市川團十郎、息子・新之助とベネチア公式上映に登壇 鳴り止まぬ拍手に「グラッツェ!」【第83回ベネチア国際映画祭】

上映後、拍手に包まれる市川團十郎と市川新之助
上映後、拍手に包まれる市川團十郎と市川新之助

 第83回ベネチア国際映画祭アウト・オブ・コンペティション部門に正式出品されている歌舞伎俳優・市川團十郎のドキュメンタリー映画『襲名』が、現地時間4日に公式上映され、團十郎と13歳になる息子の市川新之助、そして監督の三池崇史が出席。上映終了後には約5分間におよぶ拍手と歓声が送られた。

市川團十郎、親子でベネチア映画祭を彩る!レッドカーペット

 本作は、2022年に行われた「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」の全貌を映し出すドキュメンタリー。市川海老蔵(当時)主演の『一命』(2011)などでタッグを組んできた三池監督がメガホンを取り、祝幕を現代アーティストの村上隆が手がけている。

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 上映前のフォトコールには、團十郎、新之助、三池監督の3人が登壇。團十郎は、昨日のレッドカーペットに続いて、歌舞伎演目「男伊達花廓(おとこだて はなのよしわら)」の江戸一番の男伊達である御所五郎蔵(ごしょのごろぞう)の衣裳で登場し、取材メディアからは思わず感嘆の声が。フォトコールを終えた3人が、公式上映の冒頭にも駆け付けると、会場からは大きな拍手が送られた。

フォトコールの市川新之助、市川團十郎、三池崇史監督(c) Kazuko Wakayama

 劇場内では、食い入るように映画に見入る観客の姿も見られ、エンドロールが始まると割れんばかりの拍手と歓声が大熱狂となって約5分間続いた。上映後のQ&Aで、100本を超える劇映画を手掛けながら、今回ドキュメンタリーに挑戦した理由を問われた三池監督は「血の出ない映画だったので皆さん驚かれたかもしれません(笑)」と冗談を交えつつ、「『團十郎』というのは歌舞伎界の最高峰の名前であり、頂点に立つ男、歌舞伎そのものを引っ張っていく立場になるわけです。それを聞いた時に、やはりこの歴史的瞬間を記録に残したい、自分も絶対に参加したいと思い、今回の映画になりました」と制作の経緯を語った。

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 團十郎は、「最後の方は字幕もなく、自分たちの素の芝居でしたので、皆さんがどう思われるのか不安で不安で仕方がなかったんですけれど、本当にこうやって最後まで観ていただいてありがとうございます」と安堵の表情を見せると「ぜひ歌舞伎を今後何かチャンスがあったら日本に来た際に観てみてください。本日はありがとうございました。グラッツェ!」と観客に感謝。

公式上映前も歌舞伎衣装で登壇(c) Lucia_Sabatelli

 また、司会者から、最後の場面が、過去の自分と時を越えて向き合っているようだと伝えられた團十郎は「新しいものがどんどん新しくなっていく昨今において、伝統を守っていくというのは大変難しい状況にあります。 しかしながら、このように時代がどんどん進むからこそ、伝統の中にある人間の本質、普遍的なものというものは、実はその中に古い形、伝統の中に1番新しいものの光り輝くものが入っているということに、誰もが気づき始めている時代に差し掛かっていると思うんです。新しいイノベーションをするということは、さらに磨きをかけていき、より古いものの中から新しいことを見出していく。日本の言葉に『温故知新』というものがございまして、そこにすべてが込められている伝統の世界を体現していくことが、私のひとつの目標かなと思います」と力強く明かした。

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 上映後のオフィシャルインタビューで、三池監督は「色々な映画祭でスタンディングオベーションを様々な形で体験してきましたけれど、こんなにも力強くて愛に満ちた拍手というのは本当に初めてで、本当に素晴らしかったです」と感無量。

(c) Lucia_Sabatelli

 團十郎は「2回目の観賞でしたが、やっぱり冷静には見られない! 海外の方々がどう感じるんだろうという漠然とした不安が大きすぎるというか」と告白しながらも「海外のお客様の雰囲気を見ていると、やっぱり理解をしようとしてくれている。『なんだか分からないけれど、観て良かったな』という空気感はあったんです。だから僕が他の国の文化や映像を観て『観て良かったな』と思う感覚に近かったのではないかなと、まだクエスチョンマークを持ちながらも感じます」と手応えを感じられた様子。

  一方の新之助は「やっぱり自分のことなので見ていてすごく恥ずかしくて、父とも顔を見合わせながら『ほんとに恥ずかしかったね』と言い合いながら、本当にお互い汗がドバドバでした」と笑顔を見せながら、「皆さんが本当に温かい目で観てくださって。途中、僕のお芝居を観ていて飽きないかなってずっと不安だったんですけど、終わったら本当に温かい拍手で迎えてくれて『本当に温かいな』と感じました」と感謝を明かしていた。

映画『襲名』は9月25日より全国公開

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