ジェームズ・ガン節全開!『スーパーマン』最速レビュー
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『スーパーマン』2025年7月11日日米同時公開
アメコミヒーローの原点であるスーパーマンを主人公に描くアクション。地球を守るスーパーマンという自らの正体を明かさず新聞記者として働くクラーク・ケントが、宿敵である天才科学者レックス・ルーサーに立ち向かう。監督などを手掛けるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなどのジェームズ・ガン。ドラマシリーズ「ハリウッド」などのデヴィッド・コレンスウェット、『アイム・ユア・ウーマン』などのレイチェル・ブロズナハンのほか、ニコラス・ホルトらが出演する。
編集部・倉本拓弥 評価:★★★★★
ジェームズ・ガン監督が「オリジンは描かない」と明言していた通り、本作のクラーク・ケントは、ヒーロー3年目の若きスーパーマンとして登場する。地球最強の存在だが、冒頭から傷だらけで、人間と同じく痛みを感じ、敗北すら経験する。神のような存在でありながら人間でもあるクラークの姿は、現代に必要とされる“共感できるヒーロー像”だ。愛犬の世話に追われ、市民と手を取り合いながら奮闘する彼の姿に、自然と親近感が湧く。等身大のスーパーマン像を、気鋭のデヴィッド・コレンスウェットが繊細かつ力強く表現してみせた。
ガン監督が愛するDCコミックスはもちろん、クリストファー・リーヴ版『スーパーマン』(1978)へのオマージュも随所に感じられる。加えて、ガン監督が敬愛する日本の特撮への目配せや、『トップガン』から影響を受けた疾走感ある飛行シーンなど、ポップカルチャーへの愛が全編にちりばめられている。
DC再編成によって、全く新しい世界観が築かれているので、事前知識がなくても問題ない。DCファンであれば、来たる「ピースメイカー」シーズン2や『スーパーガール』新作映画の期待が何倍も膨らむ。過去作への敬意を込めた『スーパーマン』を引っ提げ、DCスタジオは幸先の良い船出を切った。
編集部・入倉功一 評価:★★★★
ジェームズ・ガン監督が手がける新たな『スーパーマン』は、アメコミヒーローの象徴を独自のテイスト満載で描いた意欲作となった。劇中に登場する登場人物たちは、いずれも“はみ出し者”感に満ちており、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』を彷彿とさせるガン節が全開。アクションはパワフルで、スーパーマンの飛行シーンのカメラワークと爽快感は格別だ。あまりにやんちゃすぎる犬のクリプトも含め、どのキャラクターにもおバカな部分と愛嬌があり、スピンオフを観たくなるほど魅力的。ヒーロー映画ファンにとってはおなじみのゲストキャラの登場も楽しめるだろう。
一方で、“スーパーマン”の世界観を知らない層にとっては大量のキャラの背景や世界観の説明不足感は否めず、SNS風刺などストレートな社会風刺の描き方には賛否が分かれそう。ただ、デヴィッド・コレンスウェットが演じるスーパーマンのビジュアルは申し分なく、リチャード・ドナー監督の『スーパーマン』(1978)とは違う方向性のエモーショナルで心が温まる一本となった。
『スーパーマン』あらすじ
普段はデイリー・プラネット社の新聞記者として働くクラーク・ケントは、地球を守るために戦うスーパーマン(デヴィッド・コレンスウェット)として活動していた。自身の正体を隠しながら生活する彼には、目の前で傷ついている人々を救いたいという願いがあった。そんな彼の前に宿敵である天才科学者レックス・ルーサー(ニコラス・ホルト)が立ちふさがる。


