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仲野太賀、26年大河は「王道の戦国」 豊臣秀長役で100人の99人側だからこそ見える景色届ける

仲野太賀演じる小一郎(のちの豊臣秀長)
仲野太賀演じる小一郎(のちの豊臣秀長) - (C)NHK

 2026年放送の大河ドラマ第65作「豊臣兄弟!」(1月4日スタート※初回15分拡大版、NHK総合・毎週日曜午後8:00ほか)。豊臣秀長を主人公に、稀代の天下人である兄・豊臣秀吉を支え、「秀長が長生きしていれば豊臣家の天下は安泰だった」とまで言わしめた秀長の知られざる生涯に光を当てる本作で、主役の大任を担うのが仲野太賀だ。これまで5作の大河ドラマに出演し、本作が大河初主演となる仲野が、俳優を志した頃からの夢だったという大役を前に何を思うのか。歴史の影に隠れがちな“ナンバー2”の視点から、激動の時代を生き抜く兄弟の絆と新たな人間像を浮かび上がらせる。

仲野太賀、小栗旬、松下洸平ら第3回までの場面写真

心の片隅にあった夢、大河主演という現実

 仲野が俳優を志した頃に抱いた淡い夢。大河ドラマではこれまで「風林火山」(2007・上杉龍若丸役)、「天地人」(2009・直江景明役)、「江~姫たちの戦国~」(2011・豊臣秀頼役)、「八重の桜」(2013年・徳富健次郎/徳富蘆花役)、「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019・小松勝役)の5作品に出演。常に作品の真ん中に立つ先輩たちの背中を、憧れの眼差しで追いかけてきた。だが、その道のりの途方もない遠さに、いつしか夢は心の片隅へと追いやられていたという。

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 「いざこの業界に入り俳優を始めてみると、大河ドラマの主役という夢がどれだけ遠いものなのかを痛感する時期もありました。そんな中、こうして主人公のオファーをいただき、片隅にあった大きな夢が唐突に目の前に現れたような感覚で、本当に驚きました」

 憧れの座長という立場。しかし、気負いはない。クランクインを経てたどり着いたのは、ありのままの自分で現場に立つという覚悟だった。

 「いきなり大河ドラマの主演を任されて、『大河ドラマの座長然』とできるわけもなく(笑)、僕は僕でしかありません。クランクインした時にはもう『これはもう自分らしくいくしかないな』と思いながら撮影が始まりました」

 撮影は、約1年半にわたる長丁場となる。現時点では約半年の時間を過ごしてきたが、仲野は「大河ドラマは短距離走ではなく、マラソンだなということを感じました。長い時間、いいコンディションで作品に臨むためには、やはり休みが必要だと痛感しています。大河ドラマの撮影環境は素晴らしく、基本的に土日が休みとリズムがしっかりしていて、とても健康的です。最初は肩をぶん回していましたが、力むことが全てじゃない、というのは、半年の撮影を経た今の学びですね」と振り返る。

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天下人の隣で見た“99人側”の景色

兄・藤吉郎(池松壮亮)と

 仲野が演じる小一郎(豊臣秀長)は、天下人となった兄・秀吉を支えた「名参謀」として知られる。しかし仲野は、その横顔に別の光を当てることで、人物像に新たな奥行きを与えようとしている。「カリスマ的な才覚を持つ兄の隣で補佐役を務める中で、きっと天下人である秀吉とは違う、秀長だからこそ見えていた景色があったのではと思っています」

 歴史を動かすのは、一握りの英雄だけではない。仲野は歴史の表舞台に立つことのなかった大多数の人々の存在に思いを馳せる。「現代においても、秀吉や信長のような天下人は100人に1人くらいのカリスマ。秀長は、残りの99人側にいる人なのかなと。そういう人だからこそ見えていた景色があったはずです。家臣や市井の人々が視野に入っていた人だと思うと、どんどん上へ登っていく兄とも違う、秀長の立場だからこそ見えていた景色を大事にしたい。あらゆる人に目線を合わせ、手を差し伸べながら豊臣の時代を支え、守ろうとした人物なのだと思います」

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 史料がほとんど残っていない小一郎と名乗っていた青年期。だからこそ歴史上のイメージに縛られず、のびのびと演じることができる。

 「生き生きと、生命力のある人間として演じたい。農民という出自、ただ家族と平和に暮らしたかっただけなのに、そうはいかない戦国の世。そこから込み上げてくる『幸せになりたい』『自分らしく生きたい』という生きるエネルギーが、ただの受け身な役柄ではなく、物語を推進していく力になればと考えていました」

 軽やかさと重厚さを併せ持つ八津弘幸の脚本、そして兄・藤吉郎(豊臣秀吉)を演じる俳優・池松壮亮との対話が、作品に血肉を与えていく。

 「八津さんの脚本は、誰が見ても楽しめる軽やかさと、戦国時代らしい生きるか死ぬかの駆け引きがあり、演じていても胸が熱くなります。池松さんとは、ナンバー2である秀長が主役であることの共感性の高さや、見る人に兄弟の絆や体温が伝わるような物語にしたい、といったことを、日頃から話しています」

「生死」が隣り合わせの時代を演じるということ

織田信長を演じるのは小栗旬

 数々の名作を生んできた大河ドラマの「戦国」。その王道ともいえる時代設定に、真正面から挑む。仲野は「今回『豊臣兄弟!』は、誰もが知る有名な武将たちが次々と登場し、目まぐるしいほど戦国時代らしい物語が展開していく、大河ドラマの王道だと思っています」とエンターテインメント作品であることを強調する。

 一方で、現代劇とは決定的に違う死の匂いという、極限の状態がすぐそばにあるからこそ、俳優として奮い立つものがあると力説。「基本的にはとてもポップで青春活劇のような軽やさがあるんです。でも一歩進むと、生死をかけた選択を迫られるシーンがポンと出てくる。そういう演技の振れ幅は、やはり戦国ならではだなと感じます。その緩急は、俳優としてすごく演じがいがあると感じています」と述べていた。

 俳優としての夢を叶え、大役に挑む仲野。彼が目指すのは、完璧な「座長」ではなく、等身大の自分で仲間と作品を創り上げることだ。次々と発表される豪華キャストに思いを馳せつつ、英雄の陰で歴史を支えた「99人側」の視点から、戦国の世に新たな光を当てる挑戦が始まった。柔和な語り口が続くなか、ふと見せる眼光の鋭さ。そんな緩急が一年を通じて視聴者を魅了してくれるのではないだろうか。(取材・文:磯部正和)

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