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『スター・ウォーズ』スカイウォーカー家の人々:第4回 ハン・ソロの物語

スター・ウォーズ特集

 12月20日に日米同時公開される最新作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、全9作のサーガの最終話となる作品。今回のサブタイトルにちなんで、これまでの全ストーリーを、“正史”とされている映画とテレビシリーズを基に、スカイウォーカー家の人々のドラマとして見直してみよう。第4回は、レイアと結婚してスカイウォーカー家の一員となったハン・ソロを紹介する。(平沢薫) 

※この連載はその人物の生涯を知るために、作品が公開された順ではなく出来事の起きた順で紹介しています。

スカイウォーカー家のドラマに巻き込まれた宇宙の無法者

自由気ままなチョイ悪時代

かっこえええええ。 Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージス

 ひとつの場所に定住せず、銀河中を股にかける無法者。それがハン・ソロ(ハリソン・フォード)の本来の姿だったのではないか。彼はスカイウォーカー家の血筋ではないが、レイア(キャリー・フィッシャー)との結婚により、スカイウォーカー家の血を引く、カイロ・レンこと息子ベン(アダム・ドライヴァー)の父親となった。そしてこの家の定番ドラマ“父と息子の物語”に取り込まれてしまう。

 それ以前の若き日のハン(オールデン・エアエンライク)は『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で描かれる。惑星コレリアで幼い頃に父を失い、生き延びるために犯罪組織の一員として働きながら、組織からもこの惑星からも逃れて、幼なじみのキーラ(エミリア・クラーク)と共に自由に生きようとしていたが、彼の計画通りにはいかずにキーラは組織に捕まり、彼は追っ手から逃れるために帝国軍アカデミーに志願する。そして、兵士として戦場に送られた際に、捕虜になっていた異星人チューイと出会う。一緒に脱走した後は強盗団に加わって、ついに組織に所属しないで生きるという夢を叶えるのだ。

 その後は、チューイと共に宇宙船ミレニアム・ファルコンを操り、密輸業者としてスリルたっぷりの気ままな生活を送る。おそらくこの時期が、ハンにとって最も楽しい時期だっただろう。

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クールに見えて、友情を大切にする男

なんやかんやで仲間に。 Lucasfilm Ltd. / Twentieth Century Fox Film Corp. / Photofest / ゲッティ イメージス

 『スター・ウォーズ』で彼の生活は一変する。酒場で“速い船”を探すオビ=ワン・ケノービ(アレック・ギネス)とルーク(マーク・ハミル)に出会い、借金の返済のためにその仕事を引き受けたことから、ルークたちと共に行動することになり、彼らが反乱軍に協力していたために、ハンも反乱軍側で活躍することになるのだ。

 これはもともとハンが望んでいたことではないだろう。そもそも彼は、幼い頃から生き延びるために苦労してきたせいで、考え方がかなり現実的。『スター・ウォーズ』ではフォースもジェダイも信じないと豪語した。『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』では「俺は革命には興味がない。金が欲しいだけだ」と言う。

いいやつなんです。 Lucasfilm Ltd. / 20th Century Fox/Photofest / ゲッティ イメージス

 しかし、彼がその言葉を実践できないのは、実は友を大切にする性格だから。『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』ではジャバ・ザ・ハットに借金を返すため反乱軍と別れて去ろうとするが、ルークが行方不明だと知ると「彼は俺の友だちだ」と言って彼を捜しに行き、そのせいで反乱軍から離れるチャンスを失ってしまうのだ。もっとも、この実は義理人情に厚い性格のおかげで、窮地に陥った時に訪ねることが出来る旧友ランド・カルリジアン(ビリー・ディー・ウィリアムズ)がいる。チューイことチューバッカ(ピーター・メイヒュー)がずっとハンと一緒にいるのも、この性格を知っているからだろう。

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運命の女性レイアとのツンデレな関係

ギャップ萌え。 Lucasfilm Ltd. / 20th Century Fox/Photofest / ゲッティ イメージス

 反乱軍に参加してレイア・オーガナ姫と恋に落ちることで、またしても彼の人生は変わっていく。ハンはレイアに「悪党だからホレたんだろう、君の周りにいなかったから」と言うが、これはきっとハンも同じ。このセリフの後にキスをしたハンは「ふるえてるぞ」と言うが、そんな反応をする女性は、これまでハンの周りにいなかったのではないか。  

 ともかくハンとレイアは『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』でお互いの気持ちを確かめ合い、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』ではレイアと結婚して息子ベンが生まれたことが分かる。そしてジェダイ修行のためルークに預けたベンが、ルークの弟子たちを殺すという事件が起きたことで、ハンは家を出てチューイと共に密輸業者に戻ってしまった。そして2人の結婚生活がどうだったのかは、久々に再会したレイアとの会話から推測される。ハンが「悪くない関係だったろ? いいこともあった」と言うと、レイアは「そこそこね」と答える。この感じは2人のキャラには似合うが、理想的な結婚生活とは言えないのかも。

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うまくいかなかった父と息子の関係

子育てって大変ね。 Lucasfilm Ltd. / 20th Century Fox / ゲッティ イメージズ

 そして、おそらくもっとうまくいかなかったのが、息子との関係だ。ハンが息子の事件後の自分の行動を振り返り「ちゃんと向き合うべきだった。俺は自分の世界に逃げた」と言うと、レイアも「私もそう」と答える。これも2人のキャラには似合うが、親としては問題だろう。そして、やはりハンが自分の生きる世界は密輸業者の世界だと考えていることが分かる。

 だがハンは、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』で遭難したルークを捜しに行ったように、息子も見捨てない。そして息子を見つけ出し、「助けてくれる?」と問われると「何でもしよう」と答え、息子が望む通りに倒される。息子の望みは歪んでいるが、ハンは自分の言葉を実践したのだ。

 こうしてハンは『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で最期を遂げるが、その存在がサーガの中から消えたわけではないだろう。ハンのミレニアム・ファルコンを引き継いだレイ(デイジー・リドリー)も、チューイも、もちろんレイアもハンのことを忘れていない。そして、今はカイロ・レンと名乗るベンの心の中にも、ハンはまだ生きているはずだ。

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ヴィラン列伝:ボバ・フェット

脇キャラなのに、超人気者! Twentieth Century Fox Film Corp. / Photofest / ゲッティ イメージス

 『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』に登場し、寡黙なスゴ腕の賞金稼ぎとして人気を集めたボバ・フェット(ジェレミー・ブロック)。『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』では素性も感情も描かれない存在だったが、『スター・ウォーズ エピソードII/クローンの攻撃』で生い立ちが詳しく描かれる。彼の父親ジャンゴ・フェット(テムエラ・モリソン)は銀河最強の賞金稼ぎ。彼は帝国軍に能力を評価され、クローン・トルーパー製造のため遺伝子を提供することになる。そのとき彼が報酬の一部として遺伝子操作していない自分のクローンを手に入れて、息子として英才教育したのがボバ・フェットだ。そして、少年時代のボバ(ダニエル・ローガン)は、父ジャンゴがジェダイのメイス・ウィンドゥ(サミュエル・L・ジャクソン)に倒されるのを見て、ジェダイを憎むようになる。成長した彼は、テレビアニメ「スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ」に登場し、メイス・ウィンドゥへの復しゅうを試みるが失敗する。

 そして『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』では、ダース・ベイダー(デヴィッド・プラウズ)が雇った賞金稼ぎの一員として登場し、『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』ではジャバ・ザ・ハットの用心棒として登場。ジェダイとなったルークと戦い、その中でハンの撃った光線銃で撃たれ、人食い生物サルラックの巣の上に落下して命を落とした。その後も、まったく登場しなくなったわけではなく、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のマズ・カナタの城には、彼が身につけていたマンダロア兵団のエンブレムが描かれた旗がある。また、『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』の5年後を舞台にし、ボバとゆかりのある惑星マンダロアの民を描く「ザ・マンダロリアン(原題) / The Mandalorian」も製作中で、ボバは今後もこのスター・ウォーズ・サーガで語り継がれていくことになりそうだ。

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