、岡田):東出くんが演じる柘植響陣は、全体像がつかめない、得体の知れない忍びの男という設定です。僕の中で“「イクサガミ」強さランキング”をつけているのですが、彼は片手に入るほどの実力者。でも、その実力を隠しながら戦っているキャラクターです。忍者らしい動きや、生き残るための術、嗅覚といったものを意識しました。衣装にも色々なものを仕込める設定なので、手の甲に防御力の高いものを入れて、それを活かした戦い方を構築しています。
東出昌大(以下、東出):岡田さんが道着を着て、柔術の技を直々に教えてくださったんです。衣装も、(衣装担当の)宮本まさ江さんが「どういう動きをしたいか」と聞いてくださり、「こういうところに武器を隠したいです」といった要望も汲んでキャラクターデザインができていきました。岡田さんというアクションプランナーがいるので、その演出に合った練習をしながら本番を迎えられたのは大きかったですね。
岡田:響陣は、本気か嘘かわからない動きがテーマでした。実は世界初のアクション要素も入れていて。「ラッソーガード」という柔術の技があるのですが、それをしながら人を盾にして銃の射線を切る動きを取り入れています。そのために東出くんには休日に道場に来てもらって、マニアックな動きを練習してもらいました。
(清原演じる衣笠)彩八に関しては、二刀流です。僕たち兄弟の武術は謎めいている設定で、インドネシアなどの武術の要素も取り入れつつ、陰と陽、表と影を二刀で使い分けることを意識しました。女性である彼女が力ではない、勝つための手段として見つけた独自の形。強さも弱さも知っている彼女の生き様を踏まえて殺陣を作っていきました。
清原果耶(以下、清原):練習は本当に楽しかったです。刀のどこを持つのかということすら定かではない状態のなか、基礎中の基礎から教えていただいて。彩八として殺陣をしている時に「巡る」という言葉がすごくピンと来たんです。自分で突き動かして切り開いていく思いと殺陣が重なるようで、今岡田さんのお話を聞いて、すごく納得する部分が多かったです。
岡田:彩八の殺陣はすごく難しくて細かいんです。一つの動きに二つの意味が隠れている。表を出した時に裏に刀を隠しておく……といった動きを全編に入れているので、練習は相当大変だったと思います。
ーー藤崎さんが演じられた香月双葉はいかがでしたか?
岡田:双葉は、まだ実践経験が浅い子供。一通りの技術は学んでいるけれど、それが通用しないことを知っている女の子、という設定です。だから、練習の振りも型を大事にして、受けて流す「後の先」、つまりカウンターをどう取るかを意識したシーンを入れました。
藤崎ゆみあ(以下、藤崎):自分から戦うのではなく、受け流す、守る、逃げるが中心でした。岡田さんに引きずり回されるシーンが多かったので、体のバランスが崩れてもすぐに立て直せるようなムービングをたくさん練習しました。体力勝負なところはありましたが、なんとか走り抜けられました。
「尋常じゃない」岡田准一の超人ぶり
ーー主演、アクションプランナー、プロデューサーと、複数の役割を担う岡田さんの姿を見て、「これはすごい」「クレイジーだ」と感じた瞬間はありましたか?
藤崎:玉木宏さんのことを「体力おばけ」っておっしゃいますけど、岡田さんも全然「体力おばけ」ですよ(笑)。疲れているはずなのに、私たちから見ると全く疲れていない、りりしい岡田准一さんがずっといるんです。特に森のシーンはずっと走っていて。
岡田:森は大変だったね(笑)。あとオープニングの戦闘シーンも。自分で「水を張ってほしい」とお願いしたのに、衣装が水を吸ってものすごく重くなって。それを着て400メートルダッシュを繰り返すんです。代役の方もいるんですが、カメラマンから「岡田さんじゃないと雰囲気が掴めない」と言われてしまう。結局、テストから全部自分が走ることになるので、1日中走り続けていました。
清原:岡田さんをパッと見たら、いつもバナナを食べてエネルギー補給していましたね(笑)。
東出:体力も異常ですが、それ以上に器の大きさがすごい。プロデューサー、役者、アクションプランナーという巨大な役割をこなしながら、現場の空気作りまでされている。彦根城での撮影前日、共演者が「肩が重い」と言っていたら、岡田さんがボソッと「ひこにゃんが肩についている」って(笑)。お茶目な一面もあるのか! と爆笑しました。岡田准一、すごいなって思いました。
清原:現場でご一緒するたびに思っていたのは、岡田さんは絶対に目が2つじゃないし、肺も心臓も普通の人の数じゃないんだろうなって(笑)。体力もパワーもそうですが、本当に360度見えているんじゃないかと思うくらい、あらゆることに気づいて、汲んでくださるんです。その超人力に、何度も助けていただきました。
双葉(藤崎)のど根性に感服
ーー完成した作品をご覧になって、ご自身の役以外で魅力的だと感じた、気になるキャラクターはいましたか?
東出:現場中から、双葉はすごいなと思っていました。この大役を任されて、藤井組名物のテイク数の多さにも必死で食らいついていく。演出の細かいニュアンスにも応えようと、本当に頑張っていました。藤崎さんは芯の通った良い声をしているんです。親心じゃないですけど、素晴らしかったなと思います。
藤崎:ありがとうございます! 皆さんがすごく支えてくださって。東出さんは声をかけてくださり、清原さんは背中をさすって言葉以上の励ましをくれて、岡田さんは「今の良かったよ」って。感極まる思いでやっていました。
私が憧れたのは、やっぱり彩八さんです。双葉として見ても憧れの存在でしたが、一視聴者として映像で見た時に、清原さんが、ただただ「美しい!」と思ってしまって。強さも、声も、アクションもかっこよくて大好きでした。
清原:嬉しいです。私も双葉との関係性は、この物語の中ですごく好きなポイントです。心を閉ざしていた彩八が、双葉ちゃんのまっすぐさに触れて、どんどん解き放たれていく様が繊細に描かれていると思います。
私がなりたいのは……早乙女太一さんが演じられている化野四蔵です。剣さばきがあまりに美しくて、絶望を抱くほどでした。どうすればあんなにうまく刀を回せるのか、みんなでずっと練習していましたね。
岡田:みんなそれぞれ素晴らしかったですが、双葉の根性には驚かされました。櫓から川に飛び降りるシーン。とても危険なので本人がやらなくてもいい状況で作っていたのですが、「やります」とためらいもなく言うんです。しかも時間がなく、撮り直しは1回しかできないプレッシャーの中、2回目で見事に修正してきて。ギリギリで答えを出せるのは本当にすごいなと思いました。キャスト全員が、それぞれとてつもなく大きな山場を乗り越えてきたので、僕たちには特別な一体感があると思います。
「イクサガミ」のこれからは?
ーー最後に、この壮大なプロジェクトを牽引した岡田さんへ、労いと感謝の言葉をお願いします。
東出:岡田さんの中には、まだまだ「あれもやりたい、これもやりたい」というアイデアが溢れていると思います。今後ますますのご活躍を、「俺らもついていくぜ」という気持ちで楽しみにしています。まずはシーズン1、本当にありがとうございました。
藤崎:まだまだ岡田さんから学びたいことがたくさんあります。これからも色々教えていただけると嬉しいです。今は温泉にでも入って、ゆっくり体を休めてください。公開まで、引き続きよろしくお願いします。
清原:言葉だけでは表現しきれないほどの感謝と尊敬でいっぱいです。岡田さんは、役を演じる俳優の心を何より大切にしてくださる方。その姿勢に何度も救われました。「諦めずに俳優を続けていると、こんなに良いことがあるんだ」と本気で思わせてくれた現場でした。私ももっと強くなって、岡田師範についていけるよう精進します。今はゆっくり休んでください。
ーー皆さんからの言葉を受けて、岡田さんからも一言お願いします。
岡田:ありがとうございます。役者さんたちがその役を愛してくれて、キャラクターが生き生きと輝く瞬間が、この作品にはたくさんありました。物語が進むほど、皆さんが愛してくれたキャラクターが死んでしまうかもしれないという宿命を目撃していくことになります。原作を読めば結末は分かりますが、映像として、彼らがどんな決断を下していくのか、その最後まで見届けていただける作品に育ってくれたら嬉しいです。そこまで見たいな、というのが今の僕の強い願いですね。
Netflixシリーズ「イクサガミ」2025年11月13日(木)世界独占配信 (全6話(一挙配信))


