K(&TEAM)、スクリーンデビュー作で悔しさと気付き「より深く人の気持ちを考えるきっかけに」

「週刊少年マガジン」で連載中の新たなるサッカー漫画の金字塔、その実写映画化として、『キングダム』や『ゴールデンカムイ』シリーズ、『国宝』と次々に大作を手がけるCREDEUSの元で制作された『ブルーロック』が間もなく公開される。主人公の潔世一(いさぎ・よいち)を演じる高橋文哉をはじめ、櫻井海音、高橋恭平(なにわ男子)ら若手注目株が集結したこの映画で、多くの読者に支持されるキャラクター、凪誠士郎を演じたのはK(&TEAM)。オーディションでデビューをつかんだ9人組グローバルグループのメンバーである彼が、初めての映画の撮影現場で感じたこと、改めて演じることと向き合った感想を語った。
本作は、金城宗幸・ノ村優介による人気漫画に基づき、サッカーワールドカップで日本を優勝に導くストライカーを育成するために立ち上げられた「青い監獄(ブルーロック)」プロジェクトで、全国から集められた300人の高校生フォワードが生き残りをかけたサバイバルを繰り広げるストーリー。ソロとしての映画出演自体が初めてだったKにとって、主演の高橋文哉の存在は大きかったようで、「映画の現場には、独特の撮影用語がありますよね? 僕はそこから勉強する必要があったので、“あれって何?”“そうやってやるんだ!”といろいろ質問しました(笑)。セリフのことも、演技についてもそうで、文哉君が一番に、たくさん教えてくれて。彼がいなかったら、絶対にこの役はできなかったです」と感謝する。一緒にシーンをつくる場面でも、「文哉君と演技をすると、自然と凪でいられました。僕から凪という役を引き出してくれるようで」と強い化学反応を感じたよう。
また撮影現場の雰囲気については、「キャスト同士も仲が良くて、本番前でもみんなは余裕があるのでしゃべったりしていたんです。でも僕にはその余裕がなくて。本番までに準備をする必要があったので、例えばセリフの多いシーンや心の準備が必要なシーンがあるとき、その前はみんなからちょっと離れて、グラウンドの周りを歩きながらセリフを言う練習をしたりしました。自分の中で“負けない!”という感じで」と話す。
演じたのは大きな変化を遂げるキャラクターでもあって、「凪はそれまで生きてきて、焦るということがなかったわけです。でも試合中サッカーにハマり、覚醒する。その潔との一騎討ち、マッチアップで二人が並んで走るシーンがすごく好きなんです」とK。予告編にもある場面だが、潔は「うるせえよ天才、いまいいとこなんだよ」と凪に言い放つ。Kは、「“天才”と潔は凪を褒めてはいるのだけど、ここでは“俺はいまここに賭けているんだ”という意味でもあって。そんな風に何かに熱くなる泥臭さを凪はそのときまで知らなかったわけで、潔のそれに触れて初めて湧いた自分の感情にハッとします。それまでの、余裕があった自分がちょっと小さく見えるんですね。それで必死にボールを追う人が格好よく見える。演じた僕自身にもすごく心に刺さるセリフでした」と振り返る。
また彼自身が元アスリートだったため、「“なんだこの感覚、悔しいぞ!”と凪が覚醒してからは、自分に近くて。スポーツをやっていた経験が活きた部分があると思います。凪にも、負けず嫌いなところが絶対にあると思うので」と共感しやすかったよう。
凪の覚醒前後の変化については、監督から細かい演出があり、「覚醒してからは、ちょっとずつ言葉に感情が乗っていき、言葉が強くなります。潔に対しての“なんでこんなに熱くなってんの?”という意味のセリフも、温度が高くなると相手に詰め寄るように聞こえてしまいます。そうではなく本当にわからない、純粋に気になって聞いている感覚を表現するために、低いトーンを維持することを意識しました」と細かく話し合いながら撮影を進めていった。
撮影を終え「悔しい!」という思いも確かにあったそうで、「なかでもセリフを言うシーンでそう思うことがありました。でもそれが映画になったとき、とても自然な演技に見えるかもしれないですよね。以前、『プラダを着た悪魔2』のイベントで、来日されたメリル・ストリープさんとアン・ハサウェイさんにお会いする機会があって。メリル・ストリープさんが、『演じた自分の感覚は大切ではありません。“上手くできなかった”と思っていても、完成した作品を観た人が、感動した! と言ってくれることはたくさんありますから。全然、気にしなくていいのよ』という意味のことをおっしゃって。カリスマ編集長役の、例のあの言い方で(笑)。メリル・ストリープさんから直接そんなお話を聞けることなんてなかなかありませんよね。感動してしまって、そこからは、そうした自分の感覚をあまり気にしなくなりました」と世界的な名優に感謝を示す。
これまでは「&TEAM」のメンバーとして表現を追及してきたKだが、「演じることは、確かに歌や踊りでの表現とは全然違います。ただ、さまざまなコンセプトのいろんな曲をやるので、曲によって雰囲気や表情を変えていかなきゃいけない。その経験も今回、活きたのかも」と振り返る。また演技だからこそ味わえたこととして、「Kは自分とはまったく違う考えを持った人間なので、“もしこの人なら朝起きて何を食べるかな?”“こういうときはなんて言うだろう?”と役のことを考えながら生活していました。そんなふうに人の気持ちを考えることって、普段はありませんよね。演技のお仕事をしたことで、より深く人の気持ちや感情を考えるきっかけになりました」と、演じることが彼自身にも影響を与えたことを感じている。
『ブルーロック』を経て、アーティストとしてのKも変化を遂げたという。「何もないところから何かを生み出す、そのために演出や振付と、クリエイティブな面でチームに少しでも役に立ちたい。そこで自ら提案したり、サポートする側に回ったりすることで、みんなの表現の幅が広がっているはず。そうしていまの&TEAMのカタチが決まってきていると自負しています」。そんなとき、「こだわり抜くこと」が自らの武器だと言い、「これぐらいでいいと思っても、まだ行ける! と思う。それは大変ですが、誰かがその役をかわないとずっと止まったままですよね。でも一つひとつの作品が名刺になり、一生残る。だからこそ、曲、振付、世界観、すべてに対して妥協せず、徹底してこだわっていく。それが僕の強みです」とストイックな素顔をのぞかせる。
そうして、アーティストとは違った新たな一面として、俳優としての華やかな一歩を踏み出したK。映画の観客としては「普段はアクションやサスペンスを観がちなんですけど、実は好きな映画は超ラブストーリーの『きみに読む物語』」という。着実に活動の幅を広げる彼のこれからに、注目しないわけにはいかない。(文:浅見祥子)
映画『ブルーロック』は8月7日より全国公開
ヘア:富樫明日香/メイク:金光柚香/スタイリスト:櫻井賢之



