「ガス人間」怪演話題!こばやし元樹、ボウリングシーン「カットかからず踊り続けた」
小栗旬、蒼井優ら出演のNetflixシリーズ「ガス人間」(配信中)で「怪演」が注目を浴びている警部・吉田則夫役のこばやし元樹。とりわけ視聴者をくぎづけにしているのが、吉田がボウリングで勝負に挑むシーン。その裏側をこばやしが語った(※一部ネタバレあり)。
東宝とNetflixが初タッグを組み、東宝の特撮映画『ガス人間第1号』(1960)をリブートする本作。生放送番組に出演中の大学教授の身体が突如として膨張し、爆死する前代未聞の事件が発生。そんな矢先“ガス人間”(UTA)を名乗る男が連続殺人を予告し、刑事・岡本賢治(小栗)や報道記者・甲野京子(蒼井優)、動画配信者・華歩(広瀬すず)、富士太(林遣都)兄妹らが謎に迫っていく。
こばやしが演じる吉田は、主人公・岡本の上司だが、実は裏社会の組織と通じている悪徳刑事。話題のボウリングのシーンは、吉田が大金を手にヤクザのリキ(松浦祐也)にある依頼をするシチュエーションで、リキはスネークアイ(※「7番ピン」と「10番ピン」が同時に残る状態で難易度の高いスプリット)を決められれば引き受けると答える。突然のムチャぶりだったが、吉田はいちかばちかの勝負に打ち勝つと体をくねらせ、踊り出す。作品の本筋とは絡まないが、吉田の異様な人となりを示すシーンとして注目を浴びている。
「もともとは吉田が野球場で観戦するヤクザのリキに大金を渡して“こいつを殺ってくれ”と依頼するはずでしたが、事情によって急遽ボウリング場に変更になった。監督からは、“吉田がスネークアイを決めた後にステップを踏むみたいなことをやろうと思っているんですよね”と。それでサンプルとなる映像を見せていただいて、ステップをいくつか覚えて現場に入りました。スネークアイを決めた瞬間に音楽が流れたら、それに合わせてステップを踏むことになっていたのですが、いざ始めたら監督が全然カメラを止めなくて……!(笑)」

いつまで経ってもカットの合図がかからないため、こばやしは戸惑いつつもダンスを続行。撮影は丸一日続いたという。
「もうやるしかないと思って、踊りまくって。本編ではあの尺ですけど、実際はあれの何十倍も踊っていて。段々間がもたなくなってきてしまって、それを見ているヤクザのリキも近づいてきて二人で踊り出し、しまいにはヤクザたち全員で……という事態になっていました。しかも、テイクを重ねるごとにどんどん1テイクの時間が長くなってきて、“ちょっと長くないですか!?”って心の中で叫んでいました(笑)。もう何回松浦さんと踊ったかわからないぐらい(笑)。実際に使われた映像は、テイクを重ねすぎて“もう何も出ない!”というくらい追い込まれた状態で、もはやダンスではなく、とにかく体を動かしているような感覚でした」
片山監督は、同シーンについて「ボウリングやるんだったら『ビッグ・リボウスキ』やるしかないだろうと(笑)」(CINEMOREインタビューより)と話しており、ジョエル&イーサン・コーエン兄弟の映画『ビッグ・リボウスキ』(1998)へのオマージュと推測される。同作は誘拐事件に巻き込まれた男の騒動を描くクライム・コメディーで、劇中、熟練のボウラー(演じるのはジョン・タトゥーロ、役名はジーザス)がストライクを決めるなり、フラメンコ風のBGMに合わせてステップを踏む描写がある。
「吉田がスネークアイの狙いを定めたり、球を磨いたりする描写も全て監督が考えたものです。指を舐めてボールをなでたり、いろんなパターンを試されていましたね(笑)。監督に“ちょっとこうやってみて”と言われるうちにまんまと乗せられて、ダンスしかり身体表現みたいなものを引き出していただいた気がします。本編で起きていることとは関係のない、吉田の人間性が出るシーンだと考えるとすごく面白いし、撮影にあれだけの時間をかけてくださって贅沢だなと。なおかつ、観てくださる方が気に入って話題にしてくださっているのは本当に幸せですね」
なお、吉田はこの時なぜかジャケットとシャツを脱ぎ、タンクトップ1枚の状態。これにはどんな心理が現れているのか?
「単純に、強そうに見えて脱いだらガリガリだったっていう見た目のギャップの面白さはあると思うんですけど、僕の解釈では儀式といいますか。(スネークアイを)決められなかったら何をされるかわからないぐらいまでに追い込まれた状況ではあるので、この勝負に対する覚悟を決める、そういうニュアンスでやらせていただきました」
ちなみに、こばやし本人もボウリングは得意な方だといい、「学生時代によくやっていて、ベストスコア230ぐらい出したこともありました。今は全然やっていないのでブランクはありましたが、当時は吉田といい勝負になるぐらいまでにはなっていたと思います(笑)。やっていてよかったです!」と微笑んだ。(取材・文:編集部 石井百合子)



