故ヴァル・キルマー、AIで復活 遺族の許可を得て映画出演

2025年4月に亡くなった俳優ヴァル・キルマーさんが、生成AIでよみがえり、新作映画『アズ・ディープ・アズ・ザ・グレイブ(原題) / As Deep as the Grave』(公開日未定)に出演することが明らかになった。製作チームがVarietyを通して、AIで復活したキルマーさんのファーストルックを公開した。
本作は、アメリカ先住民・ナバホ族の歴史を辿る考古学者夫婦の実話に基づく物語。主要キャストにはアビゲイル・ローリーさん(『ティン・スター ~正義の連鎖~』)やトム・フェルトンさん(『ハリー・ポッター』シリーズ)らが名を連ねており、『ファースト・ライン』のコート・ヴォアヘース監督がメガホンを取る。
キルマーさんは亡くなる5年前、先住民のフィンタン神父役で本作にキャスティングされていた。ところが、喉頭がんによる体調悪化の影響で、セットに立つことができず。ワンシーンも撮影することなく、この世を去った。
一時期は、予算と時間の制約からフィンタン神父の登場シーンをカットしていたそうだが、彼の存在が物語において欠かせないという理由で復活。完成版では、重要な役どころとして登場するという。
ヴォアヘース監督は、最新の生成AI技術を駆使し、キルマーさんを劇中に登場させることに成功。遺産管理団体および娘のメルセデス・キルマーさんの許可を得て、提供された若い頃の画像と晩年の映像の両方を組み合わせ、フィンタン神父のさまざまな人生を描き出している。
AIの使用を巡っては、業界から反対の声も多く、今も激しい議論が交わされている。製作にあたり、ヴォアヘース監督は、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)のガイドラインに従い、出演料を遺産管理団体に支払っていることも明かしている。
「彼こそ、この役を演じてほしいと願っていた俳優でした」とヴォアヘース監督は声明でコメント。「ご家族は、この映画がいかに重要であるか、そしてヴァルがどれほど参加したがっていたかを繰り返し話してくれました」と振り返り、「彼は自分の名前を残したい大切な物語だと考えていました。その支持があったからこそ、『よし、やろう』と決心できたのです。賛否両論あるかもしれませんが、これこそがヴァルが望んでいたことなのです」と強調した。
娘のメルセデスさんも「父は常に、新しいテクノロジーを物語の可能性を広げるためのツールとして、楽観的に捉えていました。その精神こそ、父が不可欠な一部であったこの映画の中で、私たち全員が大切に受け継いでいるものなのです」と声明で述べており、ヴォアヘース監督らをサポートする姿勢を見せた。(藤田良太)


