「ばけばけ」ヘブンの老けメイクに3時間 トミー・バストウ、特殊メイク第一人者の技術で激変

高石あかり(高=はしごだか)主演の連続テレビ小説「ばけばけ」が、第24週に突入した。物語は熊本編から10年後、舞台は東京に移り、トキの夫・ヘブン(トミー・バストウ)の見た目にも“老い”が現れている。制作統括の橋爪國臣が、ヘブンの老いを表現するための特殊メイクについて、撮影の舞台裏と共に語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
東京編に突入した第24週から、老いを迎え、少しずつ冴えなくなっていくヘブンの描写が、以前にもまして強くなっていく。橋爪はヘブンの変化について「史実からヒントを得た」と紹介。「なぜ『怪談』にもっとスポットを当てないのかというご意見も出ていますが、ハーンにとって『怪談』は重要な著作物ではあるが、たくさん書いてきた中のほんの一部に過ぎない。基本的には彼はエッセイスト。その『怪談』へ辿り着くまでに、うまくいかなかった時代があったというのを勉強して知ったんです」と制作過程を振り返る。
ヘブンのスランプについては「売れてない時期もあって、『日本滞在記』を越えるような作品がその後、なかなか生まれなかった。その中で、日本に住み続けるのか、作家をやるのかすごく迷っていたという話を知りました」と述べ、「それをトキの目線から見た時、彼女も夫をどういうふうにするのが一番幸せなのかを迷ったと思うんです。その辺りの話を、最後の2週で書きたいと思いました」と続けた。
「この時期を経て、『怪談』や『思い出の記』にどう繋がっていくのかを見せたかった。『この人を私が変えてしまったのではないか』というトキの贖罪みたいなこと、本当の幸せは何なのかをより追求した2週間になっていると思います」
ヘブンの“老けメイク”についても、こだわりを持って撮影した。担当したのは、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に参加するなど、特殊メイクの第一人者として知られるメイクアップアーティスト・江川悦子だ。橋爪は「全面的に入っていただきました。トミーさんに関して言うと、着物から出ている肌の部分はほぼ特殊メイクです。シリコンで皮膚を覆っています。枯れた皮膚やシワも違和感なく製作しており、特殊メイクを終えた後のトミーさんを見ると、こちらも気づかなかったくらいの完成度でした」と江川の技術を絶賛する。
「今まで自分が見た中で、一番レベルの高い特殊メイクでした。日に日に技術が進歩しているとのことでした。トミーさんは大変だったと思います。普段のメイク時間は1時間もかからないのですが、今回は3時間くらいかけています。朝9時から撮影の場合、朝6時からメイクをしています。ハーンは60代で亡くなっており、現代の人から見ると、少し老けすぎというふうに見えるかもしれませんが、当時の60代は写真などで見てもあのくらいの感じなんです」
もちろん、ヘブンだけでなく、他のキャストにも同様に“老けメイク”が施されている。橋爪は「女性陣も簡単な特殊メイクを施しています。皮膚の上にシワができる薬剤があるんです。よく見ると、笑った時など、肌の質感が少し違っていて、しわが入っているのがわかると思います」と話していた。(取材・文:名鹿祥史)


