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『キングダム』志尊淳、パブリックイメージとの乖離実感 「もっと人間臭い部分も見せていきたい」

志尊淳
志尊淳 - 写真:高野広美

 映画『キングダム 魂の決戦』(7月17日公開)でシリーズ初参加を果たし、信とともに新時代を切り拓く若き武将・蒙恬(もうてん)を演じた志尊淳。これまで数々の漫画原作で女性人気が高い美青年キャラクターを演じてきたが、「正直言うと、やりたくはないです」とぶっちゃけつつも、強い思いで臨んだ本作。独立を経て30代を迎え、俳優としての働き方やマインドが大きく変化したという志尊が、作品へ向き合う覚悟から戦友・竹内涼真との秘話、そしてパブリックイメージとの葛藤までを赤裸々に語った。

【写真】 美しすぎる…志尊淳撮りおろし<7点>

女性人気の高い原作キャラクターを演じることへの本音

『キングダム 魂の決戦』より志尊淳演じる蒙恬 (C) 原泰久/集英社 (C) 2026映画「キングダム」製作委員会

 本作は、中国の春秋戦国時代を舞台にした原泰久のコミックを山崎賢人(※崎=たつさき)主演で実写化したシリーズ第5作。中華統一を目指す秦国で、天下の大将軍になる夢に向かって突き進む主人公・信(山崎賢人)が、秦への侵攻を開始した秦以外の全ての国からなる合従軍を迎え撃つ、原作でも人気の高い「合従軍編」が描かれる。

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 志尊は、『さんかく窓の外側は夜』(2021)や配信ドラマ「幽☆遊☆白書」(2023)など数多の漫画実写化作品で、圧倒的なビジュアルを誇るキャラクターに命を吹き込んできた。原作ファンからの期待値や、計り知れない重圧を背負い続けるポジションを担ってきた志尊から飛び出したのは、率直すぎる本音だった。

 「正直に言うと、やりたくはないです(笑)。女性人気が高くてビジュアルが良いという役をいただくことが多いので、“もう十分かな”という思いもあります。叩かれる、叩かれないという話はさておき、原作におけるイメージを実写作品にも求める気持ちは僕自身もよく分かります。でも、実写化というのは本当に見たいと思った人が選んで見るものだと思っていますし、今はもう吹っ切れています」

 幾多の葛藤を乗り越え、それでも再びこの過酷なフィールドへと足を踏み入れたのは、他でもない本作の持つ引力に突き動かされたからだという。

 「今まで『幽☆遊☆白書』の蔵馬や『SAKAMOTO DAYS』(2026)のX(スラー)、『キングダム』などのお話をいただいてきましたが、すぐに飛びつけなかったのは僕の中にいろいろな思いがあって。ただ、『キングダム』はドラマや映画をあまり観ない人からも“キングダムに出るんだ!”と反響が大きかったですし、この作品だからこそ挑戦してみようと思えたのかもしれません」

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乗馬に初挑戦!シーン追加の嬉しい誤算も

 日本映画界における最高峰のスケールを誇る本作。過酷な撮影環境の中で志尊が初めて挑んだのは、乗馬という武将にとって欠かせないスキルだった。本番に向けて地道な鍛錬を重ねた結果、現場では思わぬ嬉しい誤算が起きていた。

 「自分が馬に乗って走っている姿というのはすごく新鮮でした。乗馬の練習をめちゃくちゃしたら、筋が良かったみたいで(笑)最初は蒙恬が馬に乗るシーンは台本にはそんなになかったのにどんどん増えて、気づけばずっと馬に乗っている感じになりました」

芝居を熱く語り合う、唯一無二の戦友・竹内涼真

 劇中では、山崎演じる信、神尾楓珠ふんする王賁と共に、秦国の未来について語り合うシーンがある。かつて苦楽を共にした山崎との久しぶりの再会は、血生臭い戦場に身を置く若者たちの関係性をよりエモーショナルなものへと昇華させた。

 「賢人との共演も久しぶりでしたが、肩肘張ることもなく、自然とパッと作品の中に入ることができました。彼を見た瞬間に“信だ”と思えたんです。幼なじみじゃないけれど、これから秦国を背負っていく若き武将たちという空気感を出せたシーンだったのではないかと思います。蒙恬はちょっと違う風を吹き込むようなキャラクターですが、それを引き立たせてくれるのも、あの二人(山崎、神尾)の存在があってこそ。常にリスペクトを持ってやらせていただきました」

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 国を背負い切磋琢磨するキャラクターたちのように、過酷な芸能界をともに生き抜く同志はいるのだろうか。プライベートで同業者と深く交わることが少ないと語る志尊が唯一、自ら教えを乞い、演技論をぶつけ合う相手の存在を明かした。

 「最近、一緒に向き合ってお互いの作品を観合って意見を言い合える存在は、竹内涼真です。僕が彼の演技を観た時に“何か違うレベルにいるな、この人”と思って連絡を取り、ご飯に行ってからですね。彼も僕の芝居について、ドラマの1話が終わった後に死ぬほど長いメッセージをくれたりします(笑)。照れもなく、率直に“ここはちょっと気になったな”というのも言い合えます。し、役の考察をして送り合うという関係は彼が唯一ですね」

「良い人」と思われるのはプレッシャー

 個人事務所を設立し、環境が大きく変わった中で迎えた30代。未来への漠然とした渇望は削ぎ落とされ、地に足の着いた表現者としての核がむき出しになっていく。

 「僕は20代と30代で、俳優としての向き合い方が変わったなと思っています。いろいろなことがあった中で、30代はよりものづくりに徹したいという思いが強くあります。良い意味で、自分のこれからの未来や人生に対して吹っ切れたというか。20代の頃に抱いていた“こういうところに行きたい”という抽象的なビジョンから、現実的に自分に何ができて何ができないかということに向き合って、今は“じゃあ何がしたいんだ”というところに思考が向かっているような気がします」

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 自ら会社を率いる重責を背負いながらも、その表情はどこか晴れやかで自由だ。

 「やはり独立して一緒に働くスタッフもいるわけで責任は重くなっていますよ。でも、うちのスタッフたちも“そこにとらわれずやりたいことをやってください”という気持ちでいてくれる。だからこそ、これから一つ一つの仕事を大事に後悔のないように。やりたくないものを無理にやるのではなく、本当にやりたいと思えるものに全力で向き合って、作品も人生も豊かにしていきたいです」

 端正なルックスと柔和な佇まい。世間から向けられる「好青年」という眼差しに対し、彼自身は内に秘めた泥臭さをどうにか解放したいと疼いている。これからの俳優人生に向けた志尊の目は、これまでになく野心的だ。

 志尊は「この15年で『志尊淳』という俳優のイメージはある程度ついてきている中で、皆さんが思っている僕と、僕が知っている僕って、やはり結構乖離していて。“すごく良い人”とか“好感度が高い人”と思われるのも、ありがたい反面すごくプレッシャーというか。全然クズみたいな部分だっていっぱいあるし」と笑うと、「そういう部分も全然隠していないんだけど(笑)。もっともっと人間臭い部分も見せていきたいし、そういう役にも出会いたい。30代、さらにこだわって挑戦していきたいです」と未来に思いを馳せていた。(取材・文:磯部正和)

ヘアメイク:礒野亜加梨/スタイリスト:吉田ケイスケ

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