『ウィキッド』は第1部だけでは成立しない「おとぎ話が崩れ去る、両方のパートが必要」

人気ブロードウェイミュージカルを『ウィキッド ふたりの魔女』『ウィキッド 永遠の約束』と2部作で見事に映画化したジョン・M・チュウ監督がインタビューに応じ、この大仕事を振り返った。
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取り掛かる際には「とても怖かった」と打ち明けたチュウ監督だが、原作のミュージカルを愛しており、そのあらゆる要素を知り尽くしていたため、どう映画へと変換するべきかが明確にわかっていたことがプラスに働いたという。
「『ウィキッド』は僕のキャリアを終わらせるか、あるいは(真の意味で)スタートさせるかのどちらかになるだろうと思っていた。だが、大きなことに挑戦する時、怯えてはいられない。数千人ものグループを率いる立場で、怯えるわけにはいかない。たとえ行き着く先がわからなくても、僕だけは確信していなければならない。もし、僕たちの心が正しい場所にあり、その意図の中に正しい目的があれば、うまくいくということはわかっていた。互いにどれほど違っていても愛と喜びを必要としている世界を表現し、力なき者に声を与え、権力を持つ者たちを牽制し、歌とダンスを通じて人々を喜ばせるんだ」
「僕たちは第1部(『ウィキッド ふたりの魔女』)のようにおとぎ話を信じている。そして第2部(『ウィキッド 永遠の約束』)で、そのおとぎ話は崩れ去る。だがそれでも、どれほど違っていても互いの中に素晴らしいものがあると信じ合える世界で、僕たちは生きていけるのだろうか? もしそれが映画の中で表現できるなら、それこそが僕たちの目的だと思っていた。ミュージカルの『ウィキッド』が伝えつづけてきたメッセージを届けることこそが、目的だった」
「そして、『ウィキッド』は第1部だけでは成立しない。両方のパート、物語の両面が必要で、それこそが『ウィキッド』を強力なものにしている。そこには本物のメッセージがあるから」と力を込めたチュウ監督。
「この経験は映画製作者としての僕を大きく変えたと思う。思慮深く、世界でも類を見ないほど素晴らしい技術を持ったクルーがいて、偉大さへと羽ばたこうとしている二人の俳優がいて、喜びや現実逃避、映画の技の全てを使って世界中の人々を一つにするような作品を切望している観客がいるという、その可能性を目の当たりにさせてくれたから。僕たちは長い間、そうした映画を切望してきたのだと思う。だからこそ、特に今のこの時代、喜びのある映画をもっと作るべきだという自信を与えてくれた」と振り返った。
チュウ監督の言葉通り、『ウィキッド』は2作で一つ。まさに円のようにつながっており、第2部『ウィキッド 永遠の約束』を観た後に、あらためて第1部『ウィキッド ふたりの魔女』を観るとまた違った感動があるはずだ。
「グリンダ役のアリアナ・グランデが第1部のオープニング楽曲『ノー・ワン・モーンズ・ザ・ウィキッド』を演じた時、彼女は自分が物語のどの位置にいて、どういう心境なのかを正確に理解していた。 おそらく観客が第1部を最初に観た時は、何のことかわからなかっただろう。少しは感じ取れたかもしれないが、本当の意味では見えていなかったはず。でも第2部を観た今、第1部に戻って見返すと、本当に……本当に胸が痛むよ。観客はもうその理由をわかっているし、アリアナの頭の中に入り込めているから」と語っていた。(編集部・市川遥)
映画『ウィキッド 永遠の約束』は公開中


