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8番出口 (2025)

2025年8月29日公開 95分

二宮和也主演で映画化!『8番出口』の評価は?

編集者レビュー

8番出口
(C) 2025 映画「8番出口」製作委員会

8番出口』2025年8月29日公開

ゲームクリエイターの KOTAKE CREATE が制作した、異変探しゲームを原作にしたドラマ。無限にループする地下通路で、そこに迷い込んだある男性が8番出口を目指す。プロデューサー、小説家、映画監督として活動する『百花』などの川村元気が監督を手掛けている。『アナログ』などの二宮和也、ドラマ「VIVANT」などの河内大和らがキャストに名を連ねる。

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編集部:石井百合子 評価:★★★★★

 地下通路でひたすら「異変」を探し続けるだけのゲームを、よくぞ一本の映画に……! と拍手したくなるスリラー。上映時間は95分とコンパクト。登場人物はわずか5人、そのほかセリフ、舞台、音楽などあらゆる面において「最小限」であるぶん、無限に想像を掻き立てられる。「謎の空間に閉じ込められる」という不条理なワンシチュエーションスリラーは『CUBE』を彷彿とさせるが、同作が人間同士の争いがメインであるのに対して、本作では自分自身との戦いに終始。迷い込んだ場所がどこなのか、観た人によって解釈が分かれる楽しみもある。

 何よりも凄いのは、ほぼ全編同じ空間であるにもかかわらず全く飽きさせない主演・二宮和也。筋金入りのゲーム好きでもある彼が脚本協力にも名を連ねたことからも思い入れの深さが伺えるが、二宮の俳優としての集大成といっても過言ではない熱演だ。スターのオーラを消し去り、とりたてて能力もなく、長いものに巻かれるような平凡な男になりきり、だからこそまるでその場に居合わせているかのような没入感を体感できる。

 なお、本作は川村元気監督の前作『百花』といくつもの共通点があり、見比べると川村監督が描こうとするテーマがより明瞭になるはずだ。(編集部・石井百合子)

編集部:入倉功一 ★★★★★

地下鉄の通路をループしながら異変を探し、“8番出口”からの脱出を目指す。このシンプルなゲーム性をいかにして映画化するのか、当初は想像もつかなかったが、観終わった時には、その再現度と物語性の融合した完成度に納得させられた。

数々の実況動画で再生されまくった通路の実写化は絶妙だ。タイルの質感までゲームに漂う雰囲気が再現されているのと同時に、“異変”に入るまでの導入が巧みで、日常生活のなかでふと実際の地下通路に迷い込んでしまったような臨場感も漂う。

そして、主人公を惑わす“異変”の数々もしっかりと再現。観客が「そこそこ!」と言いたくなるような映画ならではの絶妙な演出も相まって緊張感をキープ。ゲームをプレイした人や、実況動画を見まくったファンならば、ニヤリとすること請け合い。カメラワークや編集を駆使した、映画ならではの見せ方で迫る異変も新鮮でゲームを知らなくても楽しめるはず。

しかし、何よりもひきつけられるのは、主人公をめぐる人間ドラマだろう。二宮和也が演じる主人公の“普通の男”ぶりとキャラクターの成長は、誰もが、もし異変に巻き込まれたらこうなるかも……と共感するリアルさ。そんな彼の脱出行と成長に最後までひきつけられる。ループ構造のゲーム性から生まれそうな単調さは、映画ならではの味付けで可能な限り回避しており、最後まで引き込まれる一本になっている。

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『8番出口』あらすじ

どこにでもありそうな地下鉄の駅に、ある男性(二宮和也)が閉じ込められる。そこは地下通路が無限にループする世界で、そこでは異変を見逃すことなく、万が一異変を見つけた場合はすぐに引き返すのがルールだった。もし異変が見つからなかったときは引き返さずに、最終的に8番出口を見つけてそこから外に出なければならない。

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