『ウィキッド』超高難度だった「ザ・ガール・イン・ザ・バブル」の撮影 「このナンバーだけで2年費やした」

映画『ウィキッド ふたりの魔女』に続き、第2部にして完結編『ウィキッド 永遠の約束』のメガホンを取ったジョン・M・チュウ監督がインタビューに応じ、技術的な難易度の高さから計画から実行までに2年を費やしたというグリンダ(アリアナ・グランデ)の新曲「ザ・ガール・イン・ザ・バブル」のミュージカルシーンの秘話を明かした。
【画像】超仲良しな来日時のアリアナ・グランデ&シンシア・エリヴォ
「オズの魔法使い」に登場する“悪い魔女”エルファバと“善い魔女”グリンダの知られざる友情をスティーヴン・シュワルツによる楽曲の数々で描いた人気ブロードウェイミュージカルを、2部作で映画化した本作。「ザ・ガール・イン・ザ・バブル」は、シュワルツが本作のために新たに書き下ろした曲だ。
チュウ監督は同楽曲が生まれた背景をこう語る。「僕たちは第2部でグリンダが立ち上がる勇気を見つけるまでの旅路を描くにあたって、物語に欠けているピースがあることに気付いた。彼女の中にあるその変化を見せる必要があったけど、舞台版にはそういうシーンも曲も存在しなかったから。そこでスティーヴン・シュワルツが『それは歌にするべきだ。タイトルは“ザ・ガール・イン・ザ・バブル”だと思う』と言い、素晴らしい曲を書き下ろしてくれた」
ナンバーの演出を考えるにあたっては、曲そのものがもたらすインスピレーションを何より大切にしているというチュウ監督。同楽曲に関しては、「彼女がバブルの中に、そして自分自身の虚像の中に迷い込んでいる感覚を語る一言一言が、彼女の旅路において非常に重要」だと感じ、それゆえグリンダ役のアリアナをアップで撮り続けるべきだと考えたという。
「そこで、アップのままでどうやってナンバー全体を成立させるか? と考えた時に、僕たちは鏡を使うことを思い付いた。彼女は常に自分を外側から眺めているような状態だから。だから、僕たちが鏡の中へと入り込んでいき、どれが本当の彼女で、どれが彼女の虚像なのかわからなくなる、というのはどうだろうとね。この曲を歌う時の感覚はそういうものだろうと思ったんだ」
そうして、通り抜けられるように壁や鏡が外れる仕掛けが施されたグリンダの部屋が作られた。チュウ監督は「カメラのトリックもたくさん使っている。ステディカムや、クレーンがステージの上を通って回り込むためのスペースも確保しなければならなかったから、技術的にかなり難しかった。あのナンバー一つを計画し実行するだけで、最終的に2年を費やしたんだ。映画公開の数週間前まで最終バージョンが出来上がらなかったほどだよ」と打ち明けた。
“まやかしのバブルを弾けさせなければならない”という決断に至るまでのグリンダの感情の機微をアリアナが演じ切れることは「リハーサルの時点で彼女の目を見ればわかった」というチュウ監督にとって、課題はただ一つ。この技術的に極めて高度な撮影で、その繊細な感情をいかに損なわないようにするかだった。「実はそれこそが、『ウィキッド』という作品全体の肝だったのだと思う」とチュウ監督は分析する。
「アクション、視覚効果、特殊効果、音響などどんなに大きな要素があろうと、また楽曲そのものや振り付けにしても、それが“感情的に何を意味するのか”という視点を決して失わないこと。そうした要素は、観客の気を散らすのではなく、その感情に寄り添わせるために使わないといけないんだ」
「だからこそ、僕とシンシア(エルファバ役のシンシア・エリヴォ)、アリアナ、そしてあらゆる部門のスタッフが、全員が何をしているかを理解するために非常に密接でなければならなかった。もし誰か一人が、あるいは衣装や照明が少しでもズレていれば、すべてを台無しにしてしまう可能性があった。だから、すべてが感情と一致していることを確実にするために、僕たちの密接な信頼関係が必要だったんだ」とチーム一丸となり、またとない絆が生まれた撮影を振り返っていた。(編集部・市川遥)
映画『ウィキッド 永遠の約束』は公開中


