ADVERTISEMENT

『AKIRA』から『パプリカ』まで…仏監督が挑んだ日本SFアニメの系譜とハードSFへの挑戦を語る

『マーズ・エクスプレス』
『マーズ・エクスプレス』

 フランス発のSFアニメーション映画『マーズ・エクスプレス』(2026年1月30日公開)を手がけたフランスのジェレミー・ペラン監督が、日本のアニメ-ション監督たちや、作品に対する並々ならぬ情熱を公式インタビューで語っている。

【動画】カッコよすぎる…『マーズ・エクスプレス』予告編

 本作は、西暦2200年の火星を舞台に、人間とロボットが共存する未来を描くオリジナルSFストーリー。行方不明になった女子大生の捜索依頼を受けた私立探偵とアンドロイドの相棒が、火星の首都の暗部へと足を踏み入れていく。

ADVERTISEMENT

 アニメ界のアカデミー賞と呼ばれる第52回アニー賞の長編インディペンデント作品賞にノミネートされるなど世界的な評価を獲得している本作。長編デビューとなったペラン監督は、制作の出発点について「とにかくSFを作りたかった」と明かす。

 「本作のアイデアを集めていた頃、“ハードSF”(ストーリーやプロットの骨格として科学がベースにある作品)を近年あまり見かけないことに気が付きました。魔法モノや終末モノ、異世界モノ、ファンタジー系はたくさんあったのに、実際の科学技術知識に基づいた具体的なSFがありませんでした。だから、私たちチームは賭けに出たんです」

 そんなペラン監督が「アニメーションが到達できるとは思ってもみなかった可能性の扉を開いてくれた」と称賛するのが、押井守大友克洋川尻善昭といった日本のクリエイターが手掛けてきた「リアリズム系アニメーション」だった。ペラン監督は「フランスでは1991年に公開された大友監督の『AKIRA』が、その出発点だったといえるでしょう」と振り返る。

 一方で、「最近の日本ではそうしたリアル志向の作品があまり作られなくなったと感じており、個人的にも少し寂しく思っていました」とも告白。「私個人の印象ですが、日本では1988年公開の『AKIRA』から2006年公開の今敏監督『パプリカ』までで、一つの時代が終わったという感覚があります。もし本当にそうであるならば、私は世界の裏側から、微力ながらわずかでもその流れを汲むような作品を作り続けたいと考えています」と敬愛する日本SFアニメの系譜に挑戦し続ける意志を見せている。

ADVERTISEMENT
ジェレミー・ペラン監督 (c) Hugues Lawson-Body

 また、「電脳コイル」「地球外少年少女」を手掛けた磯光雄と対面した際、過去に制作したアニメーションを見た磯から「自分たちの後継者は海外にもいるのかもしれない」と言われたというペラン監督は「それは私にとって大変な誇りです」と告白。自身の創作のルーツになったともいえる日本での『マーズ・エクスプレス』の公開に向けて「私にとって、この作品が日本で公開されることがどれほど重要で大きな意味を持つか。これまで、日本の作品をどれだけ観て、どれだけ大きな影響を受けてきたか。本当に、心から深く感謝しています。実は日本吹替版も見せてもらいました。私の日本語の理解力は不確かですが、地に足のついたリアリズムを感じ、非常に良い出来になっていて感無量でした」と喜びを噛み締めている。

 本作の日本語吹替版では、主人公の私立探偵アリーヌ役を佐古真弓、相棒カルロス役を安元洋貴、大企業の社長ロイジャッカー役を内田夕夜、天才ハッカーのロベルタ役を三瓶由布子が担当している。(編集部・入倉功一)

映画『マーズ・エクスプレス』は2026年1月30日よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT