「仮面ライダーカブト」20周年、“天道語録”はいかにして生まれたのか 脚本・米村正二が明かす知られざる誕生秘話

画像は『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』より
画像は『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』より - (C) 2026 石森プロ・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C) 石森プロ・東映

 今年20周年を迎えた平成仮面ライダーシリーズ第7作「仮面ライダーカブト」(2006~2007)。「天の道を往き、総てを司る男」を自称する主人公・天道総司を中心に、地球外生命体「ワーム」と戦う人間たちのドラマを活写した。当時のメインライターであり、完全新作Vシネクスト『仮面ライダーカブト 20th 天を継ぐもの』の脚本も執筆した米村正二がリモートインタビューに応じ、キャラクター設定や作品を象徴する“天道語録”など、20年前の知られざる製作秘話を明かした。

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 テレビシリーズの主人公・天道総司は、語学、スポーツ、料理などあらゆる分野で才能を発揮する天才肌の青年。誰であろうとも尊大な態度は崩さない“俺様キャラ”で、「カブト」の世界観において絶対的存在として君臨した。

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 20年前を振り返った米村は「主人公のキャラをどうするかは、プロデューサーの白倉(伸一郎)さんや武部(直美)さんを含めてずっと話し合っていました。僕の中では当時、強大な人類の危機の中でも『この人についていけば大丈夫』『この人がいれば大丈夫』と思えるような存在を作りたかったんです。そこから、“超俺様”の天道総司が作り上げられていきました」と天道の誕生経緯を明かす。

 「天道を演じる水嶋ヒロさんのキャスティングはかなり早い段階から決まっていて、彼に当て書きした部分もあったと思います。なので、水嶋さんと天道のギャップや違和感はあまりなかった。逆に、水嶋さんの目線の送り方=流し目がすごく良いなと思っていて、ちらっと鏡を見たときの目線など、すごく良いものを持っていると感じていました」

仮面ライダーザビーvs仮面ライダーパンチホッパー - (C) 2026 石森プロ・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C) 石森プロ・東映

 そんな天道は、「おばあちゃんが言っていた…」から始まる格言のような言葉を残している。物事の本質を突いたその言葉は“天道語録”と呼ばれ、当時の子どもたちはもちろん、子どもの教育にいいと親世代からも支持を集めた。

 20年経っても色褪せぬ“天道語録”は当時、いかにして誕生したのか。米村は、とある人気漫画がヒントになっていたことを明かした。

 「天道総司という超俺様なキャラクターは、見方によってはわがままで独断的に見えて反感を買う恐れがあると思ったんです。ですが『おばあちゃん子で、おばあちゃんの言うことにはすごく耳を傾ける』という設定にすれば、みなさんからも愛してもらえるんじゃないかという狙いがありました。また当時、漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第2部がすごく好きで、主人公が超俺様なのですが、おばあちゃんにはすごく素直なんです。そこで救われている部分があるなと感じていて、それも“天道語録”のヒントになりました」

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 「“天道語録”を作り出すのには苦労しましたが、同時に楽しみでもありました。最初にパッと耳で聞いたときは『えっ、何それ?』と思わせつつ、天道の行動を考えると説得力がある。そういう部分を面白がりながら書けたので、苦労というよりは楽しく書かせていただいた感覚です」

- 天道以外のキャラクターも魅力的だった - (C) 2026 石森プロ・バンダイ・東映ビデオ・東映 (C) 石森プロ・東映

 「仮面ライダーカブト」は、天道のみならず、彼の戦友となる加賀美新、物語の語り部であるヒロイン・日下部ひよりなど魅力的なキャラクターによる群像劇も見どころの一つ。米村は、「天才である天道総司に対して、加賀美新は普通の人であり、頑張っても報われないけれど頑張り続けるという非常に重要な存在として描きました」とキャラクター造形を振り返る。

 「ひよりは、天道の妹でワームでもあり、人間とワームの間で揺れ動くドラマを作る存在でした。天道は、最初からひよりがワームだと気づいていたと思いますが、妹がワームであろうと愛する。一方、劇場版『劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE』などでも描かれたように、加賀美もひよりが好きで、人間がワームを好きになる。そういった関係性の中で、1年間を通したドラマを作っていきました。また、矢車想に関しては、後半で地獄兄弟になることは当初想定していませんでした。制作側としても、意外で面白い展開ができたと思っています」

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 テレビシリーズから20年後を舞台にした『仮面ライダーカブト 20th 天を継ぐもの』を執筆し、「カブト」の世界を再訪した米村。メインライターを担った「仮面ライダーカブト」は「自分のシナリオライターの仕事としても、いろんな意味でピークに達するような仕事だったなと思います」と米村の人生において、特別な作品として今も刻まれている。

 「忙しさはもちろん、毎回面白い話を作っていくという意味でも、1年間の長丁場のテレビシリーズをやるという意味でも、特別な作品です。そして何より、脚本を書く以前から、主人公をはじめとするキャラクターの立ち上げに関わったという意味でも、人生のすごく大きな節目になったと思います」(取材・文:編集部・倉本拓弥)

Vシネクスト『仮面ライダーカブト20th 天を継ぐもの』は新宿バルト9ほか期間限定上映中、Blu-ray&DVDは2027年2月10日(水)発売

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