実写『ゴールデンカムイ』ラッコ鍋も再現 原作・野田サトルと生み出す“ゴールデンカムイらしさ”【片桐健滋監督インタビュー】

山崎賢人(※崎は「たつさき」)主演で大ヒットコミックを実写化した映画『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』を手掛けた片桐健滋監督(※片は旧漢字)が、原作者・野田サトルの協力で生み出された名シーンの実写化について語った。(以下、映画の内容に一部触れています)(編集部・入倉功一)
【画像】驚愕の再現度!『ゴールデンカムイ』キャラクタービジュアル
『ゴールデンカムイ』は明治末期の北海道を舞台に、日露戦争帰りの元兵士・杉元佐一(山崎)とアイヌの少女・アシリパ(※リは小文字・山田杏奈)が、莫大なアイヌの埋蔵金をめぐって、歴戦の猛者や脱獄囚たちと攻防を繰り広げるサバイバル・バトルアクション。本作では、アイヌの金塊を強奪した首謀者・のっぺら坊が収監されている「網走監獄」を舞台に、杉元一行の激闘が描かれる。
片桐監督は、2024年に放送・配信された「連続ドラマW ゴールデンカムイ ー北海道刺青囚人争奪編ー」のエピソード監督を務め、本作から映画版の監督を担うことに。映画版を手掛けるにあたって意識したのが、観客をノセるための“テンポ感”だった。
「全体のバランスをすごく大事にしました。そこで映画の始まりに選んだのが“ラッコ鍋”のシーン。まずは『ゴールデンカムイ』らしく始まって、杉元たちがなるべく早く網走監獄に到達できるようにする。映画としてのテンポを維持して、お客さんを飽きさせないように考えていました」
杉元たちがラッコ鍋の効能で興奮状態となってしまうこの場面は、原作でも屈指の爆笑シーン。お互いの顔が“艶やか”に見える様子もメイクでしっかりと再現されており、片桐監督は「野田先生が一コマ一コマ描かれた、“遊び心”までしっかりと再現したいと常に思っているので。ただ、杉元たちが“相撲”をとっている一方で、アシリパがインカラマッ(※ラは小文字/高橋メアリージュン)と大事な話をする場面でもあるので、シリアスな雰囲気を邪魔しないようにまとめるのに苦労しました」と苦笑する。
相撲に興じる男たちの肉体美も見どころ。山崎をはじめとする俳優陣は、筋肉の見せ方にも余念がなかったという。
一方で、改変を余儀なくされる場面もあった。例えば、入浴中の杉元一行を、盲目のガンマン・都丹庵士(とに・あんじ/杉本哲太)が強襲する場面。原作では服も銃も身につけていない杉元たちの苦戦が描かれるが、片桐監督は「まず、撮影時期的にもすごく寒いんです。さらに屋外のアクションとなると怪我の危険が増して、撮影もストップしてしまうので変更することにしました」と明かす。
「あと、裸のバランスが偏るんです。映画の始まりが“ラッコ鍋”でみんな裸なんです。そのあとお風呂でまた裸(笑)。そうすると前半がほぼ裸のシーンになってしまうので、何かいい案がないかなと思った時に、野田先生から『暗いから襲われた時にそれぞれ別のキャラの服を持って逃げて着てしまう』というアイデアをいただきました。『それなら原作から改変しても、観たいと思ってくれるお客さんは多いんじゃないか』と言っていただけたんです」
そのほかの場面でも、原作の要素を改変する場合は、原作者である野田の意思を反映することを心がけた。「今回は、前作以上に野田先生といろいろなアイデアをやり取りができる機会が増えたんです。やはり野田先生の存在は作品の魂なので、改変する場合でも、原作者が大事にしてほしいことであったり、シーンの意図を知ることができる機会が増えたことは非常にありがたかった」と振り返る。
「シリアスなのにコミカルなことをやってたり、コミカルなことをシリアスにしているような『ゴールデンカムイ』らしいテンポ感。それを映像化するのはとても難しいのですが、野田先生の思いを汲み取り、どれだけ咀嚼して映像に落とし込むのか。その点は常に意識していたので、今回はより『ゴールデンカムイ』らしい映画になっていると思います」と自信をのぞかせた。
「連載は終了していますが、野田先生の中で『ゴールデンカムイ』は終わっていません。“改変もあっていいが、続いていく限りは(実写として)アップデートして面白くしてください”という先生の意思は常に感じています」(編集部・入倉功一)


