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徹底比較!美しき歴代キャットウーマン図鑑

 DCコミックスの人気ヒーロー・バットマンを新たな視点で描く映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(公開中)では、人気キャラクターのキャットウーマンも、本作ならではの新鮮な魅力を発揮している。ここでは、過去の実写映画に登場したキャットウーマンをピックアップし、それぞれの特徴を比較する。(平沢薫)

リー・メリウェザー『バットマン』(1966)

20th Century Fox / Photofest / ゲッティ イメージズ

クールビューティーな策略家

 劇場版『バットマン』(1966)でリー・メリウェザーが演じたキャットウーマンは、知的な策略家のクールビューティー。男性を誘惑することが得意で、モスクワから来たジャーナリストを装いブルース・ウェインに接近、ブルースは彼女の正体にまったく気づかず夢中になる。そんなブルースのことを、裏で「うぶな男さ」と言うシーンも登場する。その戦略家ぶりは、ヴィランたちとの会議でも発揮され、ジョーカー、ペンギン、リドラーと一緒にバットマンを倒すための作戦会議でも、男たちの提案にダメ出しをして仕切るのはキャットウーマンだ。

 キャットウーマンのビジュアルは1966年から1968年にかけて放送されたテレビシリーズ版と同じで、ロングヘア、全身黒のタイツスーツ、細くて高いヒールにネコ耳とアイマスクを装着。ネコのように横になって寝そべる姿がセクシーだ。

 演じたリー・メリウェザーは、SFドラマシリーズ「タイムトンネル」(1966~1967)の科学者アン・マグレガー役でのレギュラー出演や、「スター・トレック/宇宙大作戦」(1966~1969)、「巨人の惑星」(1968~1970)などへのゲスト出演でSFファンにお馴染みの人物。現在も女優として活動中で、ドラマ「HAWAII FIVE-O」などにゲスト出演している。

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ミシェル・ファイファー『バットマン リターンズ』(1992)

Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

華奢で妖艶、悲しき恋が切ない

 ティム・バートン監督の『バットマン リターンズ』(1992)でミシェル・ファイファーが演じたキャットウーマンは、華奢な骨格、軽やかな動き、気まぐれな行動がまるで猫のよう。軽快にバク転しながらバットマンとペンギンの前に登場して放つ「ミャーオ」の一声に、シビレたファンも多いはず。スーツのまま、猫のように全身を舐めて身づくろいする姿もセクシーで愛らしい。

 真面目で地味な秘書セリーナ・カイルが上司の秘密を知って殺されるが、猫たちの力で復活し、キャットウーマンとなる。仮装舞踏会にセリーナとブルースだけが素顔で出席するのは、それが彼らの仮装だからというバートン監督の演出も魅力的。ブルースは彼女を愛し、「僕たちは似ている、人格が2つに引き裂かれている」と言う。彼女もブルースを愛すが、自分を殺した人物への復讐を諦められず……という悲しき恋が切ない。

 キャットウーマンのスーツは彼女の手作りで、傷跡のような継ぎはぎだらけなのは、彼女の心を表したもの。頭部のマスクはアイマスクではなく、バットマンに似た形で、2人の類似性を強調。全身スーツ姿の猫のような華奢な骨格が魅惑的だが、それを描くためにスーツと体の間の空気を抜いて撮影したので、スーツ姿での撮影は短時間ずつしかできなかった。

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ハル・ベリー『キャットウーマン』(2004)

WB / Photofest / ゲッティ イメージズ

スーパーパワーを持つ異色キャラ 

 『ヴィドック』(2001)で注目されたフランス出身のピトフ監督、ハル・ベリー主演の『キャットウーマン』(2004)は、設定をかなり大胆にアレンジ。本作のキャットウーマンは、不思議なスーパーパワーを持つ女性たちのこと。キャットウーマンとして覚醒すると、跳躍力や暗闇での視力など猫のような超人的な力を得て、性格も猫化。サカナの缶詰やスシのネタを大量に食べてしまったり、イヌに吠えられたりするようになる。

 ファッションも従来のような全身スーツではなく、耳のついたマスクに、黒いブラとロングパンツの組合せ。バットマンは登場せず、名前もセリーナ・カイルではなくペイシェンス・フィリップスと別人だ。

 化粧品会社でグラフィック・デザイナーとして働くペイシェンスは、会社の秘密を知って殺されるが、不思議な力でキャットウーマンとして復活。殺された時の記憶がないため、自分の死の真相を調べていくという謎解きストーリーになっている。

 ハル・ベリーはこの役で、最低映画を決めるゴールデン・ラズベリー賞主演女優賞に輝き、通常は受賞者が欠席する授賞式にあえて出席。そこで彼女自身が『チョコレート』(2001)でオスカー主演女優賞を受賞したときのセルフパロディーを披露し、喝采を浴びた。この行動もキャットウーマンらしいカッコよさではないだろうか。

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アン・ハサウェイ『ダークナイト ライジング』(2012)

Warner Bros. / Photofest / ゲッティ イメージズ

金持ちを狙う凄腕の宝石泥棒

 クリストファー・ノーラン監督が手がけた『ダークナイト』三部作の完結編『ダークナイト ライジング』(2012)では、アン・ハサウェイがキャットウーマンを演じた。ビジュアルは1960年代版に近く、全身黒のスーツにアイマスクだが、作品がリアリズム重視なのでネコ耳はなく、サングラスのグラス部分を上にあげるとネコ耳のように見える。他のキャットウーマンのようにいきなり猫のように寝そべったりしないが、その代わり、バイクに乗る時のほとんど上に横たわるような姿勢がセクシーだ。

 生い立ちの設定もリアルで、貧しい環境で育った少女が「盗むのは金持ちからだけ」をモットーに、凄腕の強盗となる。メイドを装って邸宅に侵入するなど、犯行手口も現実的。最初は資産家のブルースを敵視するが、彼の正体を知って惹かれつつ、自分の安全のために彼を騙すこともあれば、助けたりもする。ウェイン産業の役員ミランダ(マリオン・コティヤール)に惹かれていくブルースとの微妙な関係も、本作のキャットウーマンならではの特徴だ。

 アン・ハサウェイは、『ダークナイト ライジング』と同年製作の『レ・ミゼラブル』(2012)でアカデミー賞助演女優賞を受賞。キャットウーマンを演じる際には、1930~1940年代に異国風美女を演じて大人気を博した伝説のハリウッド女優ヘディ・ラマーを参考にしたそうで、YouTubeで猫の動画を漁り、猫の動きを演技に取り入れたと語っている。

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ゾーイ・クラヴィッツ『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)

(C) 2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C) DC

 最新作『THE BATMAN-ザ・バットマン-』に登場するのが、ゾーイ・クラヴィッツふんするキャットウーマンだ。ベリーショートにライダースーツ姿、しなやかな動きが猫のようで、予告編でバットマンに向かって放つ「“バットとキャット” いい響き」というセリフも小悪魔的だ。

 また、ゾーイがこの役をバイセクシャルだと解釈して演じたと発言したのも話題を呼んだ。本作のセリーナは友人の女性アニカと一緒に暮らしているが、ゾーイはアニカとの間柄を「ある種のロマンチックな関係」と考えて演じたという。彼女はこれまで登場してきた魅力的なキャットウーマンたちと、どこが同じで、どう違うのか。スクリーンで確かめずにはいられない。

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