『ゴジラ-1.0』山崎貴の原点!『ALWAYS 三丁目の夕日』に隠された“見えないVFX”とは

今夜の日本テレビ系「金曜ロードショー」(毎週金曜・夜9時~)にて、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が放送される。本作のVFXを担当したのは、後に『ゴジラ-1.0』で米アカデミー賞視覚効果賞を受賞した白組だ。怪獣映画のような派手なアクションや破壊シーンがあるわけではない本作の、一体どこにVFXが使われているのだろうか。
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昭和30年代の東京・下町「夕日町三丁目」を舞台に、夕日町に集う個性豊かな人々の温かな交流や絆を描いた人情ドラマだ。売れない小説家・茶川竜之介役に吉岡秀隆、彼が密かに想いを寄せる居酒屋の女店主・ヒロミ役に小雪、下町の自動車修理工場「鈴木オート」の頑固な社長・鈴木則文役に堤真一、その妻・トモエ役に薬師丸ひろ子、青森から集団就職でやってきた六子役に堀北真希、そして茶川のもとに身を寄せる少年・淳之介役に須賀健太ら豪華キャストが集結。日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめ、全13部門中12部門で最優秀賞を獲得した。
本作で最も巨大なVFXの成果といえるのが、画面の随所に登場する「建設途中の東京タワー」と「昭和30年代の街並み」だ。物語の進行とともに少しずつ組み上がっていく東京タワーは、当時の設計図や貴重な写真を元に、CGで構築されたもの。さらに、上野駅、日本橋、夕日町三丁目の上空から見下ろす街並みなど、現代には存在しない風景が膨大なカットで緻密に描かれている。駄菓子屋や鈴木オートといった生活空間はオープンセットで実際に建て、その背景に果てしなく広がる当時の街並みをCGで合成しているのだ。
VFXというと、怪獣の破壊シーンや派手な爆破アクションを連想しがちだが、山崎貴監督や白組が本作で追求したのは「観客にVFXだと気づかせないVFX(インビジブルVFX)」だった。タイトルにもなっている「夕日」の温かな光や、刻一刻と表情を変える夕空、蒸気機関車が吐き出す煙など、画面上のノスタルジックな雰囲気は徹底したデジタル処理によってコントロールされている。さらに、昭和のクラシックカーや都電などは精巧な実物ミニチュアを撮影し、CG背景と融合させるというアナログとデジタルのハイブリッド手法を採用。これにより、フルCG特有の無機質感を排除し、まるでタイムスリップしたかのような温かみと質感を生み出すことに成功した。
“山崎貴=VFXで日本映画のクオリティを引き上げた監督”という評価を世に確立させた絶対的な作品こそ、この『ALWAYS 三丁目の夕日』だ。『ゴジラ-1.0』で世界を魅了した山崎監督と白組の圧倒的な技術と、画面への並々ならぬこだわり。その原点とも言える手法が、すでに20年近く前の本作で余すことなく発揮されていた。登場人物たちの心温まるドラマとともに、画面の奥に隠されたピクセル単位の職人技にも注目したい。(今井優)



