ピクサーで『トイ・ストーリー』5作すべてに携わった日本人がいた 第一線で活躍し続ける秘訣とは?

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映画『トイ・ストーリー5』より
映画『トイ・ストーリー5』より - (C) 2026 Disney / Pixar. All Rights Reserved.

 世界初の長編フルCGアニメーション映画『トイ・ストーリー』(1995)から、この夏公開されて世界興行収入11億4,842万5,809ドル(約1780億円)というシリーズ最大のヒットを記録した『トイ・ストーリー5』まで、5作すべてに携わった日本人クリエイターがいる。小西園子その人が取材に応じ、『トイ・ストーリー』31年の歩みを振り返るとともに、移り変わりの激しい業界の第一線で活躍し続けるために心掛けていることを語った。

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 今でこそCGアニメーションの制作過程は細かく分かれ、それぞれの専門スタッフが役割を分担しているが、誰もが手探りだったという第1弾の時は「ほぼ全部」に携わることになったと小西は当時を思い返して笑う。「当時はジュニアレベルだったので、何でもやらなきゃいけなかったですね。クレジットでは一応レイアウト、セットドレッシング、ライティングになっていますが、アニメーションとソフトウェア以外はほとんど触っていたと思います」「1のときはもう全然人数がいなかったので、次から次へとどんどんやっていかないとという感じで」

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トイ・ストーリー
記念すべき第1弾『トイ・ストーリー』ディズニープラスにて見放題独占配信中 - (C)2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 『トイ・ストーリー3』(2010)からはシミュレーション(服の動きなどの物理法則をコンピューター上で計算して作り出す技術)を使うことが普通になっていたが、『トイ・ストーリー2』(1999)までは服のシワも一つ一つ手作業で形作っていったのだという。「今はコンピューターに投げれば一応返ってくるんですけど、その頃は手でちゃんとシワをつけて(笑)。だから、あんまり服を見せるシーンとかもなかったと思うんですよ。それかそもそもぴちっとした服にしていたり」と秘話を明かす。

 32年にわたっていろいろな部門を経験してきた小西が、一番長く所属したのがキャラクター・リギング部門(キャラクターに骨組みとコントローラーを設定する部門)で、その次が現在担当しているシミュレーションだ。『トイ・ストーリー5』ではシミュレーションも大いに進化を遂げている。

トイ・ストーリー5
『トイ・ストーリー5』でのボニー

 「コンピューターが勝手にやってくれるといっても、計算通りにいかないんですよ。わたしは“カートゥーン・フィジックス(物理)”って言ってるんですけど、大げさに見せたり、キャラクターの感情を服に出したりすることもわたしたちの仕事。今回、ボニーのショット結構担当したのですが、ボニーがうれしい時はスカートの揺れを大きくしたり、ちょっとかわいく見せるんです。小さい身体なんだけど一生懸命笑っているとか、寂しくて震えているとか、その感情の延長を服に出し、パッと見て伝わるように工夫しました」

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 移り変わりの激しいアニメーションの世界において、32年もの長い間、一つのスタジオに所属しているのは珍しいことだ。「そうなんですよ。監督になる形で長く所属している方はいましたけど、わたしは現場ばかりなので。一度だけリーダーシップやった時にちょっと合わなくて、『リーダーシップよりも現場の方が合ってるな』って気づいたんです」と振り返った小西。自ら現場の仕事にどっぷり取り組みつつ、新メンバーを気に掛けたり、一緒にトレーニングをしてあげたり、頼れるベテランとしての仕事のやり方を確立した。

 ピクサーではいろいろなことができるのが楽しいと小西は言う。「やはりピクサー内にはクリエイティブな人が多いので、例えば短編映画を作ったりすることも。堤大介さんの『ダム・キーパー』や、『与えられた時間』に関わって、その2本はオスカーの短編アニメーション部門にノミネートされました。そういう機会もあるですよね。クリエイティブな人たちに囲まれてると、なんか、やる気が出るっていうんですか?(笑) タイミングが合えばテーマパークの仕事が入ったりもして、すごく幅広いんです」

 テーラリング(衣服関連)やシミュレーション部門に入ることになったのも、元来モノづくりが好きな小西が趣味で作ったハロウィーン・コスチュームのクオリティーがすさまじい高さだったのがきっかけだ。「わたしはハロウィーンのコスチュームもパターンとか引いてガチで作る方なので(笑)。『メリダとおそろしの森』の時に『新しいテーラリングのツールを使うからやってみる?』って声かけていただいて、それがきっかけでした」

 この30年でどんどん進歩していく技術に付いていくのは「苦ですよ!」と笑いながらも、「大変ですけど、確かにツールなど使いやすくなっている部分はあるんですよね。それもありますし、ピクサーは『これを使えなきゃ、もうあなた使えません!』っていう会社じゃないので、ゆっくりと慣れていく期間も入れてくれるので、付いていってますね」と明かした。

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 素晴らしいキャリアを築いてきた小西だが、第一線で活躍し続けるためにどんなことを心掛けてきたのだろうか? 「今は言っちゃいけないことかもしれないけども、“辛抱”です(笑)。でも、ちょっと辛抱して、焦らずに我慢するって、結構大切なスキルなんじゃないかって思うんですよ」と現代では敬遠されがちな“辛抱をする”ということには、意味があるはずと語る。

 「確かに今はいろんな情報があふれているし、インスタとか見ていて『あ、これもかっこいい! あれもやりたい!』とか思ってしまうのですが、わたしは基本的には『これは極めるぞ』と思う時にはそれに集中し、そうして極めるとそこからいろんなことできたりするんです。あとはいろんな趣味を持ったり、クリエイティブな人たちに囲まれているとまたいい影響を受けて、新たなことに自分でつなげることができるんですね。だから、そういう環境に自分が入るってことも大切じゃないかなと思います」(編集部・市川遥)

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