【ネタバレ】「相棒」切なすぎる結末…角田課長の“息子”の思いと行動に号泣

ドラマ「相棒 season24」(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時~)の第7話「息子」が、26日に放送された。角田課長(山西惇)から人探しを依頼された杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が行きついたのは、弱者支援の第一人者と呼ばれる実業家だったが……。SNSでは、「泣くわ、こんなん」「今日の相棒は号泣回」「うわ…ダメだ……涙が……」「弱者がテーマなのは精神に来るな」「切なすぎる」「今日の相棒、名作では!?」「角田課長、カッコ良かった!」「先週に続いて1時間で濃密な回でした」と感動のコメントが相次いでいる。(以下、第7話の内容に触れています)
【第7話場面写真】「キングオージャー」“ラクレス”矢野聖人がシリーズ再登場!
角田は、かつて自身が暴力団から保護し、以来なついてきていたという里吉詩郎(大西利空)と連絡が取れないと、心配して特命係に捜索を依頼してきた。角田を「オヤジ」と呼んで慕っていた里吉は、不器用ながらも頑張っていたという飲食店を自ら辞め、アパートも引き払っていた。転居先の住所は「弱者青少年支援団体 NPO法人 オオキナアイ」。だが、身を寄せてきた弱者を守るためとして、安否や連絡先は教えてもらえなかった。
団体の代表者・長手健吾(矢野聖人)は、貧困に苦しんだ幼少期を乗り越えて成功を掴んだ男で、自らの経験から「弱者は徹底して守り抜く必要がある」「弱者を永遠に支援するためのユートピアを作る」という理念を語る弱者救済のカリスマ的実業家だった。国からのお墨付きを得て精力的に活動していたが、右京には何かが引っかかる。
右京と薫は、街でホストクラブのポスターに頭を打ち付けていた不審な少女・福田香音(おきのさな)が、公園の露店で大金を払ってぬいぐるみを買っているのを目撃した。事情を聞こうとすると、店員は長手の関連団体に逃げ込んでしまった。近所の交番でも、警察が認可している協力団体だから「あそこは立ち入れない」と調査を断られてしまう。
関連の職業訓練所の代表は、かつて角田がつぶした元暴力団員・村越亮二(水野勝)だった。長手に拾われてリバースしたという彼もまた、入所者を守るためと称して一切情報を明かさない。厳重な監視のもと、実質的な軟禁状態に置かれている入所者の中に、逃げた店員を見つけた右京と薫。長手らは弱者を「盾」として利用している、それに対抗するには相応の「矛」が必要だと、右京は薫に語る。
内村刑事部長(片桐竜次)と中園参事官(小野了)らも味方につけた長手だったが、大学の学費や起業の資金をどこから捻出したのかという右京の問いはごかました。さらに、著作に母への感謝は書かれているのに父親の表記は一切ない。調べると、父の山形克也(高瀬哲朗)には、14年前に振り込め詐欺の主犯格として逮捕された前科があった。被害金額は未回収で、長手の学費等はそこから出たと思われる。出所していた山形を訪ねた右京と薫は、部屋に血痕を見つけた。鑑識によるとそれは山形の血で、薬きょうは3Dプリンター銃のものだった。
香音はホストクラブで「こいつはあたいの友達を地獄に落としたんだよ!」と男に3Dプリンター銃を向けていた。止める薫に「なんであたいなんかにかまうんだよ」と言う香音。「苦しそうな人がいたらほっとけねえだろ」という薫の言葉に力を抜いた彼女の手から、右京が銃を取り上げた。違法行為を行っていたホストクラブは摘発され、長手との関連が浮かび上がった。香音の証言で銃の入手先も判明する。
「取材先に馴染みすぎるのがわたしの悪い癖」と美和子(鈴木砂羽)が右京と薫を呼んだ先で匿われていた少年が、右京に里吉のメモ帳を差し出した。メモ帳には課長あてに、監禁されて違法な物を作らされていたという職業訓練学校の実態が記されており、それが証拠となって、長手の関連団体は銃器製造および所持の疑いで一斉家宅捜索となった。少年は、里吉が命がけで訓練学校から逃がした子だった。
取調室で村越は、長手の命令で山形を殺害したと自供した。反社の前科者こそ究極の弱者で「そんな俺に責任があるわけない」とうそぶく彼に、右京は「あなたのどこが弱者でしょう。被害者ぶってるんじゃありませんよ」と強い目ですごんだ。
母の墓前で大臣になると報告していた長手。「あなたが盾として利用していた弱者たち、その中のひとりが、自ら矛となって命がけの一突きをしたんです」と右京。取調室で長手は、出所した山形からゆすられたうえ、母を侮辱したことが許せなかったと語り、弱者を守るユートピアを作るために強くなる必要があったと訴えた。だが、「ユートピアとは、どこにもない場所のことです。あなたが作りだしたのは、せいぜい出来の悪いディストピアでしかない」と右京に一刀両断された。
里吉はメモ帳に“オヤジ”である角田への感謝と、その教えに従って自分よりも弱い少年を助けることをつづっていた。「俺は助からないかもしれない。だからこのメモを託しておく。ちゃんと届いてるといいんだけど。オヤジ、今までありがとう。もう一度会って、言いたかった」。里吉にかつて、「ほんの一瞬でも誰かの救いになれるなら、それだけで立派なもんだ」と語ったことを悔やむ課長に、右京は「立派な人生でしたよ」と告げる。いつものようにいれた紅茶カップを、右京は角田にそっと差し出した。
「コーヒー派の課長が右京さんが淹れた紅茶を飲むのも良かった」「希望の本質が描かれた」「勇気ある若者に献杯を」と感動の声が続々上がる中、「里吉くんも救われるべき人だったのに」「誰も彼を救うことができなかった、という事実を、美談ではなく痛恨として胸に刻むべき」「里吉はif高田創(加藤清史郎)だったのかも」「生きててほしかった。本当に」と里吉を悼むコメントも多い。血のつながった長手親子と、他人でもオヤジと息子だった角田&里吉の、対比の物語でもあった。
さらに、露店を調べるも失敗して落ち込み、最後に特命係に敬礼した交番警官・井上春樹(川合諒)についても「今回の件があったから井上も警察官として勇気ある一歩を踏み出せたと考えると、遠回りだけど里吉くんのやった、やりとげたことはとても大きかったと思う」という意見も。安い中華ではなく寿司をおごってやりたいと後悔する角田に対して、いつか自分が警察官になって誰かを助けたら角田と行った中華料理店に連れて行くと、メモに書いていた里吉の思いも胸アツだった。
トレンド入りは「角田課長」と「右京さん」、そして「ラクレス様」。ラクレスは、長手役の矢野聖人が特撮ドラマ「王様戦隊キングオージャー」で演じていたキャラクターだ。
特命係に依頼をするために「暇か?」がいつもより丁寧な角田、長手に向かって右京を「すみませんね、屁理屈をこねるのがこの男の悪い癖でね」と語る内村など、ちょっとコミカルなシーンも。さらに、山形の血痕を発見して「気軽に呼び出された」とぐちる捜査一課に「この状況じゃ、敏腕刑事の皆さまをお呼びするしかないでしょ」と言う薫の物言いや、右京に向かって「うちも動きますよ」と言うが「お願いします」と薫に頭を下げられてちょっと引き気味の伊丹(川原和久)なども楽しい。聞き込みで出てきた「ヘコトール」という耳慣れない言葉を、すぐに「生態学用語」と理解、異なる環境が連続的に接触してる場所のことで様々な生物が共存してる状態だと説明してしまう右京の物知り具体は健在だ。薫の素の優しさが香音の心を溶かした点も見逃せないポイントだった。
次週は放送休止。角田課長のカッコよさを胸に刻み、右京が児童館で暗号解読に挑むという第8話を楽しみに待とう。(文・早川あゆみ)


