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リドリー・スコット/ジェリー・ブラッカイマー来日インタビュー

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リドリー・スコット
リドリー・スコット来日インタビュー
リドリー・スコット代表作エイリアン (1979)/ブレードランナー (1982)/ ブラック・レイン (1989/)ハンニバル (2001)/ グラディエーター (2000)
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ブラックホーク・ダウン
3月30日公開
公式サイト:http://bhd.eigafan.com/
配給:東宝東和
東アフリカのソマリアでの部族間闘争に、アメリカ軍特殊部隊が現地の独裁者を捕らえる任務で派遣されて来た。しかし、2機のブラック・ホーク・ヘリが撃墜されることにより、全てが最悪の状況に変化していった……。

 

ジョシュ・ハートネットには知性があった

Q 主演のジョシュ・ハートネットさんのキャスティングの決め手はなんでしたか?

A 私が俳優をキャスティングする時に一番見つけようとするのは、創意工夫でどれぐらい演技を作っていくことができるかということ。つまり、頭がいいかどうかということさ。知性の度合いを測ればよくて、ジョシュにはそれがあった。


Q その他のキャストについてはどうですか?

A 私はこの映画に限らず、一緒に仕事をやってみたいと思ういろんな俳優のリストが頭の中にあるんだ。それがユアン・マクレガーでありトム・サイズモアであり、サム・シェパードだった。今回は大きな役ではないけれど、電話で頼んだところみんなOKだったんだよ。もちろん、この3人は適役だ。サイズモアが演じたのは非常に強い役で、まさに彼にぴったりだった。ギャリソンは実際にはとてもクールで、いつも後ろに控えているような人。何があっても騒がず冷静なんだ。これはシェパードそのものだよ!


Q 出演依頼は電話だけでするのですか?

A 大抵の場合、電話で説明するだけで脚本はその後に送る。とりあえずは電話だね。


Q 「インフェルノ」という報道写真集をジョシュ・ハートネットさんに見せたということですが。

A とてもいい写真集で、俳優にもそれをまず見せた。この作品の映像に関しては、非常にスチール写真からのインプットが大きいんだ。ドキュメンタリーもあるが、やっぱり被写体までに距離があってそれが歯がゆい。だが、スチールカメラマンというのはビューファインダーをのぞくと、危険を顧みずにどんどん前に行ってしまうという性質がある。だから彼らは、被写体にとても近いところで撮っているんだ。それがすごく参考になる。だけど、だからこそ戦場に行くスチールカメラマンというのは、大抵は戦死してしまうんだね。スチール写真にはそこに兵士たちの不安の表情、恐怖の表情というのが焼きついている。こんな素晴らしい教材というのはないよ。


Q ジャーナリズムの視点で本作を描いたとのことですが、現場でも俳優たちが本当に驚くようなリアルな戦闘シーンを再現したそうですね。そういった方法は、これまでとは違ったものですか?

A 描く素材によって、俳優の演技指導というのは全く変わってくる。普通の2~3人の俳優が芝居をするという時と、今回のように何百人もの出演者が関わるような場合とでは特にね。今回は、とにかくカオスを作るということが目的だった。その中にもちゃんと秩序につながる部分はあるのだが、俳優はセリフは覚えていて、ここからあそこへ行く、という行動もちゃんとわかっている。私はその中にカオスを作り出して、彼らの反応を見た。具体的に言うと、5~11台のカメラが俳優を取り囲んで、長いマスターショットを撮る。普通はこっちを撮ったりあっちを撮ったりとショットを割るが、今回はそうじゃなくて、マスターショットを延々と撮って、そこで彼らの演技を引き出すという手法、システムを取ったんだ。


Q 撮影監督にスワボミール・イジャックさんを起用したのはどうしてですか?

A 撮影監督については、私はいつもいろんな才能を物色しているんだ。アメリカのメインストリームというのはわかっているから、あまり意味がない(笑)。だからアメリカでもイギリスでも構わないが、とにかくローバジェットで面白い、今から開花する才能に目を付ける。「必要は発明の母」と言うが、ローバジェットの撮影の時にはお金がないから頭を使うんだ。そこに面白いものができてくるんだよ。それをよく見てるわけなんだが、その中で引っかかってきたのがイジャックだ。『ふたりのベロニカ』、クシシュトフ・キェシロフスキの『トリコロール/青の愛』、マイケル・ウィンターボトムの『アイ・ウォント・ユー』を見て、この映画にはこの人が一番だと思った。

 

攻撃するもの”というのは、非常に美しい。それが怖くもある


Q ブラックホークやリトルバードなどの戦闘用ヘリコプターが出撃するシーンがものすごくかっこいいですね!

A いわゆる“攻撃するもの”というのは、非常に美しい。それが怖くもある。銃も怖いけが、物体としては美しい。機能的であるものには、すばらしい美しさがある。私は、機能するものはとても美しいと思っているんだ。そこに恐ろしさがあるんだよ。

Q 音楽のハンス・ジマーとはいいコラボレーションを続けていますね。

A ハンス・ジマーは友だちでもある。5本も一緒に仕事をして、友だちでいられるというのはとてもいいことだよ(笑)。なかなか起こらないことさ。映画によっていろいろと問題は違ってくるが、彼は才能があって、新しいことを開拓していくタイプの作曲家。彼のものを見る目、音楽を見る目、彼のスタイルというのは誰かに影響されたりするものではなく、新種の目、先端を行くという性質の持ち主なんだ。そこがとても魅力的なんだよ。私とハンスは、いつもとてもたくさんのディスカッションをするのだが、そんな風に彼は絶対に自分の殻に閉じこもったりしない。それはクリエイターとしてはとても珍しいことだと思うね。


Q ラストのジョシュ・ハートネット演じるエヴァーズマンのモノローグは、最初からシナリオにあったのですか?

A 映画というのは、作っている間にどんどん変わっていく。シナリオも、撮影現場で毎日リライトした。かなりの部分を撮り終わった後に気づいたのだが、この映画には声がなかったんだ。メタフォリカルな意味でね。そこで私はこの映画を語る声が欲しいと思って、フートとエヴァーズマンの二人の声を出すことによって、この映画に声を与えた。それでハリー・グラフトに書かせたところ、4シーン書いてきたんだ。その1シーンが、フートが一度帰ってきて、朝食を食べてすぐまた出ていくところ。3日間行方不明になって、死体が転がっている場所を確認して助けに行けたという場面だ。グラフが書いたシナリオの部分を、最後の段階で付けた。それから最初に落ちたヘリを救出した場面で、「これで状況が変わった」と言うと、相手の兵隊が「何も変わっていない」と答える。さらに「こんなことをしても無駄だ」というセリフがある。確かに戦況は変わらないかもしれないが、少なくともエヴァーズマンはこの事件に関わったことによりなにかが変わったはず。そのことが最後のメッセージ、あのモノローグのシーンにつながっているんだ。

 

アメリカは今の世界において警察の役目を負うには適任だ


Q アメリカの政局や国際的な立場についてどうお考えになりますか?

A 私は英国人で、仕事をしていない時はジプシーのようにヨーロッパをいろいろと流れ歩いている生活をしている。だから完全にアメリカナイズはされていないが、アメリカの政治や起こっている出来事にはいつも関心を持っているし、いつも勉強しているよ。アメリカは今の世界において、警察の役割を果たしている。その役目を負うには、一番アメリカが適していると思う。この映画で描かれているように、私はアメリカがある問題に干渉するということは必要だと考えている人間だ。アメリカ人がこういうことをすることに関しては、サポートする立場をとっている。


Q フランシス・コッポラ監督よって映画化された『地獄の黙示録』を監督なさりたかったそうですが。

A 私だったら、ベトナム戦争と引っ掛けることはしないよ。あの原作本自体が、時も場所も限定していない。原作が描いているのは絶対権力のメタファーであって、私ならその精神に則った映画にしたと思う。でも、『地獄の黙示録』は私の一番好きな映画の1本だよ。


Q ジョシュ・ハートネットさんを再び主演に迎えて『ボブ(原題)』という作品を監督なさる予定があるとか?

A 『ボブ(原題)』はコメディだ。ただ私が監督するかどうかはわからないけれど、そういう話がジョシュとの間に出ていることは確かだ。『ブラックホーク・ダウン』とは、全然違う映画だよ(笑)。

(今 祥枝)

 

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