『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』本場アメリカの熱狂がハンパない！前売り争奪戦から初日までをレポート
最新！全米HOTムービー
日本でも大ヒットを記録している『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』。しかし、オープニング興行収入が史上最高となる2億4,796万6,675ドル（約297億5,600万1,000円）に達するなど、本場アメリカでの盛り上がりは半端じゃなかった！ 前売りチケットの争奪戦から待望の初日まで、自身も大の『スター・ウォーズ』ファンであるロサンゼルス在住のライターが現地の熱狂をレポートします。（取材・文：明美・トスト／Akemi Tosto）（数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル120円計算）
いつ発売？初日のチケット発売日にパニック！
10年ぶりの新作とあって、初日・初回チケットの入手は『スター・ウォーズ』ファンであれば必須。日本では前もって告知された後に行われたと聞く初日のチケット発売だが、作品のみならず、前売り券発売の日程に関しても秘密主義が貫かれたアメリカではちょっとしたパニックとなった。
10月17日（土）あたりから「いよいよ『スター・ウォーズ』の初日前売りチケットが発売されるらしい」という噂がインターネットを中心に飛び交い始めた。「いよいよ」といえどもハッキリといつのことかはわからず、ファンはひたすらヤキモキ。やがて18日（日）の夜になると「どうやら明日放送の『マンデーナイトフットボール』で新しい予告編と共に前売り情報が流れるらしい」という情報が。はっきり言って、アメフトに興味のある『スター・ウォーズ』ファンなど全体の半分以下ではないだろうか。それなのに、いきなりアメフトのど真ん中で情報を流すとはよくわからない戦法である。もちろん視聴率を上げるのが目的なのだろうが、この情報はガセなのでは!? と思ったものである。
いよいよ10月19日（月）。朝のニュース番組で「夜のアメフト・ハーフタイムに前売り情報が発表される」と告知されたものの、「前売り情報＝発売開始」という印象はなかったため、ハーフタイムの時間がきて、友人からの電話で前売りチケットが発売開始されたと聞いた時はパニクった。急いでコンピューターに向かいチケットの前売りサイトへ行こうとするも、全然つながらない。数回トライしてスクリーンに現れたのは「ア～!!」というどデカイ文字、ハン・ソロとチューバッカがミレニアム・ファルコンを修理している画像、そして「メンテナンス中」の文字。この「ア～!!」の画面を何度見たか覚えていないが、トライし続けること約3時間。行きたかったハリウッドのチャイニーズ・シアターでのチケットは取れなかったが、ユニバーサル・スタジオでの初日・初回のチケットを確保するのに成功した。
2週間前から列が！『スター・ウォーズ』ファンの醍醐味は列に並ぶこと
『スター・ウォーズ』第1作が公開されたのは38年前。映画封切り前から長蛇の列ができたことが当時のニュースで幾度となく紹介されたチャイニーズ・シアターは、以来ちょっとした『スター・ウォーズ』の殿堂的存在となった。『スター・ウォーズ』といえば同胞のファンと共に列に並び、待ち時間中に『スター・ウォーズ』の話題で大いに盛り上がる……。これがハードコアなファンたちの醍醐味となっているのは恐らく万国共通だろう。
だがハリウッドでは、この醍醐味をイベント化してしまっているからさすがである。LiningUp.netというサイトは、1977年当時の興奮を再現しようとイベントを企画。『フォースの覚醒』封切りの約2週間前からチャイニーズ・シアターに列を作り、最終的に並んだ時間数の多い人から（並んだ後に主催者から時間数証明のバッジをもらう）、即完売で入手不可能となった同所での初日・初回チケットを買えるという内容だ。そして収益は、LiningUp.netから難病で苦しむ子供たちの夢を叶えるチャリティー団体であるスターライト財団に寄付される。
夜中0時から明け方6時まではテントを立てても仮眠してもよい、という市からのお達しにのっとって、列に陣取ったファンは仮眠の時間になるまでは友だちと交替でご飯を買いに行ったりシャワーを浴びに帰ったりと、とりあえず人間らしい生活を維持するため努力。それ以外の時間は、即席の仲間たちと『スター・ウォーズ』談義を交わしたり、ライトセーバーバトルを繰り広げたりと和気あいあい。ちなみに列の最初の方に並んでいた筆者の知り合いは、地元局のニュース番組で再三インタビューを受けて鼻高々だった。
ついに覚醒のとき！公開初日の劇場は口笛＆歓声＆拍手でいっぱい！
そして12月17日（木）、ついに待ちに待った公開の日がやってきた！ ロサンゼルスやニューヨークなどの大都市は、通常18日午前0時公開のところを特別先行で17日夜7時から公開。ロサンゼルスではチャイニーズ・シアターやユニバーサル・スタジオといった大手映画館での初回上映は全て売り切れで、ダフ屋が1枚200ドル（約2万4,000円）で荒稼ぎしているという話だった。
チャイニーズ・シアターの向かいに位置するのは、新たなメッカとなりつつあるディズニーお抱えのエル・キャピタン・シアター。17日午前1時という気合の入った時間から「スター・ウォーズ・マラソン」なるイベントを開催。これまでのエピソードを一挙に上映した後、旧3部作でハン・ソロ（ハリソン・フォード）の親友ランド・カルリジアンを演じたビリー・ディー・ウィリアムズの舞台あいさつ付きで『フォースの覚醒』を上映するという企画で、平日にもかかわらずハードコアな『スター・ウォーズ』ファンが大勢参加して、大変な盛り上がりを見せていた。
ユニバーサル・スタジオの映画館前には、ジェダイに成り切る少年たちから、往年の『スター・ウォーズ』ファンと思われるハン・ソロとレイア姫にふんしたおちゃめなカップルまでコスプレしたファンが大勢。そして場内がいよいよ暗転し、待ちに待った「STAR WARS」の文字が映し出されると、テーマ曲がかき消されるほどの口笛やら歓声やらで場内は騒然となった。
その後も、懐かしのキャラクターやグッズが登場するたびに、拍手や「Ohhh!」というどよめきが起こる。観客の熱狂が最高潮に達したのは、ご想像の通りハン・ソロとチューバッカのコンビが登場した時だろう。観客たちは、まるで懐かしい昔の仲間に行き合ったかのような盛り上がり方をしていた。
上映後、あまりのハイテンションに疲労困憊してよろめきつつシアターを出ると、周囲では、興奮冷めやらぬファンたちが早速新作でも最後まで明かされなかった謎についての議論を始めていた。「次のエピソードが見られるまでまた2年待たなければならない！」という苦笑も聞かれて、静かに同感してしまった。まったくもってそんなに待てない、待ちたくない！（笑）
劇場の外に出ると広場の真ん中ではライトセーバーバトルがちょうど一段落したところだった。ジェダイ姿のお父さんに手を引かれて見物していたのは、新悪役カイロ・レンの格好をしたかわいい息子さん。父母の代から子供たちへ、あるいは孫の代へ『スター・ウォーズ』の輪が広がっているのを目の当たりにしてうれしくなった。往年のファンから次の世代へと受け継がれている『スター・ウォーズ』の底知れぬ魅力。あらためてフォースの威力をヒシヒシと感じた夜なのであった。
【今月のHOTライター】
■明美・トスト / Akemi Tosto
高校よりロサンゼルス在住、CMや映画の製作助手を経て現在に至る。全米映画協会（MPAA）公認ライターとしてだけでなく、監督としても活躍中。短編作品『ボクが人間だったとき/When I Was a Human』がアカデミー賞公認配給会社ショーツ・インターナショナルより配給され、iTunesとAmazonで日本版発売中。ツイッターもよろしく！→＠akemiktosto
