見えない戦い勃発？マギーが下す決断
今週のウォーキング・デッド
全24話のシーズン11で、ちょうど折り返し地点となるのが、今回の第12話。今、登場人物はそれぞれ何を考えているのか、各コミュニティーはどんな状態なのか、いろいろなことが明らかになる。そしてやっぱり、あの人物はかなり危険!? （平沢薫）
※ご注意 この記事は「ウォーキング・デッド」シーズン11についてのネタバレが含まれる内容となります。視聴後にお読みいただくことをおすすめします。
今週のウォーキング・デッド～シーズン11第12話
これは、「ウォーキング・デッド」史上初の画期的な出来事と言ってもいいのではないか。今回は、新たな集団コモンウェルスのミルトン知事（ライラ・ロビンズ）とホーンズビー副知事（ジョシュ・ハミルトン）が、アレクサンドリア、ヒルトップ、そしてオーシャンサイドの3つのコミュニティーを訪問する。しかもその訪問は、戦闘とは無関係。これまでの「ウォーキング・デッド」では、新たな集団との遭遇は、ほとんどの場合、食うか食われるかの戦いになったが、今回は違うのかも？
が、そうとも言い切れないのかもしれない。ホーンズビー副知事は、コミュニティーの併合を熱望し、ミルトン知事は相互防衛協定を結んでもいいと考えている。侵略が、戦闘ではなく、こうした形でやってくるのかもしれないのだ。シリーズ初期は、今を生き延びるための戦いを描いていた「ウォーキング・デッド」に、こんな形の戦いが登場するようになるとは。
そこで気づけば、今回はこの見えない戦いを描くエピソードとも言えそうだ。今後の目に見える物理的な戦いの原因になりそうな、登場人物たちの意見の違いがあちこちで描かれていく。
まず、ミルトン知事とホーンズビー副知事の優先順位の違い。ミルトンにとって重要なのはコモンウェルスの現状維持のみ。しかし、ホーンズビーは新たなコミュニティーを併合することに固執し、しかも、その最終目的が何なのかを隠している。マギー（ローレン・コーハン）に、併合によってあなたにはどんな得があるのかと直球で質問されても、答をはぐらかすのだ。
このホーンズビーは最初から胡散臭かったが、予想以上に危険人物だとわかったのも今回の収穫。彼は今話のラストで、事態が自分の思い通りに行かないことにいら立ったのか、林の中に入っていき、拳銃でウォーカーたちを撃ちまくる。ホーンズビーはこういう突発的な暴力行為をする人物なのだ。
また、マギーとミルトン知事の意見の違いもくっきり。ミルトンは「失われた自然秩序を取り戻さなければならない」「尊敬されるためには見栄えも大事」と言うが、マギーは「わたしは行動で尊敬されたい」と言う。2人の価値観は全く違うので、これから衝突が起きてもおかしくない。
余談だが、この時、マギーがリーダーの在り方は「ディアナ（トヴァ・フェルドシャー）とジョージー（ジェイン・アトキンソン）に学んだ」と言い、ここにリック（アンドリュー・リンカーン）の名前が出てこなかったのはちょっとショック。シーズン5から登場したアレクサンドリアの元リーダー、ディアナも、シーズン8で風車の設計図をくれて後にマギーが合流したジョージーも、確かに魅力的なリーダーだが。
そして、キャロル（メリッサ・マクブライド）とエゼキエル（カリー・ペイトン）の意見の違いも明確に。キャロルはホーンズビーと取引をして、エゼキエルの手術日程を早めてもらうが、それを知ったエゼキエルは「不正じゃないか」と怒る。しかしキャロルにとっては「彼に死んでほしくない」と思ったら、システムの実情を見破って迅速に行動するのが正義。2人の意見は違うが、結局、エゼキエルは手術を受けるので、キャロルの正しさを認めているということだろう。
他にも、登場人物の本心が続々判明。ダリル（ノーマン・リーダス）は、マギーになぜコモンウェルスを信じるのかと問われて「誰が信じてると言った？」と返す。リディア（キャサディ・マクリンシー）は、自分はいずれコミュニティーを去るべきだと考えている。そして、アーロン（ロス・マーカンド）にも、何か考えがありそうだ。彼はホーンズビーに対しては合併を望む姿勢を見せているが、冒頭で彼らがアレクサンドリアにやってきた時に、仲間たちに作業中の何かを隠すように指示している。それはいったい何なのか。
そんな人々の考えが入り乱れるエピソードの中で、ホッコリさせてくれるのが、ユージーン（ジョシュ・マクダーミット）と、通信ではステファニーと名乗っていたマックス（マーゴット・ビンガム）の、リアルでの出会い。2人の幸せを見守りたい。
と、今回は今後の大きなドラマにつながりそうな種子があちこちに。これらがどんな出来事を引き起こすのか、見届けないわけには行かない。前回も今回も割と静かな回だったので、次回こそきっと大きな動きがあるはず!?
