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女性の生きづらさを可視化!10月の5つ星映画5作品はこれだ!

今月の5つ星

 今月の5つ星映画は、ベストセラー小説を映画化した韓国映画、堤幸彦監督のサスペンスドラマ、三木孝浩監督の純愛ラブストーリー、A24とプランBのタッグ作品、小栗旬主演のヒューマンミステリー。これが10月の5つ星映画5作品だ!

女性の生きづらさをさまざまな角度から可視化した映画

82年生まれ、キム・ジヨン
(C) 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

82年生まれ、キム・ジヨン』10月9日公開

 『パラサイト 半地下の家族』のオスカー受賞で波に乗る韓国映画。韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞映画祭で、その『パラサイト』を破って主演女優賞に輝いたのが、本作のチョン・ユミだ。原作はキム・ジヨンという平凡な女性の人生を通して日常に潜む女性への差別や偏見を浮き彫りにし、韓国のみならず日本でもヒットしたベストセラー小説。映画でユミは過剰な感情表現を排し、理不尽な状況にも耐える姿や、すっぽりと何かが抜け落ちてしまったかのような空虚な表情で、少しずつ心をすり減らしていくジヨンの痛みを伝えている。日常のふとした瞬間に掛けられる心無い言葉など、小さな出来事の積み重ねで多様な女性の生きづらさを描いた点こそが、多くの人にとってこの作品を“自分の物語”たらしめている要因だろう。映画ではその積み重ねを大切にしつつ夫にも焦点を当てており、原作を読んでいても新たな気持ちで味わうことができるはずだ。(編集部・吉田唯)

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息子は殺人犯か、被害者か?親なら何を望む

望み
(C) 2020「望み」製作委員会

望み』10月9日公開

 行方不明の息子が同級生殺人事件への関与を疑われたことから、幸せなはずだった家族の生活が一変していくサスペンスドラマ。愛する息子は殺人犯か、被害者か? どちらにしても最悪の現実は免れない。そんなとき、親だったらどちらを望むのか。それがわが子の死を意味するとわかりながらも無実を信じたい父親役の堤真一と、加害者だとしてもいいから生きていてほしいと願う母親にふんする石田ゆり子の熱演が痛いほどに胸を打つ。『トリック』『SPEC』シリーズなどの娯楽作から『人魚の眠る家』のような人間ドラマまで幅広く手掛ける堤幸彦監督だけあり、夫婦の心情をしっかり見せつつ、サスペンスとして最後まで引き付ける。何を考えているのかつかめない息子役の岡田健史、明るい性格だが難しい年頃の娘を演じた清原果耶という今をときめくフレッシュな二人もハマリ役で、家族の思いが交錯するドラマに涙。(編集部・中山雄一朗)

サンフランシスコという街をめぐる寓話

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
(C) 2019 A24 DISTRIBUTION LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』10月9日公開

 祖父が建て、かつて家族と暮らしていたヴィクトリアン様式の美しい家への思いを断ち切れないジミーと、芸術を愛する心優しい親友のモント。二人の黒人男性の友情を中心に、都市開発によって目まぐるしく変わるサンフランシスコの現在が描かれる。今や裕福な白人が多く暮らすエリアに位置し、観光名所ともなっているこの家は、ジミーにとって失われゆく古き良きサンフランシスコの象徴にほかならない。ジミーは空き家になった家に勝手に古い家具を持ち込むが、家を取り戻そうとする彼の試みは誰の目からも無謀なこと。街が直面する現実の問題に触れつつ、二人の束の間の共同生活が寓話的に描かれていく。家の再建を夢見るジミーに対して、予期せぬ悲劇に芸術の力で立ち向かうモント。彼らの振る舞いに勇気づけられるのは、意志では変えられない現実に対して想像力を武器に戦うことの尊さを教えてくれるから。それはどんなときも希望を失わず生きるための術なのだ。(編集部・大内啓輔)

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どこまでも新鮮で美しいラブストーリー!

きみの瞳が問いかけている
(C) 2020「きみの瞳が問いかけている」製作委員会 (C) 2020 Gaga Corporation / AMUSE,Inc. / Lawson Entertainment,Inc.

きみの瞳が問いかけている』10月23日公開

 韓国映画『ただ君だけ』を原作に、事故で視力を失ったヒロインの明香里と心を閉ざした青年・塁の純愛を描く物語。それぞれに傷を抱えた2人が寄り添い築くささやかな幸せを引き裂いていく過酷な運命が、切なく、美しく描き出される。国民的女優・吉高由里子&今最も視線を集める横浜流星という、良い意味でどことなく意外性のある2人の組み合わせの妙が功を奏している。偶然出会った2人が目と目で見つめ合うのではなく、嗅覚や触覚に訴えかける演出を通じて、生っぽい自然な心の通じ合いを重ねていく姿は、どこまでも新鮮。彼らが抱く悲哀は痛切でありながら、三木孝浩監督の手腕によって紡がれる柔らかな映像が全く美しいラブストーリーに仕立てている。横浜が10キロ増量して挑んだキックボクシングシーンは話題を呼んでいる通り説得力が半端じゃないが、内に秘めた思いを“表情で語る”芝居にも圧倒される。(編集部・小山美咲)

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野木亜紀子の神業的脚本が光る、泣けるミステリー

罪の声
(C) 2020 映画「罪の声」製作委員会

罪の声』10月30日公開

 元新聞記者の塩田武士が、1980年代に日本を震撼させた未解決事件で、脅迫テープに声が使われた子供たちに焦点を当てた小説を映画化。ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」「MIU404」などの野木亜紀子が脚本を務めており、530ページ超の長編を約2時間20分にまとめた手腕はさすが。主人公は、35年前に起きた未解決事件の取材という畑違いの大仕事を無茶ぶりされた文化部の新聞記者・阿久津(小栗旬)。原作では、阿久津が国内外をまたにかけて地道に取材を重ね、犯人グループを割り出していく調査報道でぐいぐい引き込むのに対し、映画ではその過程における膨大な情報をテンポよく展開しながら、知らぬ間に犯罪に加担させられた者たちの悲劇をより鮮明にクローズアップ。犠牲者でもある彼らを巻き込み、事件を掘り起こすことにどんな意味があるのか。使命と倫理の間で揺れる阿久津の人間臭いキャラクターが小栗にハマっている。「MIU404」に続く星野源橋本じゅんの共演シーンも見もの。(編集部・石井百合子)

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