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「ウルトラマンネクサス」川久保拓司、未来につなぐ孤門一輝の光 再確認した“諦めない心”の大切さ

川久保拓司

 2004年から2005年にかけて放送された特撮ドラマ「ウルトラマンネクサス」が、10月2日よりウルトラサブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」で配信される。絆をテーマにした群像劇と、重厚でミステリアスなストーリー展開が話題の同作で、戦略特殊任務班ナイトレイダーに所属する主人公・孤門一輝を演じた川久保拓司がインタビューに応じ、放送から約20年経っても色褪せぬ「ウルトラマンネクサス」の物語や、撮影当時のエピソードを振り返った。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

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「物語であって、物語でない」孤門一輝として生きた特別な時間

Q:舞台「黒蜥蜴」(2003、演出:美輪明宏)で俳優デビュー後、「ウルトラマンネクサス」の主演として特撮作品に出演しました。俳優として悩んだ時期もあったとのことですが、当時はどんな心境でしたか?

 ウルトラマンシリーズの主演ということで大喜びしましたし、同時に責任の重さも感じました。孤門一輝は変身しない主人公だったので、「どういう関わり方になるんだろう」と戸惑ったこともあります。光が受け継がれていく中で、その光の意味を孤門隊員も知っていく。最初に聞いたお話は、とてもワクワクしました。隊員として何ができるのか。一緒に悩むこと、進むこと、サポートすること、戦うこと……いろんなことを発端に、その瞬間を孤門隊員と一緒に迷いながら、少しずつ進んでいった撮影期間でした。

 僕と孤門一輝という人間の境がないような不思議な時期だったので、役者として奮闘しなければならないパワーを持ちながら、孤門一輝としても困難に直面して突き進んでいく。自分であって、自分ではなかった時期は、特別な時間だったように感じます。

Q:孤門隊員を演じる際に意識したことは? 脚本・シリーズ構成の長谷川圭一さん、小中和哉監督とはどのような話し合いをしましたか?

 目の前で起きている出来事をありのまま、大切にしてほしいと言われたことを覚えています。隊員のみなさんも一緒に、その都度起こる出来事に驚き、苦しみ、共感して、生の感情をドラマの中で再現するようなイメージでした。

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気持ちの整理がつかなかった衝撃回

川久保拓司

Q:「ウルトラマンネクサス」はウルトラマンに変身する適能者(デュナミスト)たちの絆の物語であり、孤門隊員の成長譚でもあります。川久保さんは当時、「ネクサス」の物語とどのように向き合っていたのでしょうか?

 物語であって、物語でない。あの時期の僕の人生だったような感じがします。孤門隊員には困難が多くふりかかり、一度挫折して隊員を辞めようとするところまで堕ちていくのですが、しっかりとした志があれば仲間が支えてくれる。姫矢准(桐島優介)/ウルトラマンネクサスが届けてくれるパワーはもちろん、困難に立ち向かう力は、色んな光を引き寄せるんだと感じました。

 現実の世の中でも、新型コロナウイルスの大流行で困難な時期がありました。演劇やドラマといったエンタメに携わる人間として、本当に苦労の多い時期でした。ですが、諦めない気持ちがあれば、光は手を差し伸べてくれる。あの感覚は、当時撮影していた時と似通っているところがあり、TSUBURAYA IMAGINATION で「ウルトラマンネクサス」の配信がこのタイミングで始まることも、運命的なものを感じます。

Q:孤門隊員と恋人・斎田リコ(中丸シオン)の物語は、序盤~中盤の核になっていました。ダークファウストだったリコと、第12話「別離 -ロスト・ソウル-」で永別する回は衝撃的でしたが、撮影当時はどんな心境でしたか?

 衝撃でした……。毎話翻弄されていましたし、激流の川に飲み込まれないように、必死にもがいたような時期でした。こんなに打ちひしがれている人間に、さらに追い打ちをかけるかっていう出来事が起こるのかと……。気持ちの整理がつかないまま撮影に臨もうとしていたのですが、撮影していても常にスッキリしない部分がありました。

Q:孤門隊員の物語では、溝呂木眞也/ダークメフィスト(俊藤光利)の存在も欠かせません。孤門隊員と溝呂木の関係性について、印象に残っていることは?

 打倒溝呂木でありながらも、溝呂木には自身の闇に堕ちていくストーリーがあります。姫矢さんは闇に堕ちそうになりながらも光に選ばれ、一方で人々を救うナイトレイダーだった溝呂木は力を求めて闇に堕ちる。人は、同じ出来事でも光を得る人もいれば、闇に堕ちていくこともあることを、この年齢になって改めて思いました。人生経験を積んで、当時の姫矢&溝呂木を振り返ると、人生はとかく曖昧で、どうなっていくかわからない中、前に進んでいくものなんだと感じましたし、そんな中で「諦めるな」という言葉がいかに大切なのかを再認識しました。

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「絆…ネクサス」宝物になったセリフ

川久保拓司

Q:第26話「憐 -ザ・サード-」から第3のデュナミスト・千樹憐(内山眞人)が登場します。姫矢に導かれる側だった孤門隊員も、憐を導く側へと変わりましたが、第26話からの孤門隊員はどのように演じられましたか?

 まず、撮影に臨む時の空気感が今までと異なりました。ストーリーがガラッと変わり、会話もライトになっていきますし、憐は今っぽくハツラツとしています。秋に差し掛かり、少しずつ涼しくなり、風もカラッとなっていく中で彼が現れたことは、僕にとっては人生の新たなステージだと思いました。憐の事情を知るたびに、「姫矢さんからパワーを受け取った僕が、今度は何をしてあげられるんだろう」と考えるようになりました。責任の形が変わり、スタンスも変えなければならない。撮影現場も年下が増えていく中で「しっかりしなきゃ」という自覚も芽生え、新たな旅の始まりという意味で、本当に大きな転換点になりました。

Q:最終話「絆 -ネクサス-」では孤門隊員が第5のデュナミストとなり、ウルトラマンネクサス&ウルトラマンノアに変身しました。自分がデュナミストだと知った時はどんな心境でしたか?

 孤門隊員がデュナミストになると知ったのは、実はかなり後半でした。撮影序盤に「僕もいつか変身できたりしますか?」と聞いたことがあるのですが、プロデューサー陣の回答は「まあまあまあ」だけでした。僕は「自分のできることを精一杯頑張りなさい」という意味だと受け止め、自分の中で整理して突き進んでいきました。ラストで変身させてもらえたことは、ご褒美のように感じましたし、嬉しかったです。

 変身の撮影日は天気がすごく悪くて、本番直前に撮影中断が決まりました。孤門隊員が光を受け継いで変身するのは今日ではない。あの状況の中、スタッフの皆さんが、撮影日を飛ばす決断を下すことは、相当な勇気がいることだったと思うんです。後日改めて、晴天のもと撮影をさせてもらえたのは、孤門一輝として毎週頑張ってきたご褒美を重ねてもらえたような、特別な時間でした。

Q:変身直前の「絆…ネクサス」というセリフも印象的です。

 もしかしたら、最終話ラストの「諦めるな」よりも大きい意味のある言葉かもしれません。「光の意味は絆だったんだ」と気づくあの瞬間、「ネクサス」というのは孤門隊員にとって自然と湧き出てきた言葉なんだと思います。直前に副隊長を救って、光が自分の元に届き、光は受け継がれていく。「絆…ネクサス」というセリフは本当に宝物です。

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「ウルトラマンネクサス」から受け取ったもの

川久保拓司

Q:「ウルトラマンX」第20話「絆 -Unite-」では、橘さゆり副隊長の夫・橘祥吾を演じました。ウルトラマンネクサスを目撃した時の川久保さんの笑顔は、孤門隊員と重ねる視聴者も多かったですが、「X」へのゲスト出演はどのように臨まれましたか?

 「ウルトラマンネクサス」の第1話「夜襲 -ナイトレイド-」を思い出しました。第1話は、ウルトラマンがラストカットしか登場しません。拳が地面に突き刺さり、その後ネクサスが孤門隊員の方を振り向く。空を見上げて撮影した時の感覚に、すごく似ていました。「ウルトラマンX」に違う役で参加させていただいた時、僕がネクサスを見た瞬間、あの瞬間に立ち戻りました。だからこそあの笑顔だったと思いますし、あの時の瞳には、孤門隊員が何パーセントか入っていたと思います。いろいろなことがフラッシュバックした特別な瞬間でした。

Q:「ウルトラマンネクサス」を TSUBURAYA IMAGINATION で初めて観るお子さんもいらっしゃいます。「ネクサス」に初めて出会う方々へ、メッセージをお願いします。

 僕が「ウルトラマンネクサス」から受け取ったものはとても大きく、「諦めたか、諦めなかったかどうかで、(人生が)大きく変わってきたりする」「もう一歩足を踏み出せたかどうかで、次の景色が違って見えたりする」など、自分の子供に伝えることもすごく多いです。

 今、まさに「ウルトラマンネクサス」を初めて観るお子さんもそうですし、ご両親にも一緒に観ていただきたい作品です。数々の困難を乗り越えて強くなる孤門一輝の人生、ウルトラマンネクサスの活躍を配信で観ていただくことで、今もし困難にぶち当たっているとしたら、何かヒントやきっかけがあるかもしれません。「ウルトラマンがカッコいい」という純粋な魅力はもちろん、「ネクサス」好きの方が、改めて配信で一気見ができるところにも、また面白みがあると思います。多くの方に「ウルトラマンネクサス」が届くことを願っています。

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川久保拓司

 ウルトラマンネクサスは、NHKで昨年放送された投票番組「全ウルトラマン大投票」でウルトラヒーロー部門第8位にランクインするなど、今なお絶大な人気を誇る。川久保も定期的に作品を観直しては、ネクサスから背中を押されることが何度もあったといい、「今の世の中に通ずる何かを与えてくれる」と不思議なパワーを感じていた。デュナミストがウルトラマンの光を継承するように、「ウルトラマンネクサス」の物語はこれからも後世に語り継がれる。

「ウルトラマンネクサス」はウルトラサブスク「TSUBURAYA IMAGINATION」にて10月2日よりスタンダードプラン:順次配信、プレミアムプラン:全話先行配信

(C) 円谷プロ

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