坂口憲二、『キングダム』桓騎の扮装に自身の提案 1時間超のメイクも「役に入り込むためのいい時間」

原泰久の人気漫画を山崎賢人(※「崎」は「たつさき」)主演で実写映画化したシリーズの第5弾『キングダム 魂の決戦』(7月17日公開)で、今作から初登場した秦(しん)国の将軍・桓騎(かんき)を演じた坂口憲二が、撮影の裏側を明かした。
【画像】人気キャラずらり『キングダム 魂の決戦』場面写真<12点>
紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く若き武将・信(山崎)と、中華統一を目指す秦国の若き王・エイ政(吉沢亮/※エイ政のエイは、上に亡、中に口、下左から月、女、迅のつくりが正式表記)を描く本シリーズ。七大国が覇権を争う戦乱の中、今回は秦以外の六国が手を組んだ総勢50万の“合従軍”が秦に侵攻。秦の国門・函谷関(かんこくかん)に桓騎ら秦を代表する将軍と20万の軍勢が集められ、秦が国家存亡を懸けた総力戦で迎え撃つことになる。坂口にとって、かつてない超大作の本作は、クランクインまで約1年の準備期間中に、衣装合わせだけでも5回以上行ったという。
「一つの役の衣装合わせだけで、こんなに手間と時間をかけていただいたのは初めてでした。まず甲冑の紫色から話し合い、その色みでも明るめから黒っぽいものまでいろいろあり、原作のカラーイラストとアニメ版でも微妙に違いますし、他国で使う紫とも被らないようにしないといけない。すべてのディテールまでこだわらせていただき、衣装部や佐藤信介監督とすごく細かく話し合って、段々とイメージに近づけていきました」
そのこだわりの一つが桓騎の履く靴で、坂口自身の要望も反映されているという。
「黒い太陽みたいな原作と同じ柄を入れて欲しいとお願いしました。日陰の王様みたいな桓騎の象徴だと思えたので。足を組んでふてぶてしく座るとのぞくんです。そういうアイデアも佐藤監督は“いいですね、やりましょう!”と言ってくれました。3つのピアスや、かつらも地毛と組み合わせるものを作っていただき、首回りの羽も撮影時期的には正直暑苦しいとは思ったけど(笑)、やっぱりあの羽がないと桓騎じゃないということで、衣装部さんが最もイメージに合うカラスの羽を探してきてくれました」
撮影初日、こだわり抜いて完成した衣装やかつらをすべて身に纏った際は、「今でも鮮明に覚えているくらい最高の瞬間で、腹が据わったしスイッチが入った」と感慨深げな坂口。地毛も活かすかつらや付け髭なども含め、撮影準備には毎回約60~90分ほどかかったというが、「その時間も役に入り込むためのいい時間でした。でも衣装やかつらなどは作り込んでいる一方、実は僕だけじゃなく皆さん顔のメイクは、あまりやっていない」そうで、なるべく自然なメイクにしていることも、このシリーズのリアリティを生んでいるのかもしれない。
「原作漫画のビジュアルに寄せることだけが正しいとは思わないけど、寄せられるところは寄せられたら、演じる僕らも気持ちがより入ります。そうすることで原作ファンの方にも違和感なく見ていただけるのではないか。こだわり抜いたビジュアルもこのシリーズは大切であり、醍醐味の一つだと思ったので、時間をかけて作り上げました」
今回の戦場となる函谷関のロケセットで始まった自身の撮影現場から、完成品を見るに至るまで、本作のスケールの大きさには驚かされることばかりだったようだ。
「スケジュールも、参加人数も、ロケ場所も、こんなにスケールの大きい撮影現場は初めてでしたから、本当に貴重な体験でした。特に函谷関の上で部下の雷土たちと開戦直前のシーンを撮った撮影初日は、圧倒されまくりでした。広大な屋外に大きなロケセットが点在して数か所組んであり、そこを車で移動したり、支度部屋にも150人くらいの兵士役の方たちがいた。巨大な国門である函谷関は、部分的にロケセットを組み、その全景はCGなので、撮影中はイメージで演じていたけど、完成品を見たら予想の3倍くらい函谷関がデカくて驚きましたね(笑)」
ロケ撮影では、カメラが回っていない時にもずっと孤独に一人で過ごすことが桓騎としての感覚や集中力を高めたが、その後のセット内で撮影された秦の王宮内で、国王のエイ政や文官たちの前に7人の将軍が集結したシーンの現場は「同窓会みたいな瞬間もありました」と振り返る。
「蒙武役の平山祐介さんは、僕がモデルを始めた時の大先輩で、馬の稽古とこの現場で数10年ぶりにお会いしました。共演自体は初めての昌平君役の玉木宏君も、30代の頃にテレビドラマの撮影スタジオが隣だったりして、同時期に一緒に頑張っていた感覚なので、“お互いずっと頑張ってきて良かったね”みたいな話ができた。昔よくお世話になった呂不韋役の佐藤浩市さんも、僕が差し入れしたコーヒーを“うめえぞ!”と言ってくださり、騰役の要潤君も久々に会えた。初共演の王翦役の谷田歩さんとは同い年なのでお互いの子供の話をしていました」
とはいえ、劇中で桓騎が初登場する同シーンの撮影は、「まず最初の立ち姿が大事で、勝負だと思った」と気合いを入れて臨んだ。錚々たる先輩俳優や同世代の俳優たちが演じる将軍や文官が居並ぶ中、元野盗という異色の経歴を持つ桓騎は、将軍としては末席に近いはずだが、橋本さとし演じる最古参の秦国将軍・張唐らに不遜な態度をとる。
「異物感を出さなきゃいけないし、初登場シーンだから絶対にインパクトを残さなくてはと。国王や格上の将軍がいても絶対に引かず、“かましてやる”と心に決めて現場に入ったので、アドリブも含めギリギリまで攻めました。張唐に楯突く芝居も、先にロケ撮影で信頼関係ができていた橋本さんなら、何をやっても受け止めてくださると思ったし、国王への挨拶も他の将軍がちゃんとやるところを、桓騎は少しかったるそうにやってみた。怒られないかなと周りの反応を見ながらどこまで思いっきりやるか、自分の中でも闘いながら演じていたので、その日の撮影は大変でした」
そんな撮影を経て完成した本作に、「自分のシーンは直視できないけれど、映画はメチャクチャ面白くて見入ってしまった。やっと僕もこのチームの一員になれた気がして、嬉しかったですね」と微笑む坂口は、その出来栄えに確かな自信を見せていた。(取材・文:天本伸一郎)
ヘアメイク:北清輔(337inc.)/スタイリスト:石橋修一


