「ばけばけ」トキ&錦織の涙は台本になかった…ヘブンの感動プロポーズ誕生秘話

2026年最初の放送となった連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)第14週・第66回では、ヘブン(トミー・バストウ)がヒロイン・トキ(高石あかり※高=はしごだか)を出雲へ呼び出し、彼女の人生を変える“大事な話”を告げた。制作統括を務める橋爪國臣と演出の村橋直樹が、キャストも思わず涙したという第66回の重要シーンを振り返った。
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連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
第66回では、ヘブンが日本滞在記の完成を旅館で報告した後、出雲へ呼び出したトキに「いてもいいですか、ずっと……隣、いさせてください」と日本語でプロポーズした。ヘブンの想いを聞いたトキは静かに涙を流し、二人の様子を見守っていた錦織友一(吉沢亮)の目からも涙がこぼれた。
村橋によると、トキと錦織が涙を流すのは、本人たちの役づくり、撮影中の気持ちの盛り上がりで自然と出たものだと明かす。「私は絶対に、撮影現場で役者に向かって『さあ泣きましょうか』と指示はしたくありません。トミーさんの芝居だけで届くと判断したのでだいぶ編集していますが、あのシーンはもう少しヘブンが自分の人生について語っているんです。今まで生きてきた道を噛み締める中、ヘブン、トキ、錦織を順々に撮っていきました。3人にそれぞれ気持ちを作り上げてもらい、出し切る演技をしてもらいました」
雰囲気づくりは、カメラが回る少し前の段階から時間をかけて行ったという。村橋は3人の駆け引きに魅了されたといい、「スタッフも極力話さず、静かな雰囲気にしてもらって、ヘブン、トキ、錦織の3人に気持ちを作ってもらいました。台本のト書きには泣くと指定はありません。高石さんは順々に3人を撮っていく中、他の人の時も泣いていました。ハンカチを差し出すのはト書きにあったので、もちろん泣くんだろうなというのはあったと思いますが、高石さんは無理に泣きにいくお芝居はしない人です。泣かなかったら、吉沢さんも恐らくハンカチは出さなかったと思います。二人とも台本に流される役者ではありません。錦織も泣く予定はありませんでした。終わった後、吉沢さんが『泣いちゃったよ……』とお話しされていました」と振り返った。
また、ヘブンがプロポーズで口にした「いてもいいですか」という言葉についても、村橋は以下のように解説している。
「ヘブンさんの過去を何回かにわたって放送してきて、第12週で怪談を通じてお互いが惹かれ合う。(脚本の)ふじき(みつ彦)さんの中から自然と出てきたプロポーズの言葉だと思います。ヘブンさんは少し怖がりながらその想いを伝えています。フラれるかもと思って怖がっているのではなく、自分がここに存在していいですか、松江にいていいですかと、これまで自分の居場所が見つからなかったことに対する『ここに存在してもあなたたちは受け入れてくますか?』という想いが溢れています。恋愛に帰結しない感情を見せているんです。ヘブンさんの涙も、もちろん台本のト書きにはありませんでした。トミーさんも泣きの演技をしようとしていないし、彼の涙も役づくりの中で自然と出た涙なんです」
そして、橋爪は当該シーンを振り返り「トミーが泣くと思っていなかったのでびっくりしました」と驚き、「泣いて最もだと私も思いました。さまざまな場所を彷徨ってきた人が、覚悟を決めたシーンです。それがトキや錦織にも伝搬して、とても素敵なシーンになったと思います」と感慨深げに話していた。(取材・文:名鹿祥史)


