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こんな映画を待っていた!岡田准一『ヘルドッグス』観たらすごかった

 すごいものを観た! と言いたくなるほどクレイジー要素が満載のアクションエンターテインメントヘルドッグスがついに公開。『燃えよ剣』『関ヶ原』で激動の時代を駆けた男たちを描いた岡田准一原田眞人監督のタッグが、最高にクレイジーでアツい狂犬たちのバトルを生み出した。既成概念をたたき壊し、世界で勝負するエンターテインメントを生み出そうとする作り手の思いがほとばしる、こんな映画を待っていた! と喝采を送りたくなる『ヘルドッグス』は本当にすごかった!

日本映画に新風を吹き込む!

MIYAVIが演じる東鞘会会長・十朱

 関東最大のヤクザ組織・東鞘会に潜入した元警官・兼高(岡田准一)と、彼の正体を知らずにバディを組む無軌道な相棒・室岡(坂口健太郎)が、腕っぷし一つで組織をのし上がる『ヘルドッグス』。兼高と室岡はもちろん、高級スーツを着こなした東鞘会の面々は、ハリウッド映画に登場する一流マフィアのよう。ヤクザのイメージを完全に覆すビジュアルからは、日本映画に新風を吹き込もうという作り手の気合が伝わってくる。

 会長の十朱(MIYAVI)もロックスターのようないでたちで、スタイルから身のこなしまで全てが一流。敵に対しては血も涙もないが、仲間を大事にする一本筋の通ったボスで、思わずついて行きます! と言ってしまいそうなほど魅力的でカリスマ性にあふれている。まさに主役級の悪役で、本作がいかに優れたアクション映画であるかを象徴するラスボスとなっている。

兼高のバディとなる無軌道なサイコボーイ室岡(坂口健太郎)

 ちなみにヘルドッグスとは、十朱が率いる最強の精鋭部隊のこと。無軌道なだけのチンピラではなく、統率のとれた兵士であり、文武両道を地でいく特濃のプロフェッショナル集団。その一員として潜入した兼高は、いつしか深い部分で彼らとつながっていく。内容は物騒だが、ウィットに富んだ彼らの会話も超クール。油断すると振り落とされそうなほどスピーディーでスリリングな、予測不可能な物語は、一秒たりとも目が離せない!

目で殺す岡田准一

 いつ殺されるかわからない、ヤクザと警察の二重生活を送る兼高の眼光は、まさに目で殺すと言わんばかりの鋭さ。無精髭に乱れ髪のワイルドなスタイルで、死と隣り合わせに生きる男を演じる岡田の鍛え上げた肉体美からは危険な匂いが立ち昇っていて、野性と理性が同居したダークヒーロー像が震える程カッコいい

 そんな兼高の相棒・室岡は、幼少期の壮絶な体験から、心の奥底に闇を抱える危険な男。兼高との相性は抜群で、誰にも心を許さない兼高が、室岡にだけは無邪気な笑顔を見せる。2人に加え、荒事専門から知性派キャラまでそろった、個性豊かな男たちの群像劇としても本作は見どころ満載だ。

松岡茉優が極道の女・恵美裏を熱演

 女性陣も最高にクールで、兼高の親分・土岐(北村一輝)の愛人・吉佐恵美裏役を務める松岡茉優も、背中に鳳凰の刺青を背負った極道の女役で、暴力を目の当たりにしても眉ひとつ動かさず、ドスの効いた号令で男たちを動かす、強くセクシーな姉さんぶりで新境地を開拓している。

もはや世界レベル!岡田准一の真骨頂

坂口健太郎もアクション全開! あらゆるシチュエーションで大興奮のアクションが展開する 

 2人が立ち向かう相手も、近接戦最強の女暗殺者や銃を手にした覆面武装集団など千差万別。岡田は、あらゆるシチュエーションのバトルを全てを見応えあるシーンに仕立て上げた。超スピードで複雑なアクションをやってのける姿に、世界で戦えるアクションマスターであることを実感させられる。クライマックスに待ち受ける、戦闘のプロ同士による激アツバウトは、特に手に汗握る迫力だ。

 ジークンドーやカリなどの武術やUSA修斗といった格闘技のインストラクター資格を有する岡田は、本作でも技闘デザイン(アクション振り付け)を担当し、準備段階から原田監督と綿密な打ち合わせを重ねた。結果として誕生したアクションには、各キャラクターの個性が反映されていて、異種格闘技戦を見ているようで大興奮。バディ役の坂口も、岡田のスピードに見事にくらいついている。魅せるアクションだけでなく、骨が砕ける音や乾いた銃声は、体の芯にズシリと響くように重く、岡田の本気度が伝わってくる。

日本の枠を超えた無国籍ノワール

無国籍な世界観を演出するロケーションにも注目

 日本映画ではあまり見たことのない、絶妙な美術も注目ポイント。ヤクザの事務所といえば、神棚や代紋を飾った内装がお決まりだが、東鞘会の本部には現代アートや洗練された高級品がズラリ。最先端企業のオフィスのように洗練されたセットに目を見張る。会長のそばには一流の秘書が常駐し、訓練されたボディーガードと最新のセキュリティーで固められた要塞のようで、見ているだけでわくわくしてくる。

 兼高と室岡のアジトもデザイナーズホテルのようなセンスあふれる空間。危険と隣り合わせゆえに、意外な場所に武器が隠してあったりするのがまたニクい。ちなみに室岡の部屋には、オシャレな内装に似合わない神輿やピラミッドのテントが鎮座しており、テントの中で眠ると傷が癒えるそう。マフィア映画には欠かせない荘厳な教会など、伝統的な日本家屋に異国情緒を感じてしまうほどで、原田監督のこだわりが垣間見える無国籍なロケーションを見ているだけでも、没入度がハンパない。

 既成概念をたたき壊し、世界で勝負できるエンターテインメントを生み出そうとする作り手の思いがほとばしる『ヘルドッグス』は観たら本当にすごかった! 原田組ならではの、闇と光が調和した重厚な映像も相まって、唯一無二の世界観を構築しており、非日常にどっぷり浸かることができる本作は、和製アクションの新たな未来を期待させる必見の一本と言っても過言ではない!(編集部・入倉功一)

こちらもチェック⇒特集:全員ヤバすぎ!岡田准一もぶっ飛んだ『ヘルドッグス』がクセ強すぎで沼

映画『ヘルドッグス』は9月16日より全国公開
公式サイトはコチラ>>
(C) 2022 「ヘルドッグス」製作委員会

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