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スタジオジブリの西岡氏、宮崎駿監督と高畑勲監督の違いを語る!

スタジオジブリの西岡純一氏とチャイルド・フィルム代表の工藤雅子氏
スタジオジブリの西岡純一氏とチャイルド・フィルム代表の工藤雅子氏

 「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」20周年記念映画祭トークショーが17日、Bunkamuraル・シネマにて開催され、チャイルド・フィルム代表の工藤雅子氏、スタジオジブリの西岡純一氏が参加した。

【画像】三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー20周年記念映画祭 上映作品場面写真

 「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」は、ジブリ美術館が世界の優れたアニメーションをセレクトし、広く紹介する活動。宮崎駿監督、高畑勲監督がおススメする作品を中心に、世界の名作の数々をシリーズ化して届けてきたライブラリーが、この度20年を迎えたことを機に、厳選した4プログラムを「20周年記念映画祭」として上映している。

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 この日は、ミッシェル・オスロ監督の『キリクと魔女』が上映されたが、西岡氏は「高畑監督が『この映画はいいよ』と紹介したことで、当時お付き合いがあったアルバトロス・フィルムさんに頼んで公開したんです。それが上手くいったことで、オスロ監督と高畑監督の仲が深まり、その後、オスロ監督の作品はジブリで検討するという流れができたんです」とジブリとオスロ監督の関係性を述べる。

 西岡氏は『キリクと魔女』をはじめとしたオスロ監督の作品について「影絵を使った独特のスタイル」と語ると、「『キリクと魔女』がフランスで公開されたときは、ものすごい大ヒットになりました。ちょうどスタジオジブリの『千と千尋の神隠し』がフランスで公開されるころと重なっていたのですが、フランスでは『キリクの方がヒットしている』と言われたほどでした」と懐かしそうに語る。

 高畑監督が大のお気に入りだったという『キリクと魔女』。その理由について西岡氏は「高畑監督が一番気に入っていたのは、キリクという少年が知的好奇心にあふれ、活発で、世の中に対して常に『なぜ? どうして?』と疑問を持つキャラクターである点」を挙げると、「あとはアニメーションのスタイルが俯瞰的というか、横から見ているような視点も評価していました。例えば穴のシーンでも、キリクの目線ではなく、横から客観的に見ている。そうした演出が高畑監督の演出に通じるものがあったようです」と明かした。

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 工藤氏も「後に『ディリリとパリの時間旅行』で来日された際、インタビューで『モンマルトルの長い階段をカートで降りるシーンなどを描くとき、普通は登場人物の目線で描くが、オスロ監督はそれをしない。そこが高畑監督と同じ』という指摘があり、監督も納得されていました」と付け加える。

 西岡氏は「まさにそこなんです」と同調すると、「宮崎駿監督の演出は主観で入り込むことが多いですが、高畑監督のカメラは“神の目”と言われるように、登場人物と距離を保ちながら冷静に物語を紡ぐんです」と両巨匠の違いを説明した。

 映画祭では『バッタ君町に行く』、「フレデリック・バックの映画」の短編各作品、『キリクと魔女』、『しわ』の4作品が日ごとに上映される。西岡氏は「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」について、「現在のジブリ副社長である中島(清文)が美術館の館長時代に発案したものです。美術館ではアニメーションの仕組みや短編を展示していますが、映画はやはり劇場で、動いている絵をスクリーンで見てもらうことが大切だと考えました。そこで、宮崎駿監督や高畑勲監督が若いころに影響を受けた作品や、なかなかスクリーンで見られない名作をリバイバル上映しようと始まったのが、このライブラリーシリーズです」と説明。

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 さらに西岡氏は「今、日本のアニメーションは世界に誇る文化や産業として、政府を挙げた“クールジャパン”のような形で推進されています。もちろん日本のアニメも素晴らしいですが、世界にはそれ以上に多様なアニメーションが存在します。必ずしも“戦い”や“勝利”“悪者をやっつける”といったテーマだけではない、豊かな表現が世界中で作られています」と世界のアニメーションに触れることの素晴らしさを述べていた。(磯部正和)

「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」20周年記念映画祭は1月29日までBunkamuraル・シネマで開催中

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