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伊藤詩織さん「反省することもありました」自身の性的暴行被害の調査を自ら記録したドキュメンタリー、ついに日本公開

『Black Box Diaries』ついに日本公開 - 伊藤詩織さん
『Black Box Diaries』ついに日本公開 - 伊藤詩織さん

 映像ジャーナリストの伊藤詩織さんが12日、都内で行われたドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』の初日舞台あいさつに出席。自身が受けた性被害と向き合った制作の日々、昨日の元弁護団の声明に対する思いなど、複雑な胸中を語った。この日は、プロデューサーのエリック・ニアリハナ・アクヴィリンも来場した。

【画像】自身の性的暴行被害の調査を自ら記録…『Black Box Diaries』

 伊藤さん自身が受けた性暴力被害を約6年かけて調査し、第97回アカデミー賞で日本人初となるアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた本作。2015年4月3日、当時25歳だった伊藤さんは元テレビ局員から同意のない性被害を受け、2017年に実名で記者会見を開き、事件と立ち向かうことを決意。自身に起きた出来事やスマートフォンに記録していた思いなどを通して、日本における政治やメディアなどのさまざまな問題をあぶり出す。
 
 本作は映像や音声が無断使用されているとして物議を醸し、伊藤さんは10月に自身の公式サイトで謝罪文を発表。日本では当事者から指摘を受けた部分などの一部表現を修正・配慮した新バージョンが上映されることになったが、昨日も当事者である伊藤さんの元弁護団の西廣陽子弁護士が「法的な問題は解決されていません」と声明を出していた。

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左からエリック・ニアリ、伊藤詩織さん、ハナ・アクヴィリン

 そんな中で迎えた公開初日。登場した伊藤さんは「めちゃくちゃ緊張しています。この映画は日本へのラブレターだと思って10年間作ってまいりました。皆さんにお届けできることを心から嬉しく思っています」と笑顔であいさつ。また、「この映画のプロセスについて、さまざまなご意見がありました。私もとても反省するところもありました」「この日を迎えるまで、本当に上映ができるのかという恐怖がありました」と話す伊藤さんは、昨日の件にも触れる。「これまでお世話になって来た尊敬している西廣弁護士や元弁護団からのご意見があって、中には事実とは違うことが報道されてしまったり、一方的な情報が回ってしまったことに対して、正面から対立することはしたくないと避けてきましたが、事実でないことは正していかなくてはいけないと思いましたので、本日、どういうタイムラインで防犯カメラ映像などを使うことになったかなど、西廣弁護士のステートメントに対して、私も監督としてのステートメントをホームページに載せましたので参照してください」と呼びかけ、「本当にご迷惑・ご心配おかけしました」と頭を下げた。

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深々と頭を下げた伊藤詩織さん

 制作時を思い返す伊藤さんは「ジャーナリズムだったら自分のことについて語るのはタブーですし、取材源とも距離を置いた方がいい。そんな今まで自分が習ってきたことを置いて、ドキュメンタリー映画の中で何ができるかを学び直した機会でもありました」と吐露。続けて、「450時間の映像と常に向き合うことで、トラウマになって忘れていたこと、向き合いたくなかったことにひたすら向き合わされて、ある意味、自分の中で整理ができました」と晴れやかな表情をのぞかせる。そして、「やっと母が観に来てくれる」と喜ぶ伊藤さんは、「母に見せたくなかったシーンもあったりして……。そういう個人としては言いたくないけど、監督としてだったら……という風に少しずつ4年間かけて作りました」と切々と語った。

 来場者には、組み立てると“ブラックボックス”になるカードが配布された。最後に伊藤さんは「なかなか話せていないこと、思ったことを書いて、少しずつオープンにしていけたら」と自身と重ねて願いを込めた。(錦怜那)

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