『アギト-超能力戦争-』最も苦戦した仮面ライダーG7のデザイン 進化の“カギ”はドローン PLEX小林大祐の挑戦

仮面ライダー生誕55周年を記念した映画『アギト-超能力戦争-』で、主人公・氷川誠(要潤)が装着する最新の特殊強化装甲服「仮面ライダーG7」。デザインを手がけたのは、「仮面ライダーアギト」(2001~2002)で初めてデザインワークスに携わった株式会社PLEXの小林大祐だ。2000年にPLEXへ入社して以降、数多くの仮面ライダーをデザインしてきた小林がインタビューに応じ、「ここまで苦戦したのは久々です」と話す仮面ライダーG7のデザイン秘話を明かした。
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小林のもとへ『アギト-超能力戦争-』のオファーが届いたのは2025年春。エグゼクティブプロデューサーを務める白倉伸一郎(東映)から「メインライダーが仮面ライダーG3の系統になる」という話が共有され、その進化系となる仮面ライダーG7のデザイン制作が始まった。
「最初に白倉さんにご提案させていただいたのが、仮面ライダーG4をさらにパワーアップさせたような、ゴツゴツした装甲をまとった大きな仮面ライダーです。また、ステルス機能をまとい、黒と青の差し色を入れた仮面ライダー、1980年代風のメカデザインを落とし込んだ仮面ライダーなど、いくつかデザイン案を提案させていただきました」
小林のデザイン案から採用されたのは、Gシステム特有の装甲を軽量化し、最新テクノロジーを駆使した仮面ライダーだった。「白倉さんは、テクノロジーが進化して、今まで大きかった装甲が小型化して、より動きやすくなった仮面ライダーのデザイン案を選んでいただきました。そこから仮面ライダーG7のデザインが本格的にスタートしました」
白倉が希望したデザイン案をもとに作業を進めていった小林だが、ここで大きな壁に直面する。「白倉さんからは、G3が進化した先にG7があるということで、観客に喜んでいただくには、より変化が鮮明であることがポイントとお話がありました。G3にも見えながら、全く違う仮面ライダーに見えるには、どうデザインを落とし込むべきなのか。探っていく段階で苦戦した記憶があります」
小林がデザイン案を提出しても、白倉からは「そんなに変化がない」というリターンが返ってくるばかり。「これだと、映画を観るお客さまが、G3システムが進化したということがわかっていただけない。だから、もっと変えていかなければいけないと、白倉さんからフィードバックをいただきました。私が一歩先に行けない状態が、何ターンか続いたことを覚えています」
小林曰く、ここまで苦戦した背景には仮面ライダーG3への並々ならぬ愛があるという。というのも、小林が入社後、初めて商品化を前提とするデザインを任されたのが、仮面ライダーG3のGX-05ケルベロスだった。
「私はデザインを進めるにあたって、あえて仮面ライダーに愛着を持たないようにしています。一歩距離を置いておいて仮面ライダーのデザインに取り組んだ方が、新しいものがご提案できます。長年さまざまな仮面ライダーをデザインしてきましたが、新いご提案ができずここまで苦戦したのは久々です笑」
「仮面ライダーG7をデザインしていく過程で、私が仮面ライダーG3をこんなにも愛していたのかということを、改めて知ることになりました。当時の諸先輩たちへのリスペクトもありますし、初めて担当させていただいたアイテムの使用者ということで、G3に対する愛着が相当あったと思います。そういった殻から、なかなか抜け出すことができませんでした」
小林は白倉からの助言をもとに、仮面ライダーG7のデザインを練り続けた。「仮面ライダーG3は、多くの直線で構成されたデザインの仮面ライダーです。ロボットヒーロー的なラインを流線形にしていくことによって、G3とは違う印象を与えることができるのではないかと。そこを狙い始めてから、デザインの最終形が見えてきました」
そして、デザインの“カギ”となったのが、白倉から提案があったドローンの装備だった。「ご存じの通り、G3は変身する仮面ライダーではなく、人間が装甲服を装着するヒーローです。今回、白倉さんは人間が装着するタイプから、仮面ライダーとして変身させることを想定した中で、ドローンで装甲が構成される面白さを提案してくださいました。そのドローンをボディに落とし込んでいく作業が、仮面ライダーG7の特徴づくりの大きな一歩になりました」
仮面ライダーG7の4本の角にも、白倉のこだわりが反映されているという。「白倉さんは、(角から)たくさんの情報を受信しているというお話がありました。世の中には、かっこいいWi-Fiルーターが溢れていて笑、4本の角にそのデザインを落とし込むことが新しくて面白いということで、白倉さんのご要望通りにデザインをしています」
また、仮面ライダーG7の複眼も、歴代のGユニットから大きく変更したポイントだ。「仮面ライダーG3の目は、完全に仮面ライダークウガを踏襲しています。メカニカルなデザインの中で、唯一目だけが有機的で、いわゆる昆虫の目のような形をしています。今回、リニューアルするにあたり、全身と馴染むようなメカニカルな複眼にしたいという狙いがありました。バイザーにも見えるように狙いながら、デザインさせていただきました」
かくして誕生した仮面ライダーG7。Gユニットの集大成でもあり、「仮面ライダーアギト」の歴史の重さを感じるデザインが完成した。仮面ライダシリーズのスーツ・小道具を制作する造形集団「ブレンドマスター」が手がけたスーツを見た小林は、「装甲をつけている仮面ライダーでありながら、本当にシャープに見えるし、青とシルバーの色もすごく綺麗です」と絶賛。同時に、25年前の出来事も蘇ってきたといい「初めて目の前で仮面ライダーG3を見た時のことを思い出しました。G3を引き継いだ形で、仮面ライダーG7のデザインを無事に終えることができたと、その時に思うことができました」と手応えを感じている様子だった。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
映画『アギト-超能力戦争-』は4月29日(水・祝)全国公開


