「風、薫る」小林虎之介、虎太郎の“一番男らしい”シーン 大切なりんへ「苦しんでいたら助けたい」

連続テレビ小説「風、薫る」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)で主人公・一ノ瀬りん(見上愛)をひたむきに思い続ける幼なじみ・竹内虎太郎を演じている小林虎之介が報道陣の取材会に出席し、撮影現場の裏側や、共演する見上とのエピソード、そして自身の役柄への思いなどについて語った。
「風、薫る」は、文明開化が急速に進む明治時代に看護の世界へ飛び込んだ、二人のナースの冒険物語。実在した大関和(おおぜき・ちか)さんと鈴木雅(すずき・まさ)さんをモチーフにしながらも、傷ついた人々を守るために“バディ”として奮闘する二人の主人公と、その仲間たちの姿をフィクションとして描く。
虎太郎は、りんと同じ村の生まれで、元足軽だった竹内家の長男。りんとは幼いころから気を許せる仲ではあるが、育ちの格差を痛感している。
小林は、役名に自身の名前と同じ「虎」という文字が入っていることに「すごく縁を感じる部分もありつつ、少し恥ずかしい部分もありつつという感じでした。今後は僕自身の名前も役名の『虎太郎』と間違えられそうだなとか、いろいろと感じています」と笑う。
“朝ドラ”への出演が決まった時は「すごく歴史のある枠で、日本全国で認知されていて、幅広い世代の方に見ていただけるドラマなので、決まった時は素直にうれしかったです」という小林。だが、いざ現場に入ると、“朝ドラ”特有のシステムに驚かされることもあったという。
「一番分かりやすい違いは、週に1回のリハーサル日があること。1週間分すべてをリハーサルするので、ヒロインのお二人は本当に大変だろうなと感じていました。体調を崩さないように楽しんでほしいな、頑張ってほしいな、という気持ちで見ていました」とダブル主演の見上と上坂樹里(大家直美役)のふたりをおもんばかる。
虎太郎は、元家老の家の娘として生まれたりんに対して、身分の差に引け目を感じながらもいちずな思いを寄せるキャラクターとなる。小林はそのキャラクターを「汚れた部分がなく、素直でまっすぐでピュア。でも本当にタイミングが悪いところもあって、りんとかみ合わないところもあるんですけど、彼自身は常にりんのことを思って行動している」と分析する。
第2週・第9回では、りんの結婚生活が破綻し、虎太郎が実家に逃げ帰ったりんの東京行きを手助けするシーンが描かれた。小林はこの場面を「これまでの中で一番男らしいシーン」と振り返る。
「りんの旦那さんになることはなかば諦めているけれど、それでも好きな女性が苦しんでいたら助けたい。恋愛というよりは、大切な人を守るという感覚です。身を挺して彼女を東京へ送り出す場面は、自分が東京には行けない悔しさも抱えつつ、りんには東京で頑張ってほしいから。(りんの嫁ぎ先の)奥田家が来たら戦う気でもいたし。りんたちが無事に普通の生活を送ってほしいなという気持ちで、あのシーンを演じることができたので、自分でも男気があったなと思います」
今後、りんをめぐって、虎太郎の恋敵となりそうな謎の青年・島田健次郎(佐野晶哉)については、スタッフから「放送が始まったら『虎太郎派』と『島田派』で視聴者の意見が分かれるだろうね」と言われたとのこと。「もちろん、自分としても勝ちたいという意気込みで撮影をやっているのですが、佐野さんはアイドルもされていますから……厳しい戦いになるかもしれないなという感じです」とコメント。ただし、今回のりんを東京に送り出すシーンで、一歩リードしたという思いがあるようで「まだ島田は本編に登場していないので、これは島田にはできないだろうな、という優越感みたいなものは持っています」と笑ってみせた。
また、りんを演じる見上については「僕が現場に行くときはいつも笑いが絶えなくて。元気で強い、本当にたくましい座長」と全幅の信頼を寄せる。「栃木のロケ地はすごく自然豊かな場所で、出演者もスタッフも虫刺されの被害がすごかったんです。そしたら見上さんが、翌々日くらいに、全員分の薬を病院でもらってきて『これを塗って』と配ってくれたんです。その年齢でそこまでの配慮ができるなんて、頼もしかったです」
「彼女は本当に器用で、スイッチの切り替えがパチンとできる女優さんです。同世代としてすごく刺激を受けました。特にりんが後悔して泣き崩れるシーンをモニターで見ていたのですが、そのシーンを見ていて、この作品は絶対に良いドラマになると確信しました」
“朝ドラ”での経験は、俳優としての大きな収穫になると小林。「“朝ドラ”の現場は所作とか、そういった面に関してミスのないように、非常に厳しく指導してくださいます。自分自身、そうやってきちんと導いてもらって演じたことがなかったので、まだまだ未熟な面が自分の中にあるということを自覚できたという意味でも、とても勉強になりましたし、歴史の勉強にもなります。この作品に出演できてよかったです」とまっすぐなまなざしで語った。(取材・文:壬生智裕)


