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三池崇史 VS 映画!語り尽くしの五本勝負!

 三池崇史監督と木村拓哉が初タッグを組んだ“ぶった斬り”エンタテイメント『無限の住人』が、4月29日よりいよいよ日本に放たれる。オリジナルビデオの世界から、突如カンヌ映画祭に招待される有名監督となり、クエンティン・タランティーノをはじめ、世界中の監督から絶賛されている三池監督。映画『無限の住人』の木村演じる万次が数々の戦いを経験していくように、三池監督もこれまで数々の名勝負(?)を繰り広げてきた。三池監督が『無限の住人』にたどり着くまでの映画監督人生を、五本勝負で紹介しよう!(取材・文:森田真帆)

その一 三池崇史 VS 監督業

脚本は、熟読しねぇ!

写真・尾藤能暢

 もともとどうしても監督になりたいわけじゃなかったんだよね。当時の映画界って、バブルでお金持っている人もよく出資をしていた。でもそういう人が普通の監督さんなんかにオファーすると、みんな「映画はこういうものだよ」って堅いこと言って出資者に説教しちゃうんですよね。出資者の方はお金出しているのに怒られた上、出来上がった映画もそれほど面白くない。じゃあ新人に撮らせてみようってなった。デビュー作は、ある監督の代打で監督したんです。だから監督さんによくある、情熱みたいなものも全然なかった。今もそう。映画の撮影が始まるまで、ほぼ何もしないことがほとんどで、「撮影がもうすぐ始まっちゃう!」って思ったら、とりあえず飲んでました(笑)。それで、いきなり崖っぷちに立つのがよくってね。撮影まで一週間あるシーンを暖房の効いた部屋の中であーだこーだと話し合うお利口さんなやり方よりも、「やべえ!」って気持ちの時の方が面白いシーンのアイデアを思いつく。台本を頭からケツまで読むのって、1回か2回くらいしかない。このやり方は昔から変わらない。今はもうないけど、昔は現場に行って「え? 今日これ撮影するの? 大変じゃん!」っていう時が結構ありました。

その二 三池崇史 VS 原作もの

原作に対して、熱すぎる気持ちは持たねぇ!

写真・尾藤能暢

 僕も漫画が好きなんでよく読むんだけど、最初の何ページか読んだ時点で「うわーこの漫画、映画化するの絶対大変じゃん!」って思った映画を実写化することになるんだよね(笑)。でも自分にとって原作の存在というのは、壊すものじゃなくて、手当てするもの。作家が本気で書いた原作を誰かが強烈に映画化したいという気持ちがあって実写化となるわけだから、僕にはやりたいという動機はいらない。逆に動機を強く持ちすぎると、この原作の解釈はこうこうこうでってだからこの予算ではできない! っていう結論になっちゃう。でも僕の役割は、脚本家、プロデューサー、原作者全員の希望を聞いた上で、「じゃあこういう風にしたら、面白いんじゃない?」っていうアイデアを出すこと。

その三 三池崇史 VS オリジナルビデオ

オリジナルビデオは好きなことやりまくる場所だっ!

写真・尾藤能暢

 オリジナルビデオってほんっとうに限られた予算しかなかったから、大変ではあるけど、でもその分何やっても許されるという自由があったから楽しかった。今はなんとなくお客さんを感動させなきゃいけないとか、いろいろ映画として完成していなくちゃいけないけど(笑)、作品の完成度はあまり期待されずに撮れたからね。要は、ビデオが4,000本売れればそれでペイできたんで、いっぱい冒険ができた。例えば映画『FULL METAL 極道』はうじきつよしが主演で、一体誰が観るんだって未知数な状態でも挑戦できた。映画『DEAD OR ALIVE FINAL』はVシネマがピークだった時だったけど、もっと売るためにはどうしたらいいかな? って周りが言っていた。でもそれって答えがすごく簡単で、それぞれ1万本は売れる哀川翔竹内力を共演させれば2万本売れるじゃん! と。それで映画を作り始めたら「ラストどっちが勝つの?」って問題が浮上してきて。「え? どっちが勝ってもいいよね」っておれは思っていたんだけど、竹内さんも哀川さんも負けず嫌いだから二人とも「勝ちたい」っていうわけですよ。だから結局地球壊すことになったんだけど、世界の終わりってあんな感じがいいなっていうのが僕の理想(笑)。あの頃さんざん面白いことやったのは、今考えるといい刺激だったなって思う。

その四 三池崇史 VS アクション

アクションで驚かす気はねぇ!

写真・尾藤能暢

 よくアクションのこと聞かれるけど、実はアクションにあまり執着がないんだよね。だってアクションって結構めんどくさいから(笑)。それに、日本での撮影なんてカースタントじゃ、ハリウッドになかなか勝てないし、生身で殴り合うとブルース・リーを超えられないんだからね。だからアクションそのもので、観客を驚かそうという気持ちはあまりない。僕はどちらかというと怠け者だから、役者の作り上げるキャラクターに引っ張り上げられながら最低限のことをするだけ。例えば『無限の住人』で、田中泯さんが演じている吐(はばき)が連れてくる敵の数って半端ないけど、あのキャラクターならあれくらい連れてくるよなって。これは映画『クローズZERO』で学んだことだけど、例えば見た目で300人くらいいるなら、実際の撮影では400人は必要になる。オープンセットを、建物の中も外も、とにかく埋め尽くしてメリハリを作るわけ。そこで木村拓哉演じる万次に暴れてもらわないと、彼が作ってきたキャラクターとの折り合いがつかなくなる。

その五 三池崇史 VS 木村拓哉

キムタクとなんて、予想外だっ!

(C) 沙村広明/講談社 (C) 2017映画「無限の住人」製作委員会

 まさか自分が木村拓哉と映画を作ることになるとは、ぜんっぜん予想していなかったから本当に驚いたし、「ついにここまで来たか」って思ったよね(笑)。だって、キムタクですからね! 彼と実際に仕事したことは、本当に初めてだったから一体どんな人なのかって思ってたけど、まあすごい人ですよ、本当に。どこまでストイックになれるの? って聞きたくなるくらい、自分自身をとことん追い詰める人。例えば、万次というキャラクターは片目が潰れているという設定ですが、これを少し見えるようにするか、それとも特殊メイクで潰してしまうかというところで、彼は「見えなくていいです」と。でも、片目が見えないって本当に大変。撮影中なんてずっとだからね。しかも、その状態で殺陣のシーンもある。すごく寒い京都で、薄い着物の衣装のまま雪駄で殺陣をこなす。危ないでしょう。砂利もあるし、足なんてズタズタになる。それでも木村拓哉という男は、やるんです。自分が映っていないシーンでも、ずっと撮影現場にいるし、カメラが向いていなくても、自分がいるシーンであれば他の役者の目線のためにそこにい続ける。本当に、「すごい」の一言しか出ないですよ。主役がそんなだから、周りの役者もみんな引っ張られて底上げされていく。僕らは全くフィールドが違うけれど、泥臭いところから来た人間ってことは変わらないのかもしれない。この映画で一緒に仕事をして、なんだか初心に戻れた気がした。300人を超える刺客の前で全くビビらず、立ち向かっていく木村拓哉=万次を感じて欲しい!

映画『無限の住人』は4月29日より全国公開

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